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2-24 魔王討伐後の勇者の人間国での扱い


「実は俺、指名手配されてるんだよな」

「「「「「はぁ?」」」」」


 予想外の事実を告げられ、その場の全員が驚きの声を漏らす。

 気になってしまい、僕は思わず質問する。


「なんで勇者が指名手配されたの?」

「一言で国家反逆罪かな?」

「なっ⁉」


 想像以上に重罪だった。

 だが、今までの会話から彼がそんな犯罪をするとは思えない。

 一体、何があったのだろうか?


「人間にとって、魔王を討伐した俺は英雄的な存在だった。だが、国王とかにとっては俺への高評価は脅威に思えたんだろうな」

「それで国家反逆罪に? 理不尽じゃないのか?」

「いや、無理矢理取り込もうとされて、反抗したんだ。その際、【ムラクモ】が刺さってしまった」

「刺さった、ってなんで抜いてたの?」


 おかしい状況に思わずツッコんでしまった。

 どのタイミングかは知らないが、国のトップと会っているときに剣を抜いているのは明らかにおかしい。

 それで国家反逆罪に問われてもおかしくはないと思う。


「流石に抜いた状態で謁見したわけじゃねえよ。魔王を討伐した武具をみたいからと言う理由で抜いていたんだ。そもそも俺は刺してない」

「刺してない? 刺さったんでしょ?」


 矛盾に気がつき、聞き返してしまう。

 彼の剣で刺したのでなければ、国家反逆罪にはならないのでは?


「国王の側近が【ムラクモ】を運んでいたんだよ」

「なるほど。その時点で君の手にはなかったわけか」

「そういうことだ。だが、国王が【ムラクモ】を手にした時点で事件が起きた。「バチッ」と激しい衝撃で国王の手がはじかれ、【ムラクモ】が国王の身体を貫いたんだ」

「・・・・・・それが君のせいになったわけか」


 ヒョウゴは全然悪くなかった。

 剣の持ち主という理由だけで無理矢理罪に問われたのだろう。

 なんとも可哀想な状況である。


「国王が危篤なのも罪が重い理由の一つだな」

「危篤? 【ムラクモ】は肉体的なダメージはほとんどないんじゃないの?」


 思わず聞き返してしまった。

 心臓を突き刺された僕やスティフはノーダメージだった。

 なので、刺さっただけでは危篤になるとは思えないのだが・・・・・・


「言っただろう? 二人は心が清すぎてダメージが与えられなかった、と」

「・・・・・・つまり、国王の心はどす黒かった?」


 話を聞いて、その結論に辿り着く。

 危篤ということは【ムラクモ】に斬られる悪感情がかなり多かったのだろう。

 命を落とした先代魔王に比べれば、マシなのかもしれないが・・・・・・


「そういうことだ。そもそも国のトップを張っている奴の心が綺麗なわけがないだろ?」

「そうなの?」

「日々、騙し騙されの世界なんだぞ? そんな状況で心が綺麗な奴は傀儡のトップぐらいじゃないか? まあ、そんなやつでも心が汚いやつもいるだろうがな」

「ああ、なるほど」


 納得せざるを得なかった。

 国の中枢に近いのなら、権謀術数が飛び交っているはずだ。

 そんな状況下で悪感情を持たない方がおかしいわけだ。


「まあ、そんなわけで俺は指名手配されているわけだ」

「でも、おかしくない? 君が指名手配されている情報はまったくなかったんだけど・・・・・・」


 スティフが集めた情報の中に勇者が指名手配されている情報はなかった。

 むしろ情報がなくて、おかしいと思っていたぐらいだ。

 流石に指名手配されていれば、情報を集めなくても自然と入ってくると思う。


「言っただろう? 俺は人間にとっては英雄的な存在だ。そんな中、指名手配の情報が出たとしたら、どう思われる?」

「?」


 質問の意図が分からず、首を傾げる。

 いくら英雄といえど、悪いことをしたら断罪されるべきだ。

 今回は冤罪ではあるけど・・・・・・


「国王の方が何か悪いことをしたんだろう、って思われるだろうよ。その結果、国民から中枢への信用が一気に下がるわけだ」

「そういうことか」

「というわけで、情報は一部の貴族──国王派と呼ばれる主流はだけに伝えられているわけだ。その結果、一般には指名手配の情報はほとんど流れていない」

「それはどうなんだろうね」


 理由は理解できたが、指名手配としてはどうなんだろう。

 自分たちに非があるからおおっぴらにできないのはわかるけど、その対応自体が非を認めているのと同義だと思う。








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