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2-22 勇者の力について


 数分後、玉座の間に僕・スクレさん・四天王の面々・勇者が集った。

 魔王軍の方が人数が多いが、おそらく勇者の方が強い。

 なので、彼はまったく緊張している様子はなかった。


「さて、揃ったな。さっそく話してもらおうか」


 魔王として勇者に問いかける。

 僕とスティフが彼の剣に貫かれたのに生きている件である。

 問いかけられると彼は剣を前に出す。


「この剣は【ムラクモ】という名前だ。【邪】を斬ることができる剣なんだ」

「【邪】を斬る?」


 聞き慣れない言葉に思わず首を傾げる。

 おそらく重要なことなのだろうが、初めてのことで理解できなかった。


「【邪】とは心の中にある悪感情のことだ」

「つまり、心の中にある悪感情を斬るわけか。でも、斬られたはずの僕やスティフはなんともないな」


 説明を聞き、なんとなくだが納得できた。

 だが、今度は別の疑問が出てきた。

 その剣で貫かれた僕やスティフは何の影響もなかったのだ。


「二人には【邪】──悪感情がなかったんだろうな」

「いや、おかしくない? 普通の人間なら、聖人君子でもない限り悪感情があってもおかしくはないでしょ」


 思わずツッコミを入れてしまう。

 自分に悪感情がないとは流石に思えなかった。


「二人とも人を騙すとかできないタイプだろ? 馬鹿正直というべきかな」

「「「「「あ~」」」」」


 女性陣が納得の声を上げる。

 たしかに騙すのは苦手だが、女性陣全員からそのように思われていたのは悲しかった。


「まあ、悪感情がほとんどないおかげで、二人とも影響がほぼなかったんだよ」

「普通はどうなるの?」

「多くは憑き物が取れたみたいにスッキリした感じになるな。善行をよくするようになるみたいだ」

「良い感情だけが残るからか」


 説明を聞いて納得する。

 悪感情が取り除かれ、良い感情だけ残ればそうなるのかもしれない。

 というか、今までの話を聞くと・・・・・・


「もしかして、先代魔王とか討伐していないんじゃないの?」


 そんな結論に辿り着いた。

 僕の言葉にスティフとアズサさんが反応する。

 二人の瞳に期待の色が見えた。


「先代魔王だけ(・・)は討伐したな」

だけ(・・)ってことは、側近と先代【力】の四天王はもしかして?」

「その二人を俺は討伐していない。他の奴らがやっていたら、知らないけどな」

「「本当っ⁉」」


 ヒョウゴの言葉にスティフとアズサさんが同時に反応する。

 身内の生存の可能性にいてもたってもいられないのだろう。


「【ムラクモ】は邪を斬るだけの剣だ。相当な悪人出ない限り、命を取ることにはならねえよ」

「つまり、先代魔王だけは命を取るケースになったわけか」

「ああ、そうだな。あいつは自分の快楽のためだけに戦争を起こしていた戦闘狂だ。心の全てが悪感情だったんだよ」

「そうなると、すべてが斬られることになるから、結果として命を落としたわけか」


 先代魔王だけが討伐された理由がわかった。

 スクレさんたちから話は聞いていたので、先代魔王の為人はなんとなく理解している。

 あまり人格者ではなかったと思っていたが、想像以上に悪人だったようだ。


「側近と先代【力】の四天王は悪感情だけではなかったから、生きているわけだね」

「そういうことだ。というか、あの二人も悪感情は少ない方だったな」

「そうなの?」


 驚きで思わず聞き返してしまった。

 悪感情があるのが普通のはずだ。

 僕やスティフが異常なだけだと思っていたが・・・・・・


「まったく悪感情がないわけではなかったみたいだが、他人のために我が身を犠牲にできるほどの人格者だったよ。正直、敵ながら天晴れだと思ったな」

「そんな人たちだったんだ」


 敵であるはずのヒョウゴからここまで言われるのであれば、二人が素晴らしい人格者であるとわかる。

 それだけにどうして悪人の先代魔王の下にいたのか気になってしまう。

 だが、それよりも先に聞かないといけないことがある。


「どうして二人がいなくなったのか、教えてもらえるかな?」

「「「・・・・・・」」」


 僕が視線を向けると、先代からのベテラン3人は黙っていた。

 勇者以外に詳しい事情を知っているのは彼女達のはずだ。

 どうして黙っていたのか、その理由も含めて聞かないといけないだろう。









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