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空前の指銃使い  作者: こいと
2章 魔王国編
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大森林2

 悪魔草に食べられてから水辺を探して森をさまよった。臭いがきつくベトベトしているため一刻も早く洗い流したいものだ。

 水辺を探している途中に何匹かの魔獣に出会ったが俺の体の臭さで一目散に逃げていった。しかもどいつもこいつも俺のことを変な奴を見る目で見てくる。

 俺だって自ら望んで臭くなったわけではない。しかも魔獣にも逃げられるとか相当だな。グスン。


 

 そんな辛い経験を乗り越えて俺は遂に川を見つけた。

 本当に長かった。逃げ出されていた頃はまだいい。だが最後の方は出会いすらしなくなっていた。まるで避けられているみたいだった。そんなことないよね?偶々だよね?


 早速服を着たまま川に飛び込んだ。あまり太陽の光が入らないからなのか川はとても冷たく、疲れた体に心地よく染みわたる。

 体中に染み付いたベトベトの液体を洗い流し、焚火をおこして服を乾かす。もちろん今の俺はパンツ一枚しか身に着けていない。


 乾くまでの間、俺は付近を軽く捜索することにした。といっても俺は今防御力が皆無なためそう遠くまではいけない。ぶっちゃけるとただの暇つぶしだ。

 

 木々の間からうっすらと見える空は少し赤みがかっていて森も入った時よりもより暗くなっていた。

 ある程度探索を終えたためそろそろ川に戻ろうとかと思ったときだった。風に乗ってかすかに血の匂いと何かの鳴き声が聞こえてきた。

 そこにいく道理なんて持ち合わせていない。それにここは危険な森の中だ。不用意に近づいて死ぬなんてごめんだ。それに気のせいってこともある。

 

 


 鳴き声に背を向けて俺は川に向かっていった。向かっていったはずだった。

 だが気が付くと俺の足は鳴き声の方向へと向かっていた。

 自分でもらしくないと思っている。以前の俺ならこんなことはしなかっただろう。こちらに来てかららしくない行動ばかりだ。

 それでもあのかすかな鳴き声が頭の中から離れてくれなかった。忘れようとしても忘れられず、それどころかそればかりを考えてしまっている。


 血の匂いが強くなるものの、鳴き声は一切聞こえなくなった。

 どこだ、どこにいる。辺りを探すが薄暗いためなかなか見つからない。

 

 


 しばらく進むと血が大量にしみ込んだ地面があった。そしてその上に薄汚れた小さな子犬が横たわっていた。腹部に大きな傷が1つあり、そこから血があふれ出ていた。近くに他の気配はなく、この血は恐らくこいつから流れ出てものだろう。


「くそ…。おい、しっかりしろ」


 抱きかかえて川へと向かうがその体に力はこもっていなく息も弱々しくなってきている。

 間に合ってくれ、頼む。

 どうしてこいつにここまで必死になっているのか分からないが、少なくとも助かる可能性があるこいつつを見捨てることはできなかった。
















 川についた俺はもらった魔法カバンから回復薬を取り出して、子犬の腹に中身をぶちまけた。

 すると傷口は煙を出しながらみるみる塞がっていき、呼吸もだんだん落ち着いてきた。これなら恐らく助かるだろう。

 かるく水で洗ってやると汚れが落ちて真っ白で奇麗な毛が現れた。みすぼらしかった見た目が一変して、まるで神話の中に出てくるような美しさを放っている。


「まさかこんなに奇麗だったとはな。にしてもどんだけ効果あんだよこの回復薬」


 元の世界では瀕死レベルの傷が一瞬で治ってしまう。死が身近にある世界なら回復が進歩するのもわからなくはないが、それでもさっきのはなかなか高品質なものなのであろう。入れ物も豪華だったし。


 ひとまず服をきて晩御飯を確保しに行くか。といっても魚を撃つだけだが。

 

 目の前の川にはいくつもの魚影が見える。


「《ウィンドバレット》」


 魚影に向かって魔弾を放つ。が、すぐに避けられてしまいその後もかすることすらなかった。


「動き早すぎるだろ」


 まったく当たる気配がない。こいつら本当に魚なのか。

 鑑定眼を使う。

 そこには「悪魔魚」とあり種族は魔族となっていた。悪魔シリーズなのか?てか魚なのか?鑑定には食べれるってあるがほんとに大丈夫なのだろうか。それにこの魚は魔法で体に水を纏っており攻撃を受け流すか察知して避けているらしい。それならあれが使えそうだな。

 俺は指に魔力を込めて魔弾を発動する。


「《サンダーバレット》」


 雷をイメージしてそれを川に撃ち込む。景気付けに6発すべて撃ち込んだ。これなら狙う心配もなく、かってに感電して死んでくれるだろう。実際、魚は上がってきた。上がってきたのだが…。


 数十匹以上上がってきてしまった。


「さすがに6発はやりすぎだったか」


 それでも多いに越したことは無いだろう。気にしない気にしない。
















 俺は4匹に木の枝を突き刺して焼き、残りは魔法カバンにしまった。見た目はアユの様だがその鱗は一枚一枚が硬く鋭かった。幸い焼き始めたらすべて取れてくれた。なんて食べやすい魚なんだ。

 実際、身はふっくらとしていて骨も少なくおいしかった。しかし調味料がなく味がしない。初めのうちはいいがそのうち飽きてしまうな。


 俺が4匹を食べ終えると同時に、子犬が目を覚ました。


「お、起きたか?傷は痛むか」


 子犬に手を伸ばすも子犬はこちらを警戒して威嚇してくる。傷は大丈夫そうだな。


「なあ、子犬よ。お前腹減ってないか?」


 魔法カバンから魚を取り出して目の前に置く。すると子犬のお腹がグーっと鳴った。

 しかしそれでも警戒してなかなか食べようとしない。


「あのなあ、お前が死にかけたところを救ってやったんだぞ。それなのにわざわざ変なもの入れるわけないだろ。傷が無くなってるだろ?少しは信用してもらえないかな」


 それを聞いた子犬はゆっくりと魚に近づいて匂いをかいでいる。そして問題ないと思ったのか少し齧り、その後は丸飲みしてしまった。

 そしてこちらを見てもっとよこせとフンスとしている。

 言葉が通じているみたいだな。


「偉そうな子犬だな。ほれ」


 追加で2匹出してやるとがっついて食べものの数秒で完食してしまった。

 そして満足という顔をして焚火の近くで眠りについた。


「のんきな子犬だな」


 俺もなれない森での活動に予想以上に疲れていたのか、眠りについてしまった。

 子犬が寝ているふりをしてこちらを伺っていることも知らずに。


 

良かったら、評価とブックマークよろしくお願いします。

また、ほかの作品も連載していますのでそちらもぜひ。

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