辺境の村に魔王軍のお偉いさんが現れた
(村長視点)
フロン村の入り口付近には村人たちが集まっていた。
突然の出来事に誰も仕事に集中できなくなっていたからだ。
「初めまして。私は魔王様の秘書をさせていただいております、スクレと申します」
長い銀髪が特徴の女性が挨拶をする。
この辺りでは着ることのないきちんとした服装で、クールな雰囲気の女性だった。
頭には小さな角を生えており、それだけで俺達と違う種族であることがわかる。
「これはご丁寧にどうも。村長のオプトです」
挨拶をされたので、こちらも返しておく。
少し前まで敵対していたが、これぐらいの礼儀は大事である。
現状、彼女から敵意は感じられない。
「まずはこちらをどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
何やら箱を渡されたので、素直に受け取る。
そこまで重くはなかった。
「開けていただけますか?」
「はい……お菓子?」
中に入っていたのはお菓子だった。
辺境の村ではあまり見ることはないものだ。
甘い匂いが漂ってきて、とても美味しそうである。
「すみません。お一ついただきます」
「はい?」
スクレと名乗った女性の突然の行動に驚く。
箱の中からお菓子を一つとり、口に運んだのだ。
一体、何をしているのだろうか?
だが、すぐに行動の意図がわかった。
「この通り、中に毒物などは一切入っておりません。なので、安心して食べてください」
「ああ、そういうことか」
彼女は毒味をしてくれたようだ。
いきなり現れた魔族から渡されたお菓子を普通は食べようと思わない。
元々、敵対していたのだから、そう思われても仕方がない。
彼女が食べることで、少しでも安心して手に取ってもらえるようにしたわけだ。
「それで今回はどういうご用件でしょうか? おそらく、山の向こうに突然現れた城の件でしょうか?」
お菓子を村人に渡し、本来の目的に話を戻す。
彼女がその件で来たことはわかりきっている。
「やはり既に把握済みですか」
「まあ、あれほどの巨大な建物がいきなり現れたのですから当然ですね」
彼女は至って冷静に答えていた。
流石に把握されていることも織り込み済みのようだ。
「では、村長であるあなたと腕の立つ者を数人、集まっていただけませんか?」
「どうしてですか?」
頼みの意図がわからず、首を傾げてしまう。
今回のような重大な件について、村長の俺が必要なのは理解できた。
だが、腕の立つ者を集める意図がわからなかった。
そもそも、辺境の田舎にそこまで腕の立つ者はいない。
まあ、ゼロではないのだが……
「我が主、魔王タケル様に会っていただきたいのです」
「それは分かりますが、腕の立つ者を用意する理由は? もしかして、戦いでもするのですか?」
相手側のトップと会うのが目的なのは察することができた。
だが、やはり腕の立つ者を用意する理由がわからない。
普通に考えれば、戦いの可能性があるぐらいだが……
「いえ、村長一人で魔王城に入るのは心細いでしょうから、一緒にお誘いをしたのです」
「ああ、そういうことですか」
どうやら向こうの配慮だったようだ。
1年前まで戦争だったせいか、戦うという選択肢が抜けきれていない。
「わかりました。少々お待ちいただいてもよろしいですか?」
「もちろんです。準備ができ次第、お声がけください」
すぐに準備できないことは流石に分かっていたのか、彼女はあっさりと受け入れてくれた。
さて、一体誰をつれていくべきだろうか?
魔王城についてきてくれるひとは果たしているのだろうか?
作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。
★5でも★1でもつけていただけると幸いです。




