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2-23 先代幹部達の行動理由


「お二人はアズサのことを心配していたのです」

「え?」


 スクレさんが説明を始める。

 まさか自分の名前が出てくると思っていなかったのか、アズサさんは驚きの声を漏らす。

 一体、どういうことなのだろうか?


「【技】の四天王となったアズサの実力は周囲も認めている。けれど、人付き合いが苦手なアズサは周囲と馴染めず、孤立してしまっていた。そのことをお二人は気にしていらっしゃったの」

「別に孤立はしていない」

「じゃあ、お二人以外に交流していた人はいた?」

「・・・・・・」


 スクレさんの指摘にアズサさんは答えられなかった。

 どうやら想像以上に人付き合いが苦手だったようだ。

 そういえば、彼女は部下すらいなかったな。


「アタシたちと交流するようになったのも、お二人がいなくなった後なのよね。それまでは親鳥についていく小鳥みたいにお二人についていっていたわね」

「そんなことは・・・・・・」


 からかうようなラストさんの言葉に反論しようとしたができなかったようだ。

 おそらく自分でも自覚できたのだろう。


「いくら四天王という立場があっても、孤立している者が生き残れるほど甘い世界ではない。アズサのためにお二人は自らの立場を捨てました」

「それで残されたアズサにアタシたちは話かけたのよ。孤立させないためにね」

「最初は拾ったばかりの猫みたいに警戒していましたよね」


 全員がアズサさんのために行動していたようだ。

 おそらく側近と先代【力】の四天王はいずれ自分たちがいなくなったあとのことを心配していたのだろう。

 普通に考えれば、年上である彼らの方が先に死んでしまう。

 自ずとアズサさんが一人残されてしまう。

 ある程度年齢がいってしまうと、なかなか考えを変えることは難しい。

 若い内に変えようとしたのだろう。

 そういう意味で、先代魔王討伐はちょうど良いタイミングだったわけだ。


「でも、わざわざ死んだことにしたのはやりすぎじゃないのか?」


 スティフが会話に入ってくる。

 たしかに彼の言うことはもっともである。

 二人が亡くなったという話がアズサさんを悲しませたりもしたはずだ。


「いえ、誰かが死んだことにしないといけなかったのよ」

「というと?」

「先代魔王様が討たれたのに、部下が全員生きていたら周囲はどう思うかしら?」

「・・・・・・魔王様の為に命も駆けられない不忠者、かな?」


 少し考えて、答えを導き出す。

 自分の命可愛さに生き延びてしまったと思われるだろう。


「そういうことです。そして、残された幹部達に対し、周囲はふさわしくないと判断していたはずです」

「結果として、魔族領がもっと混乱していたわけか」

「はい。そうならないためにお二人は勇者に討伐されたことにして雲隠れされました。幹部も魔王様のために戦ったと示すためにです」

「なるほど」


 説明を聞き、状況は理解できた。

 残された者のために二人は自ら身を引いたわけだ。

 素晴らしい人格者である。

 そして、そんな二人だからこそ──


「【ムラクモ】がまったく反応しなかったのは初めてだったな。正直、人間的に勝てないと思ったよ」


 ヒョウゴが懐かしむように呟く。

 敵だった彼にそこまで言われるなんて、素晴らしい人だったのだろう。


「俺のそれからのことも考えてくれたよ。まあ、ほとんど意味はなかったけどな」

「どういうこと?」


 ヒョウゴが気になることを言ったので、思わず反応してしまった。

 彼の身に何があったのだろうか?









どんどんアズサが残念な人になってしまう。


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