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最後の決断

私はクリスから貰った手紙を開いた。丁寧な字で真っ直ぐに綴られた文字は2枚の紙の最後の1行まできっちりと埋められていた。


ニーナ様

改めてニーナ様にお手紙を書くのは初めてのことですね。時間がないので本題に入ります。

ニーナ様、ニーナ様はもうお気付きになったでしょうか?私、この手紙を渡す前に非常に失礼なことを言うと思います。申し訳ありません。

そして今、ニーナ様は混乱していることだと思います。それは当然だと思います。実は私、ニーナ様の様子が変わってすぐに、王妃様にお話に行きました。その時の王妃様の言葉をできる限りそのまま、ニーナ様に贈ります。

『恋は人を盲目にすると言うでしょ。ニーナはクラーク王子に見合う女性になろうと無意識的に王女らしく振る舞った。そしてそれがニーナに王女としての自覚を目覚めさせたの。だから余計にクラーク王子のお相手が王族ではない女性なのが嫌なんだと思う。けれどそれは当たり前よ。好きな人が他の女性を見てるなんて絶対に嫌。

だけどクラーク王子を見たらあの子はこう思うと思う。クラーク王子にとっての幸せは自分には与えることができない、と。

だからって答えは1つじゃないわよ。だって自分にとっての幸せはクラーク王子にしか与えられることができないんだもの。

ニーナには自分を責めないで欲しい。きっと自分のことを酷い女だと思っているはずだから。自分を責めないでこれが自分だと思える答えを出して欲しい。正解なんてないの。ニーナがこれで良いと思える答えを出して。』



クリス




答えは出た。


「クラーク。」


「、、、なに?」


「今、幸せ?」


「うん。」


「即答、、、。そっか、良かったね。」


「迷惑かけてごめん。」


「、、、全然!!大丈夫だよ!!」


「、、、。」


「ねえ。」


「ん?」


「私たち、幼なじみだよね?」


「え?うん。」


「その幼なじみの話を変な風に話すの止めてくれない?アルに初めから見下されて最悪だったんだけど。」


「あ、ああ。でも間違ったことは言ってないし。」


「勝手に変な写真渡したりさ。」


「ああ、あれね。アルに見せたら欲しいっていうから。」


「まったく。、、、あとね。私、こんな普通の服装をしてるのにいろんな人に王女だって見破られてるようなことを言われるの。」


「うん。確かにちょっとした仕草とかが王女らしくなった気が――。」


「本当っ!?」


「するようなしないような。」


「なにそれ?ひどっ!!」


「冗談だよ。確かにそんな感じする。さっきニーナが前とは違うって言ったのも納得だな。」


「、、、でしょでしょー。」



――


「じゃあ、私、そろそろ戻るね。元気そうで良かった。」


「ああ、ってか、結局何しにきたんだ?」


「逃亡者の顔を拝みに来たのよ。」


「それはそれは。」


「ふふ。じゃあ、元気でね。」


「あっちまで行くよ?」


「ダメよ。」


「はあ?いや、アルとクリスにももう1回会っておきたいし。」


「伝えておくわ。」


「良いよ、別に。行こう。」


「良いの、ここでさよなら。」


「だからなんで。」


「クラークに言っておきたいことがあるの。」


「まだあったのかよ?」


「私、今から言おうとしてることを言ったらすぐに戻るから。」


「はあ、また意味のわからないことを、、、。」


「いい?」


「ああ。」


「私、クラークが好き。」


「え?」


「だから、クラーク、幸せにね!!2度と会えなくても、、、ずっとクラークは私の大切な、、、幼なじみだよ?」


「それって、どっ――。」


「察しろ、バカっ!!じゃあさよなら!!」




これでいいんだ。泣きそうになっちゃったのは誤算だったけど私らしく、私たちらしくさよならできたかな。



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