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1-4 召喚されて得た力は何?


「眩しかったな。一体、何が・・・・・・」


 光が収まり、ようやく目が慣れてきた。

 至近距離であの光量は目に毒である。


「タケル様っ!」

「うおっ⁉」


 興奮した様子のイスティ産に話しかけられ、驚きの声を漏らす。

 先程のおどおどとした雰囲気とは違い、グイグイと近づいてくる。

 その勢いに若干押されてしまう。


「何ですか、あの魔力は!」

「はい?」


 理解できず、呆けた声を漏らしてしまう。

 何をそんなに驚いているのだろうか?

 疑問に思う俺を見て、スクレさんが口を開く。


「水晶では魔力の量と魔法の種類がわかります。魔力の量は光量によって判定することができます」

「つまり、あれほど光ったのなら、かなりの魔力量だと?」

「そういうことです」


 説明を聞き、状況は理解できた。

 イスティさんが驚くのも無理はない。


「でも、召喚されたばかりの僕にそんな魔力があるなんて信じられないですね」


 今まで魔法とか魔力なんて縁のない生活を送ってきた。

 その時と何か変わったようには思えない。

 それなのに驚くほどの魔力があると言われるなんて・・・・・・

 元々、あったのだろうか?


「おそらくですが、召喚された影響でしょうね」

「どういうことですか?」


 イスティさんの説明に首を傾げる。

 なぜ召喚されたことが影響になるのだろうか?


「異世界から召喚される際、対象者にとんでもない力が与えられると言われています」

「そうなんですか? というか、過去にも同じようなことがあったんですか?」

「まあ、召喚自体は魔族だけではなく、他の種族でも使われる技術です。タケル様と同じ世界出身の勇者も過去にはいたはずですよ」

「勇者側もか」


 まさか相手側にも同じ状況の人がいたとは思わなかった。

 魔王を討伐するために何の力も放り出されることはないだろう。


「といっても、力が与えられる要因はわからないんですけどね」

「そうなんですか?」

「はい。召喚自体が我々の理解すら及ばない技術なので、解明されていない点が多いのです。異世界を渡ることによって、身体に何らかの変化が起こった──という意見が一番信じられてますね」

「解明されていないのなら、その可能性もありますよね」


 結局原因はわからなかった。

 だが、他にも同じような状況の人がいるとわかってよかった。

 他の人が大丈夫なら、僕も大丈夫だろう。


「これほどの魔力があれば、立派な魔王をやれますよ」


 イスティさんが興奮した様子で話しかけてくる。

 普通に考えれば、魔力は魔法を使うための燃料みたいなものだろう。

 それがかなりの量があるので、強力な魔法を使えるというわけだ。

 だが、気になることがある。


「僕って、どんな魔法が使えるんですか?」


 二人に問いかける。

 いくら魔力が多くとも、使えるのが大したことのない魔法だったら意味はないだろう。

 できたら強力な魔法を使ってみたいものだが・・・・・・


「そういえば、どんな魔法でしょうか? ・・・・・・【領域調整】?」

「なんですか、それ?」


 イスティさんが水晶を覗き込み、怪訝そうに呟く。

 その内容が理解できず、思わず質問してしまった。


「簡単に言うと、自身の治める空間を調整する力です」

「具体的にはどんなことができるんですか?」

「タケル様は魔王なので、おそらく魔王城が領域となっていると思います。つまり、魔王城内の罠などを自由に動かせます」

「それは凄いのか?」


 説明を聞いて、思わずそんな感想を漏らす。

 たった一人で大きな建物の中をいじることができるのは凄いだろう。

 だが、もっと凄い魔法を想像していたので、期待外れの気持ちもある。


「珍しい魔法ではありますが、強い魔法とは言いづらいですね」

「やっぱりですか」


 スクレさんが申し訳なさそうに呟く。

 僕の予想通り、あまり強い力ではないようだ。


「魔族の世界では力こそすべてです。強力な力を扱える者が上に立つべきだと考えられています」

「つまり、僕はその考えからすれば失格だと? このままじゃ、魔王を辞めさせられるのかな」


 まさか魔王を始める前にそんな危機に陥るとは思わなかった。

 何か失態をして辞めさせるならまだしも、適性がなくて始められないとは思わなかった。


「いえ、召喚された時点で魔王としての資格は有しています。強力な力がないからといって、その座から引きずり下ろされることはないでしょう」

「でも、嫌気が差して、ほとんどの人が出て行ったけど?」

「それは・・・・・・」


 なんとか反論しようとしてくれたが、僕の指摘にスクレさんが黙り込む。

 この場に残っている二人の方がレアなのだ。

 この場を立ち去った人たちの方が大半の考え方である。

 僕に魔王として上に立つ資格はないのだろう。


「元々、僕なんかに務まるはずがなかったんだよ」

「そんなことは・・・・・・」


 諦めたような僕の言葉にスクレさんは反論しようとする。

 だが、言葉が続かない。

 まだ出会ったばかりなので、反論できる情報を持ち合わせていない。

 そんな彼女を非難するつもりはない。

 僕が情けないのが問題なのだ。


「疲れたから休ませてもらうよ。玉座の近くにある扉が自室かな?」

「待って・・・・・・」

「僕には期待しなくていいよ。ただ他の方法を探した方が良いと思うな」


 引き留めようとする彼女達を僕は拒絶する。

 期待してくれていた手前、申し訳ない気持ちで一杯である。

 彼女達の幸せを考えるのなら、早めに引くのが良いだろう。

 そんな気持ちを胸に僕は近くのドアを開いた。







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