期待していた分、落胆は大きくなる (改定済み)
「とりあえず、まずはどこまでが領域か把握しましょうか」
「それって、どうやるんですか?」
イスティトゥートさんに聞き返す。
支配している領域の把握が大事なのはわかるが、やり方がまったくわからない。
「そうですね……その画面にはマップがあるのですよね?」
「はい」
「そのマップはどこまでありますか?」
「ああ、そういうことか」
彼女の質問でようやく理解できた。
画面は【領域操作】を操作するためのものである。
つまり、ここにあるマップが支配下の領域というわけだ。
とりあえず、確認してみることにする。
「えっと、【玉座の間】と【私室】……だけ?」
画面に出てくるマップはたったの二つだった。
その事実に僕は言葉を失ってしまう。
「それは本当ですか?」
イスティトゥートさんにとっても驚きだったようだ。
少し不安そうな表情を浮かべていた。
それだけで僕は察してしまった。
「……はい」
自然と声が小さくなってしまう。
期待に応えられない申し訳なさが心を支配する。
「他に見逃しているところがあるんじゃないですか?」
スクレさんが慌てた様子で話に入ってくる。
この沈んだ空気をどうにかしようとしているのだろう。
だが、この事実は変えることはできない。
「確認できる範囲はすべて見ました。マップはこの2つしかありませんでしたよ」
「……そうですか」
彼女は残念そうな表情を浮かべる。
やはり2つは少ないようだ。
しかも、片方は玉座の間に比べるとかなり狭い。
日本の一軒家の一室に比べれば広いかもしれないが、所詮は個人の部屋である。
そこまでの広さではない。
「「「……」」」
なんとも言えない空気が玉座の間を支配する。
期待していた分、落差が激しかった。
(クルッ)
空気に耐えきれず、僕はその場から立ち去ろうとする。
自然と【私室】の方に向いていた。
「あの、タケル様?」
「ごめんなさい。せっかく召喚してくれたのに、期待外れでしたよね」
「そんなことは……」
僕の言葉に彼女は言葉を詰まらせる。
否定したかったようだが、本心は隠せなかったようだ。
まあ、それも仕方がないだろう。
明らかに支配下に置かれている範囲が少なすぎる。
いくら凄い魔法でも使える範囲が狭ければ、大したことはできない。
「今は一人にしてください」
「……わかりました」
僕の頼みをスクレさんは受け入れてくれる。
だが、これで彼女が命令を聞いてくれるのは最後だと思う。
今後、僕が魔王として活動することはないだろう。
そのまま私室に入った。
部屋の中はいろんなモノが置いてあったが、今の僕に気にする余裕はなかった。
自然とベッドに向かい、全身を投げ出した。
「……目覚めたら、自分の部屋ってことはないかな?」
現実逃避の言葉が口から漏れる。
せっかく引きこもりから脱することができそうだったのに、その期待があっさりと崩れてしまった。
やはり僕は誰からも期待されないのが当然なのかもしれない。
「もう寝よう」
これ以上何も考えたくなかった。
とんでもない出来事の連続だったせいか、すぐに僕は意識を手放した。
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