2-21 勇者と魔王が邂逅する
「お前が魔王か?」
玉座の間に入ってきた勇者が僕を見て問いかけてくる。
おそらく想像と違ったのだろう。
先代魔王を知っている彼からすれば、僕の姿は魔王からかけ離れている。
「ようこそ、勇者殿。僕は魔王タケルです」
「俺は勇者ヒョウゴだ」
自己紹介すると、相手も返してくれる。
お互い気になることもあるだろうが、今はそんな状況ではない。
勇者と魔王が出会えば、やることは一つである。
「早速で悪いけど、君を排除させてもらうよ」
「魔を滅するのが俺の役目だ。恨みはないが、倒させて貰もらう」
お互いの言い分を告げ、戦闘態勢に入った。
勇者──ヒョウゴは剣を構えて、その場から駆け出そうとした。
(バンッ)
「っ⁉」
駆け出す前に彼の足下の床をなくす。
いきなりの出来事に驚きの表情を浮かべる。
(ダダダッ)
落ちていくかと思っていたが、壁を蹴り上がってきた。
そう簡単に倒すことはできなかった。
流石にそれはわかっていたが・・・・・・
((ヒュッ))
床から大きめの針を作り出し、死角から伸ばす。
空中にいる状態なら、回避するのは難しいだろう。
((バキッ))
しかし、あっさりと破壊されてしまう。
やはり攻撃力はスティフ並と考えた方がいいだろう。
((シュルルルッ))
「む?」
壊された針を変形させ、両手首を拘束する。
破壊されないようにしっかりと魔力を込める。
((((ゴゴゴゴッ))))
手首の拘束だけでは頼りないので、天井・床・壁をを一気に動かす。
巨大な質量があっという間にヒョウゴの姿を包み込む。
さて、これで上手くいけばいいが・・・・・・
(ドオオオオオオオオオンッ)
爆発したような音が鳴り響き、巨大な拘束があっさりと破壊される。
中から無傷の勇者が現れる。
息が切れている様子もない。
こちらも魔力的にはそこまで消耗していないが、緊張で精神的にはキツいのだ。
あまりの差で嫌になってしまう。
(ダッ)
破壊された拘束を足場に勇者が駆け出してくる。
対処しようと同じような針を伸ばすが、恐ろしい速さで追いつけない。
回避されるどころか、触れることすらできなかった。
そして、あっという間に僕に接近し──
(ブシュッ)
「っ⁉」
僕の胸に剣が突き刺さった。
背中から突き抜けているのを感じる。
位置的におそらく心臓も貫いているだろう。
「「・・・・・・」」
心臓を貫かれた状況なのに、なぜか沈黙が場を支配していた。
どう反応すれば良いのか分からなかった。
「やはり効果がなかったか」
「そうみたいだね」
ヒョウゴの言葉に僕も頷く。
スティフとの戦い──いや、最後の部分を確認し、予想していたことだった。
だが、それはあくまで予想である。
詳しい説明を聞かないといけない。
「教えてもらえるかな? スクレさんとイスティさん」
「「はい」」
僕が声を掛けると玉座の間に二人が現れた。
申し訳なさそうな表情をしており、どうやらこの状況だけではなく、今までのことも理解しているのだろう。
しっかり説明してもらわないとね。
部下より戦闘描写が短くなりました。
まあ、戦闘が得意ではないので仕方がないですね。
次回、何が起こったのかの説明会になります。
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