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2-20 勇者とスティフの望まない戦いの結末


『はあっ』

『おらぁっ』

(ガキイイイイイイッ)


 勇者の剣とスティフの拳がぶつかる。

 普通に考えれば、拳の方が負けるはずだ。

 だが、なぜか硬い物同士がぶつかった音がしていた。


(ブワアアアアッ)


 その余波で周囲のものが吹き飛ばされていく。

 二人の戦いがどれほど凄まじいものか物語っている。

 吹き飛ばされた瓦礫が窓を破壊していた。

 修繕費などが気になるが、それよりも勇者の襲撃の方が優先である。


『シッ』

『っ⁉』


 拳の攻撃の中にスティフは抜き手を織り交ぜる。

 抜き手が目の前に迫り、勇者は回避行動をとる。


(ヒュッ)

『甘い』


 勇者が回避しながら反撃をするが、スティフはあっさりと受け流す。

 ステータスが上がった彼は想像以上に強いようだ。

 まさか愛の力がここまで強いとは思わなかった。

 本人は自覚していないだろうけど・・・・・・


((ダッ))


 攻防が一段落し、一度二人は距離を取る。

 だが、戦いの最中に休息の時間などない。

 再び距離を詰めようとする。


(ガッ)

『っ⁉』


 だが、勇者が床の溝になっている場所に躓いてしまう。

 バランスを崩し、隙となってしまった。


(ガッ)

『なっ⁉』


 だが、スティフがその隙を突くことはなかった。

 振り下ろされる剣をはじいてしまった。

 バランスを崩した勇者はその衝撃で剣を手元から外してしまった。


『手心を加えたつもりか?』

『倒すのなら真正面からだ』


 舐められたと思ったのだろう、勇者が睨み付ける。

 だが、そんな視線もスティフは気にしていない様子だった。

 武人である彼は相手の失態で勝利を掴むことを良しとしていないのだろう。


『きゃあっ』

『『っ⁉』』


 突然、甲高い悲鳴が上がる。

 二人は声のした方に視線を向ける。


 先程、吹き飛ばされた剣がアズサさんの方に向かっていた。

 普段の彼女ならその程度防ぐこともできただろう。

 しかし、今の彼女は勇者に敗北した直後で、身体も満足に動かせない。

 彼女を助けるべく【領域調整】を発動させようとしたが、あの距離では間に合わない。

 このままでは・・・・・・


(グサッ)

『えっ⁉』

「えっ⁉」


 画面越しのアズサさんと同じ反応をしてしまった。

 向きは違えど、お互い見ている光景は同じだったのだろう。


『良かった。ギリギリ間に合った』


 スティフが背中から剣に貫かれていた。

 ギリギリのところで間に入ることに成功したのだろう。

 だが、その代償があまりにも大きかった。


(ガタッ)

『スティフっ!』


 驚くアズサの目の前でスティフは膝をついた。

 流石にドーピング込みの状況でも、致命傷を食らえば動くこともままならないようだ。

 そんな彼の後ろに近づく人物がいた。


『【力】の四天王──スティフといったな。お前との戦い、楽しかったよ。惜しむらくはこのような結末を迎えずに決着をつけたかった』


 勇者が敬意をもった言葉をスティフにかける。

 その表情から本心であることはわかる。

 だが、今の敵同士の状況では望まない結末でも受け入れざるを得ない。


(ブシュッ)


 険しい表情のまま、勇者は突き刺さった剣を引き抜いた。

 スティフは力なく床に倒れ込んでしまった。

 そんな彼にアズサさんは泣きながらすがりついた。







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