一安心
こうして私とアミレス様の婚約は一応決まって、お父様たちにも話した。
「いやー、良かった良かった。」
「破棄になるなんて本来あり得ない。」
「それはそうですが何分アミレスの気性が、、、。」
「そのようなことでお断りするはずありませんわ、アレン様。」
「でも本当にようやくニーナのお相手が決まって一安心だわ。」
「まったくだ。散々騒いで、親に心配かけて――。」
「はいはい。申し訳ありませんでした。」
「はあ。では今日はこれで。」
「はい。来週よろしくお願いします。」
「なにがあるの?」
「婚約発表だ。」
「えー、そんな面倒なこと、、、。」
「これはクラーク王子との婚約破棄の噂をはっきりさせて新たな婚約を発表する大事なことなんだ。」
「ふーん。」
「ニーナったら、わかってるの?」
「私のせいじゃないもんね。」
もちろんすっきりした気分で私はそう言った。
「あの、ではそろそろ――。」
「ああ、引き止めてしまったな。」
「いえ、では失礼します。」
「お気を付けて。」
私はもう少しで手を振って見送るところだった。クリスが私の手首をそっと押さえてお辞儀をしたの。忘れてたわ。今はアレン様もいるし、横にお父様とお母様がいるんだからそんなことできないのよね。
アレン様たちが部屋から出て、王宮の門が開く音が聞こえた。
「やー、すごく疲れた。ていうか疲れる必要なかったのに疲れたわ。」
「やれやれ。もう部屋に戻っていいぞ。クリスも。」
「はーい。」
「はい。失礼します。」
クリスと部屋を出てどっと笑いがこみ上げてきた。
「あはははは。そりゃアルが私の婚約者なわけないわよねっ。」
「私もうっかりしていました!!すみません。」
「良いのよ。でも良かったじゃない。」
「なにがです?」
「アルは完全にクリスのこと大好きだってことよ。」
「そんなことっ!!それに、あり得ません、、、。」
「どうして?」
「どうしてって。アルクス様はアレン王国の国王様になられるお方ですよ?」
「それがどうかした?」
「ですからアルクス様にはそれ相応のお相手がお似合いなのですよ。私はただの使用人です、、、。」
「そんなの関係ないよ!!ミシェルだって、ミシェルは国の1国民よ。」
「同じですよ。使用人の方がむしろ辛いです。付き人としてニーナ様に着いていれば、いずれアルクス様のご結婚式にも出席させていただくことになるのですっ!!」
「結婚式でアルの隣にいるのはクリスでしょ。」
「あり得ません、あり得ませんっ。」
「もう。だってアルはクリスと結婚するために今まで他の女性と婚約をしなかったんじゃない。2人が会えたんだから結婚を決めない理由がないわ。」
「でも、、、。やっぱりダメです。私なんか、絶対ダメです、、、。はあ、失礼します。」
「あっ、クリスっ。」
クリスは自分の部屋に歩いていってしまった。
どうしよう。すっかり元気をなくしちゃった。どうすれば2人は一緒になれるのかしら。クリスにはああ言ったけどアレン王国は今の国王の第2婦人は特例みたいで、それも公にはしていない。アルのこともアミレス様のことも、公には王妃様の子どもと言うことにしていると聞いた。王妃様はどこか忘れてしまったけど王族には間違いない。
他の国でも王族同士でない結婚なんて聞いたことはないわ。クラークみたいに地位を棄ててというのは、まあ、クラークの例があるわよね。
うーん。でも絶対アルはクリスとの結婚を考えているはず。ここまで待ったんだもの。きっとなにか、手段はあるわ。私はアルとクリスに幸せになってほしい。あの旅であんなにもお似合いなところを見たんだもの。アルのことだからもうきっと考えがあるんだろうけど、私にもできることはないかしら。
私は1週間このことばかり考えていた。いつの間にか私は、暗くなった部屋で、大勢の前で、アミレス様と並んで照明を浴びていた。




