2週間後
クラークとリゾン国王がネビール王国に来た日から2週間が経った。
私はそれまでと同じように勉強をしたり礼儀作法を学んだりしていた。
――2週間前
「好きな人?」
「ああ。リューク王国の小さな農村に住む女性だ。」
「そ、そうなんだ。」
「頼む。」
「え、ああ。婚約破棄、、、ね。」
「結婚式は来月中にはする予定にすると思うんだ。だから出来るだけ早く。」
「そんなに早く!?」
「間を空ける意味がないんだって。」
「へえ。そう、、、。」
「じゃあそうゆうことで、よろしくな。あー、2人きりになれてよかったぜ。親父やシルバ国王が一緒だったら言えなかった。ありがとな。」
――
そのあと私は何も言えずにクラークと別れた。
迷った。今も迷っている。そう。お父様に婚約破棄の話もしていないしクリスにも誰にもあの日クラークに言われたことを話していない。
もう2週間経って、あれは夢だったんじゃないかって、夢であってほしいって、思う。でも“好きな人がいる”って言う時の今まで一度も見たことがないクラークの顔。あれは確実に本物で口にした言葉も本当なんだって、冷静になればわかる。ただ、まだ、冷静になりたくない。これを現実逃避って言うのかな、、、。
私、どうしたら良いのかな。初めての恋なんだよ。やっと気付いた大事な気持ち。だからこそ、大好きな人を応援する。、、、ってのを本で読んだことがあるけど。、、、それができなくて悩んでるってのも読んだことがある。そうゆう時、そのヒロインはどうしてたっけ。
私は、、、応援なんてできないよ。婚約破棄なんてしたくない。でも、クラークのことを考えるとこのまま何もしないで結婚式ってことにはできない。どうしよう、、、。
「ニーナ様、ニーナ様!!」
「どうしたの、クリス。そんなに慌てて。」
「それが、、、。」
「なに?」
「クラーク王子がいなくなってしまわれたそうですっ!!」
「、、、駆け落ちってやつね、、、。」
「なぜ落ち着いてらっしゃるのですかっ!?」
「うん。あのね、、、。」
私はついにクリスに2週間前のことを話した。
「そんな大事なこと、なぜ言ってくださらなかったのですか!?」
「ごめん、、、。なんだか、その、信じたくなくて、、、。」
「ニーナ様、、、。」
「王女様。王妃様がお呼びです。」
「お母様が?わかったわ。」
「ニーナ様、このことですね。」
「ええ。じゃあ行ってくるわね。」
――コンコン
「お母様、ニーナです。」
「どうぞ。」
「失礼します。」
お部屋に入ると、お母様はベッドではなく椅子に座っていた。
「お、お母様っ。大丈夫なんですか!?」
「大丈夫よ。それよりニーナ。クラーク王子のことだけれど。」
「はい。クリスに聞きました。」
「そう。クラーク王子が1国民の女の子と一緒に国外にいなくなってしまったの。その子は王子の2つ年上の20歳でね。以前から2人きりでいるところを見られていて国王はよく思ってなかったの。あなたのこともあるけどリューク王国はネビール王国と違って王族と国民には徹底した主従関係があるから。しかもそれが恋愛関係だと知った国王はついこの間その子と家族に国外追放を言い渡したの。そしたら王子も一緒にどこかに行ってしまったのよ。」
「あ、そうゆうことだったんだ、、、。」
「ニーナ。知っていたの?」
「クラークが好きな人がいるから婚約破棄にしてくれって。」
「そう。つらかったわね。」
「うっ。お母様っ!!」
私はお母様に抱きしめてもらって泣いた。クラークのこと、自分でもそんなに堪えてるとは思ってなかったけど、今まで溜め込んでいた分の涙が一気に溢れてきた。お母様はずっと黙って私の頭を撫でていてくれた。そして私が泣き止んでから、
「ニーナがつらかった分、苦しんだ分、涙が出てきたのよ。今流した涙はあなたのつらさそのもの。だからこれからも心に溜め込んだ気持ちを涙にして出しなさい。私がいくらでも拭ってあげるから。」
「はい、お母様。失礼します。」
そういえばお母様に抱いてもらったのって何回目かだ。いつも寝たきりだから、、、。最近体調が良かったみたいだけど、私のために無理して待っていてくれたのかな。やっぱりお母様はすごい人だ。みんなが愛するはずだ。私なんてまだまだだな、、、。
私はお母様の部屋から自分の部屋に戻る途中で倒れてしまった。




