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王妃の想い

――コンコン


「どうぞ。」


「失礼いたします。」


「ニーナ。一昨日あの後倒れたそうね、、、。」


「はい。ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。」


「それでこれからのことだけど――」


「そのことですがお母様。私、クラーク王子のことはまだ気持ちの整理がつきません。ですがいつまでも悲しんでばかりではいられないのも重々承知しています。私は王女です。直に王妃になるのです。私が今しなくてはいけないのは目先のことにいつまでも囚われていることではなく、この国を背負う者として教養を高めることだと思うのです。、、、しかしそれもやはり強がりです。環境を変えて少し現実から離れてみたいのです。つまり、国を出て旅に出掛けたいのです。、、、どうでしょう、お母様。」



王妃は終始、我が子の目を暖かく見つめ、にこやかに、しかし哀しげに、複雑な表情で娘の話を聞いた。そしてこう思った。



娘の中の清らかな水は色々な思いの着色料で染められ、外側からでは混ざりあったそれは何色かわからない。おそらく自らもわからないでしょう。けれどそれを、なにもかもが純粋に透かしてみえるほど透明な水に戻すことができる魔法の一滴を、ニーナ、あなたに与えてくれる人がきっと現れると、私は思っています、と。



ニーナから視線を外し後ろを見ると、クリスとミルフィがドアの隙間からこちらを覗いている。




「クリス、あなたが一緒に行くのね?」



2人は突然声と視線を自分たちにむけられ一瞬びくりとした。


「えっ、は、はいっ!!」


「王妃様、わかっていらっしゃったのですね、、、。」


「当然よ。」


「申し訳ありません。、、、お許しになるのですか?」


「ええ。それで、クリス。」


「はい!!」


「ニーナはどんなことがあっても黒にだけは染まらないわ。」


「は、はい?」


「ふふ。シルバ様には私から言っておくわ。でも出発する前には一言言っていきなさいね。全然子離れできないのよ、シルバ様は。」


「ありがとうございます。お母様。」


「良いのよ。私はあなたほどの苦しみを味わわずにシルバ様と一緒になった。だからあなたの気持ちを全部わかることはできない。あなたがしようとしていることはわかるけれどね。でも、そう、誰にもあなたの気持ちを全部はわからない。誰も他の人と同じ色にはならないから。元々の色は人それぞれ違うの、透明と言っても全く同じ透明はないのよ。ほんの少し違う要素が混ざっていれば同じ色を混ぜても結果は変わるの。」




使用人2人は何の話かわからないという気持ちで呆然と王妃の顔を見つめていた。

ニーナは――。




「ふふ。さあ、早くお部屋に戻って休みなさい。」


「はい。失礼します。」






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