2-18 勇者と【力】の四天王の戦いの始まり
『お前は・・・・・・初めましてか? どこか見覚えがあるけど』
スティフの登場に勇者が反応する。
結構な勢いでぶつかっていたと思うが、まったくダメージが見られない。
だが、それはスティフも気にしていない様子だった。
『俺は【力】の四天王──スティフ様だ。勇者の襲撃から魔王を守るのが仕事だな』
『【力】の四天王? たしか一年前に俺が倒したはずだが?』
流石に1年前のことは勇者も覚えていたようだ。
まあ、スティフより強い父親と戦ったのであれば、記憶に残っていてもおかしくないだろう。
『それは俺の親父だな』
『なるほど、父親の仇を討ちに来たわけか』
『いや、そうじゃない』
『なに?』
予想外の展開に勇者は怪訝そうな表情を浮かべる。
てっきり恨まれていると思っていたのだろう。
正直、僕もそう思っていた。
『【力】の四天王だった親父は負けたから命を落とした。それは親父がお前より弱かったからだ。恨むようなことじゃねえよ』
『なら、どうして俺に挑む? 実力差がわからないほど、弱いわけないよな』
スティフの実力を見抜いた勇者が問いかける。
やはり勇者から見ても、スティフは強者のようだ。
だが、実力差があるのも事実なので、そのような質問をしたのだろう。
『たとえ負けるとわかっていても、男にはやらなきゃならねえことがあるんだよ』
『・・・・・・なるほど。だったら、勝負を受けないと失礼だな』
スティフの本気の思いに応え、勇者は武器を構える。
先程まで使っていなかったので、本気で相手をするつもりか?
『おい、タケル』
「っ⁉」
画面越しに声を掛けられ、驚いてしまう。
一応、城中に水晶を設置していると報告はしているので、僕が見ていることはわかっていたのだろう。
だが、まさか声を掛けられるとは思わなかった。
『これは男の戦いだ。横やりは入れるなよ』
「・・・・・・わかったよ」
聞こえないとわかっているが、答えるしかなかった。
スティフの気持ちを無碍にするのは同じ男としてしたくない。
ここは彼を信じよう。
『さぁ、やろうか』
『ああ、最初から全力でいくぞ。【身体強化】』
スティフがいきなり【身体強化】を発動する。
そして、即座にその場から駆け出した。
だが、この動きは画面越しに視認できた。
アズサさんよりもスピードが遅いということだ。
当然、彼女の動きに対応できていた勇者なら問題がない。
『はあっ!』
(ガララッ)
『っ⁉』
スティフが床に右手をめり込ませる。
走った勢いのまま床をめくり上げ、巨大な壁を作り上げた。
だが、勢いよくあげたせいで、その壁は勇者の方に倒れかかる。
(ズバッ)
大柄なスティフの数倍の高さの壁だったが、あっさりと真っ二つにされる。
流石にこの程度はあっさりと対処されるようだ。
それはスティフも理解していた。
『おらぁっ!』
真っ二つになった壁の間からスティフは右ストレートを放つ。
どうやらあの壁は目くらましの意味があったようだ。
アズサさんのスピードに対応したのなら、それを補う何かが必要だったわけだ。
『ぐっ⁉』
流石に壁に対処してすぐだったので、攻撃を防ぐので精一杯だったようだ。
どうにか剣を間に割り込ませ、直撃は避けた。
再び勢いよく吹き飛ばされた。
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