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出発の時間(とき)

――3日後の朝


さ、いよいよ出掛けるわよ。あとはクリスが迎えに来るのを待って、お父様に挨拶にいくだけ。試練は乗り越えられる者にのみやってくる、だとかなんとか言うわよね。だから試練は私が頑張ったら届くかなってところのレベルだと思うの。クラークに会えばすぐに戻ってくるっていうのではないと思う。それじゃ簡単すぎるもの。でもクラークは確実に本当は私のことが好きなのよ。なぜかって?私の試練のためにクラークは今私のことが好きではないという設定なのよ。なんのって?私の恋物語のよ。おほほほほ。あ、ようやくクリスが来たわ。


「ニーナ様、お待たせいたしました。準備はよろしいですか?」


「ええ。クリスを待つだけだったの。」


「それは申し訳ありませんでした。国王様のところに行きましようか。」


「そうね。行きましょう。」



お父様のお部屋に入ると、お父様とお母様がいらっしゃった。お父様は椅子に座って俯いて何かぶつぶつ呟いていて、お母様はその横でにこにこして立っている。



「え、お母様。座っているのも大変なのに立っているなんて大丈夫なのですかっ!?」


「ええ。最近調子が良かったでしょう。それで少しずつ動くようにしていたらどんどん身体が丈夫になったみたい。不思議ねー。」


「それは、、、(今までどんな治療もここまで良くなることはなかったのに今になって?)。」


「どうしたの、ニーナ。」


「いえ。なんでもありません。」


「きっとニーナが旅に出掛けてしまうから神様がネビール王国の太陽を私に託したのね。」


「え?託すなんて逆ですわ。お母様は私のお母様なんですから。」


「でもだからニーナがいなくてもこの国は大丈夫よ。」


「私がいてもいなくても変わりないと思いますよ、、、?」


「ちょっと待て。お前たちの会話ではニーナはもう戻ってこないようではないか。」


「あらあら、シルバ様、本当に寂しいのね。これじゃお嫁に出せないじゃない。」


「お母様ったら、、、。お嫁になんて行かないじゃないですか。」


「そうだ。婿が来るのだ。だからニーナはずっとここにいると思っていたんだっ!!」


「困ったことね。ニーナは戻ってくるのですから安心してください。」


「本当だな、ニーナ。」


「はい、必ず。」


「お手紙書いてね。」


「はい、お母様。」


「じゃあ身体に気をつけてね。」


「はい、行ってまいります、お父様、お母様。」


「あ、そうそう、クリス。」


「はい。」


「クリスのこと、よろしくね。」


「おお、そうだ。頼んだぞ。」


「は、はい。」


「もうっ、大丈夫ですよ。行きますよ。」


「えー。」


「えーって、、、。一国の国王が、、、。」


「うふふ。そうね。駄々をこねてる子供みたい。あ、ニーナ、行っていいわよ。」


「なんだかなあ、、、。」


「ほら、大丈夫大丈夫。」


「はい、では、2回目ですが、、、行ってまいります。」



――ガチャ


「ふう、大丈夫かしら。私のことよりお二人の方が心配だわ。」


「ふふふ。でも検討違いでしたね。」


「え、なんのこと?」


「国王様のことです。以前国王様はニーナ様には苦労させたいとお思いになられている一方で世間に迷惑をかけてしまうともお思いになっているのではないかと申し上げたことです。」


「ああ。ただの親バカね。」


「でも子供が自分の元から離れるとなるとどんな親でもあのようになってしまうのでしょうね。」


「そうね。でもあんなになるなんて思わなかったわ。」


「王妃様はわかっていたのでしょうね。」


「だからお母様はお母様からお父様に伝えるとおっしゃったのね。」


「それにニーナ様が以前のように戻られましたし、よかったです。」


「だからなんの話よ?ずーとこのままよ。」



この前からクリスはこればかり。私はクラークの妻に相応しい女性として当然の態度でいるだけよ。元から王女として過ごしてきて変えることもないし、だからなにも変わりないわ。クリスはなにを勘違いしてるのかしら、まったく。



「さあ、ニーナ様。出発しましょう。」


「え、ええ。」



ま、良いかしらね。それよりクラークよ。当てがあるわけじゃないのよね。 人に聞いていってわかるものならとうに見つけられてるし。だから私たちはなんの手がかりもない状態でクラークを捜さないといけないのよね。大変よ。でも必ず見つけるわ。クラークは私のものになるって決まっているんだもの。そのためならどこにでも行くしどんなことでもする。次にここに帰ってくる時はクラークのお嫁さんだわ。

さようなら、お父様、お母様。さようなら、ネビール王国。



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