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空前の指銃使い  作者: こいと
2章 魔王国編
12/13

大森林3

 寒さで目が覚めた。自分が森の中で眠ってしまったことに気が付き慌てて辺りを見渡す。

 うっすらと霧が立ち込めており、焚火はいつの間にか消えていた。子犬もいなくなっていた。薄情な奴だ。辺りには不自然なほど魔獣の気配が無く、静まり返っていた。霧が濃いのも相まって、不気味な雰囲気を醸し出している。


 俺は急いで火を起こして焚火を作り、昨日とった魚を焼くことにした。焼けるまでの間、魔力操作と刀剣術の訓練をする。悪魔草や悪魔魚との戦いでいかに俺の技術が乏しいのかが分かった。戦いとは無縁の生活を16年送ってきたのはやはり大きいだろう。いざという時の判断や攻撃の幅が圧倒的に足りない。実践を意識した訓練がこれから重要になってくる。


 そんなことを考えて訓練をしていると、魚が少し焦げ付いてしまった。まあ、味が無いからこれはこれでおいしいかったから良しとした。


 川で軽く体を洗い、火の始末をして奥へと進んでいく。

 霧がより濃くなってきた。そしてついに目の前が見えなくなるくらいになった。

 

「まったく前が見えないな」


 魔弾で辺りの霧を振り払うもすぐに立ち込めてくる。


「これじゃあ進むに進めないな。しかたない。今日は進むのは諦めよう」


 手探りで近くの木にもたれ掛かり、今日は魔力操作の訓練をすることにした。

 まずは体全体に魔力を流していく。初めはゆっくりと細く流していく。そして徐々に早く大きくしていく。ゆっくりと流すのは繊細さが必要とされるが集中力が続く限り乱れることはない。

 問題は早く流す時だ。イメージとしては休まずに全力疾走で走り続けている感じだ。消耗が激しく、少しでも操作を誤るとロスが生まれてしまう。今のところは5分程度しか持たず、動きながらだとワンモーションしかできないだろう。












 次に魔力を放出する訓練をする。指銃をリボルバーにして魔力を高めていく。

 悪魔草に放ったショットガンでのチャージショットをリボルバーで試してみる。一気に放つと指の先から一筋の光が飛びぬけていく。威力はショットガンより少ないものの、射程は倍以上に伸びた。銃の特性はそのままの様だ。それに1発で全て打ち切ってしまうようだ。

 同様にサブマシンガンも試すがこれは弾数が多い分、威力が高かったが音が大きく、音に敏感な魔獣相手や洞窟内では使えそうにない。

 次に1発1発を別の属性にして撃っていく。リボルバーとショットガンは簡単にできたが、サブマシンガンはさすがに無理だった。属性を意識して撃つと連射速度が落ち、連射速度を上げると属性が変えられなくなり、結果頭が混乱してきて止めた。それに使いどころが無いからできなくても問題ないしな。ほんとだぞ。別に心が折れたとかじゃないからな。








 ここまでで大体4時間ぐらいかかった。なかなかハードだったが魔力はより感じられるようになった。

 そのおかげか周囲の魔力もかすかに感じることが出来るようになった。そして改めてここがどれだけ危険な場所なのかを理解することが出来た。

 魔力が濃く、この霧にもかすかだが魔力があるのが分かった。

 

 自分のステータスを見てみると




相沢 宗司  16歳  人間  ガンナー


HP   3300/3300

MP   2600/6300 ↑500


筋力:640 ↑20

俊敏:590 ↑20

知力:790 ↑60

器用:820 ↑80

魅力:710 ↑20

運 :22  



魔法適正:

スキル :指銃 《リボルバー》0/6 《ショットガン》0/6 《サブマシンガン》0/200 《魔弾》 《チャージショット》 スコープ 《千里眼》 《鑑定眼》 魔力操作Lv.5 属性魔弾Lv.6 刀術Lv.6 剣術Lv.4 気配察知 魔力察知

称号  :異世界人 撃ち抜くもの






 MPや魔力操作、魔弾が上がり新たに気配察知、魔力察知が増えていた。気配察知は相手のその名の通り、気配を察知できるようだ。しかし隠密などのスキルが使われている時は察知できないようだ。

 魔力察知は魔力そのものを察知できるため、隠密も見抜けるようだ。しかしこれは自分の魔力をエコーのように広げるため相手にも気づかれる恐れがある。


 俺は魔力をエコーのようにして放出し魔力察知をした。頭の中に周囲の状況が流れ込んでくる。小さい虫や動物の魔力などが多数あったが、ひと際大きく強い反応が俺の足元にあった。

 その大きさは10メートル以上あった。

 いきなり地面が揺れだし、俺はソレから振り落とされた。そして地面が盛り上がり、辺りの霧が晴れるとそこには丘がそびえたっていた。そしてそこには足が4本生えており赤い目に鋭い牙、背中には俺が先ほどまで寄りかかっていたであろう巨大な気が1本あった。


「なんだ……こいつ、」


 ゴツゴツとした足は少し動くだけで辺りに地響きを起こし、その魔力は禍々しく威圧をしている。

 俺は急いで体制を立て直すと、すぐさま離れ、そいつを鑑定する。




タートゥール  26000歳  万年亀  魔王軍防衛隊長


HP   100000/100000

MP    97000/100000


筋力:76000

俊敏:17000

知力:53000

器用:26000

魅力:30000

運 :13000


魔法適正:土 風 幻

スキル :土魔法Lv.10 風魔法Lv.10 幻魔法Lv.10 咆哮

称号  :大森林の主 防衛隊長









 なんだよこれ。桁が違いすぎるだろ。魔王軍の隊長だしそれに見たことのない属性まである。

 万年亀に焦点をあててより詳しく鑑定をする。


 万年亀:1万年以上生きた亀の魔獣。年を取るほど強くなるため老衰することが無く事実上最強の魔獣。普段は温厚だが間違えてテリトリーに入り荒らされるとまれに狂暴化することがある。またその個体独自の魔法を使うこともある。


 幻魔法:魔力を使って辺りに霧や森の幻影を作り出して相手を惑わす魔法。相手が自分より格上の場合、効果は無くなる。


 


「人間よ、何用だ」


 あたりに威圧感のある声が響く。体は硬直し視界が狭まる。魔力もうまく操作できなくなり、息をするのもやっとな状況である。

 

「お、俺は魔王に会いに来たんだ」

「貴様のような脆弱な人間が魔王様に会うだと。身の程をわきまえろ!」

「っ……」


 威圧がさらに強くなり意識が朦朧として倒れそうになる。


「それでも、俺は…会わなくちゃいけないんだ……」


 なんとか気力を持ち直し、俺は巨大な万年亀の目を見る。そこには憎しみが宿っており、人間そのものを嫌悪している様だった。

 俺はその目を見て、恐怖心と共に疑問が生まれた。なぜ。


「なぜ、おまえはそんなにも人間を憎んでいるんだ」

「なんだと」

「お前の目には憎しみしか映っていない。人間に対する憎しみが。そこまで人間が憎いか?なんでだ?魔王は1度は人間と共存しようとしていたのだろう?なぜそこまで人間を憎しむ?」

「いまさら何を言うかと思えば、貴様ら人間が魔王様を、我々を裏切ったのだろう」

「裏切った?」

「魔王様が身分を隠し、貴様らの国の姫を助けたにも関わらず、魔王だと分かれば途端に態度を変え、あまつさえその力を自分たちのものにしようとする。そして今回の戦争だ。魔王様がどれだけ心を痛められたかわかるか?あの時の悲しそうな顔を見た時に我々は決めたのだ。魔王様を傷つけた人間を許しはしないと」

「それは誤解なんだ」

「誤解だと。今度はそう言って騙すつもりだな」

「違うんだ。今回の件は話し合えば分かり合えるものなんだよ」

「黙れ。下等な人間などと分かり合うつもりなど無い」


 そう言うとそれ以上話すことはないと口を閉じ、俺に向かって無数の風の刃を放ってきた。

 かろうじて避けるも顔を上げると目の前にはもう巨大な腕が迫っており、衝撃と共に俺は吹き飛ばされた。

 木々をいくつか突き抜けてようやく止まる。息を吸おうとするも口から血が流れだし上手く吸うことが出来ない。右腕とあばらが2、3本折れたようだ。力を入れるたびに激痛が走る。


「ぐあっ……」


 痛みでまともに動けずに俺は蹲る。万年亀を見るとゆっくりと、だが確実にこちらへと向かってきている。


「簡単に死んでくれるなよ、人間」


 巨大な岩が俺の頭上に現れる。鋭くとがっており当たれば無事では済まないのが容易に想像できる。

 万年亀が吠えると岩は勢いよく俺めがけて落ちてくる。回転しながら横に避けるが、折れた骨が肺に刺さり口から血があふれ出る。血のせいでのどが焼けるように熱い。

 そこに追撃で暴風が襲い虫けらのように吹き飛ばされる。

 もう抵抗する気力もなく、力に任せて転がっている。地面に打ち付けられ、木々をなぎ倒し、そのたびに体に激痛が走る。


 なんでこんなことしてんだろうな、俺。まだまだやりたいこともあったのにな。

 元の世界でのことやこっちの世界に来てからの事が頭を駆け巡る。

 そうか、これが走馬灯ってやつか。てことは死ぬのかな。

 瞼が重くなっていく。視界もぼやけて良く見えない。

 最後に俺をこんなにした万年亀の方を見る。そこには先ほど同様、憎しみの宿った目で俺を見る巨大な亀がいた。そして俺と万年亀の間に立ちはだかる白い人の影ようなものがいた。どこかで見たことのあるような懐かしい雰囲気の影だった。そしてなぜか俺はあの子犬を思い出し、静かに瞼を閉じた。

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