道中
「ほら、シャル。水だぞ。」
「、、、。」
「シャル、喉が渇いたでしょう?」
「ウーン」
「“ウーン”ってなに?悩んでるのかな?」
「な、悩んでるって、、、。でも確かに悩んでる風に聞こえます。」
「“クゥーン”とは違うのかな?」
「違うと思います、、、。」
「何してるのよ、2人とも。、、、ほらーシャルー、水よー!!」
「ワン!」
「まあー、よしよし。」
「クゥーン。」
「こんなバカ王女のどこが良いのかな、まったく。」
「だからあなたは態度変わりすぎなのよ!!」
「え?だからって、、、。誰と?」
「しらばっくれるんじゃないわよ!」
「に、ニーナ様!!落ち着いてください。」
「そうだよ。一国の王女様がそんな口を利くのは良くないなあ。」
「あなたに言われたくないわよ!!」
「ニーナ様、、、。」
アレン王国を出てしばらく歩いたところ。シャルは相変わらずアルのことは無視。クリスのことはまあ、無視ではないものの微妙な反応。私にだけとてもなついている。
ていうか冷静にこの場の状況を説明してる場合じゃないわ。どうして私はこんなにアルにイライラするのかしら。それはもちろん他国と言えども王女である私に失礼きわまりない言葉を直球で投げてくるからよ。この私が受け取れる訳がないじゃない。ましてや打ち返すなんて無理無理。
「、、、なにしてんの、君のとこの王女様は?」
「えっと、、、。いつもあのような感じです。」
「へえ。」
「ちょっと!!元はと言えばアルのせいなのよ?!」
「ていうかクラークのせいじゃない?」
「そうよ、元はと言えばあの女のせいよね!!」
「え?」
「ニーナ様はクラーク王子ではなくお相手の女性のことを相当に嫌っているのです。」
「嫌ってるなんてそんな甘いもんじゃないわよ。憎んでるのよ。でも最後に笑うのは私なんだからせいぜい今だけ楽しんでいれば良いわ。」
「なんだか、物語の悪役みたいだね。似合ってるよ。」
「アル様っ。」
「なんですって?」
「良いじゃん、似合ってる――痛っ!!」
「ワン!ワン!」
「シャル。あなたは私の味方ね。」
「ワン!」
「なんなんだ、本当に。ねえ、なんでシャルはあんなにニーナになついてるの?」
「えっ?!」
「ん?」
「あ、あの。」
「なに?」
「いえ、なんでもありません。」
「だから、言いかけてやめるのはなしだって。」
「いーえ!!あっ、シャルのことですね!!」
「えっ?あ、うん。」
「実はですね、シャルは例の女性が可愛がっていた犬なんです。」
「そうなの!?」
「はい。それで、ニーナ様はその女性に似ているということでシャルはなついているようです。」
「あらら、なんか残念だね。でも気にしてないのかな?」
「いえ、最初はとても気にしていましたよ。今は、、、どうなんでしょう。ただニーナ様は日頃から動物が好きで動物からも好かれています。シャルも今ではニーナ様自身を慕っているのかもしれませんし、ニーナ様も単純にシャルのこを大切に思っているのだと思います。」
「そうなんだ。あ、あの港から船に乗って行くんだよ。」
港には大きくて立派な船が一隻あった。
「わー、立派な船ね。アル、準備が良いのね。」
「え?あんなのに乗ったらすぐに王宮に知らされちゃうよ。俺らが乗るのはあっち。」
アルが指差したのは古びた小舟でした。お約束ね、、、。




