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1-5 自室でひとりぼっちを自覚する


「はぁ、疲れたな」


 自室に入ると、近くにあったベッドに身体を投げ出した。

 服はそのままだったが、気にすることはない。

 そもそもがただの部屋着である。

 そんな服装のまま大勢の前に出ていた問題もあるが、今の僕にとって気にすることではない。


 異世界召喚される前、僕は引きこもりだった。

 学校での人間関係に問題が起こり、いつの間にか不登校になっていた。

 元々は真面目な人間だったと思う。

 最初は信頼されて人に囲まれていたが、いつの間にか一人ぼっちになっていた。

 なんでも「お前といると息が詰まる」とのことだった。

 真面目が故にきっちりしすぎたようで、それが周りには不評だったようだ。

 その結果、一人になれる自室にこもるようになった。

 両親には少し申し訳ない気持ちもあった。

 息子が部屋から出られなくなったことに心配していたのも知っている。


「自室から出たけど、そういうことじゃないだろうな?」


 現状は自室の部屋から出ているが、親の心配は解消されないだろう。

 引きこもっていた息子がいつの間にか消えているのだ。

 さらに魔王として異世界召喚されたと聞けば、卒倒するのではないだろうか?


「魔王として何か出来ることがあれば良かったんだけど、与えられたのはそこまで大した力じゃないんだよね。はぁ」


 思わずため息をついてしまう。

 こういう時って、チート的な力を手に入れるものじゃないだろうか?

 魔王という魔族のトップに立つのであれば、より強い力が必要になってくる。

 それなのに、手に入れたのは【自分の治める領域を調整する力】である。

 便利なのかもしれないが、とてもチート的な力だとは思えない。


「しかも、使い方がわからないんだよな。こうかな?」

(ブウンッ)

「え?」


 冗談で頭の中で考えてみたら、目の前に画面が出てきた。

 しかも、透き通っているので実体はなさそうである。

 高度な技術が使われてそうだ。


「これが僕の能力か。えっと、変更可能エリアは【自室】と【玉座の間】──これだけ?」


 内容を確認し、驚愕してしまう。

 まさか自分の能力の範囲がそこまで狭いとは思わなかった。

 というか、そもそも僕の魔力量はスクレさんとイスティさんが驚くほどではなかっただろうか?

 それなのに、どうしてこの程度の範囲なのだろう。

 もしかすると、魔力消費の燃費が悪くて、この程度の範囲しかできないのだろうか?


「イスティさんに聞いた方がいいか・・・・・・でも、今更聞けないよな」


 わからないことは知っている方に聞いたことが良い。

 でも、僕は彼女達の手を振り払ってしまった。

 もちろん、頼られたときは助けたい気持ちもあった。

 だが、そんな僕に助けられる力がなかったのだ。

 期待させるわけにもいかない。


「はぁ・・・・・・また一人ぼっちか」


 思わずため息をついてしまう。

 一人に慣れているとはいえ、周囲に人がいることへの憧れがないわけではない。

 もう一度チャンスが来たと思ったが、それも霧散してしまった。

 期待するだけ無駄だったのだろう。


「こうなったら、一人でのんびり過ごそうかな。とりあえず、寝よう」


 ベッドで仰向けになり、だらっと力を抜く。

 予想外の出来事の連続で、かなり身体は疲れていたのだろう。

 すぐに意識が遠のいていく。

 1分も経たず、僕は夢の世界に旅立った。







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