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2-17 勇者と【技】の四天王の戦い


『【紫電】』


 アズサさんが突きを繰り出していた。

 彼女の全身からピリッと電気のようなものが漏れている。

 もしかすると、魔法で身体能力を強化しているのかもしれない。


『おっと』


 だが、勇者はそれをギリギリのところで回避していた。

 避けていなければ、腹部を貫いていただろう。

 ギリギリのところで回避していたが、余裕はありそうな様子だ。


『【飛燕】』


 回避されることはわかっていたのか、アズサさんは突き出した状態のまま刀を持ち替える。

 今度は風を纏った刀身が斜め上に振り上げられる。


(ガッ)

『前よりスピードも威力が上がっているな。けど、一度見せた技がまた通用すると思わないほうがいいぞ。まあ、初見でも破ったけど』


 勇者はあっさりと刀を受け止めていた。

 いや、正確に言うと右手の人差し指と中指で挟み込んでいた。

 なんという握力なのだろうか。


『それぐらい、わかってるわよ』

『っ⁉』


 だが、アズサさんはすでに次の行動に移っていた。

 刀を手放し、生身で懐に潜り込んでいた。

 武器も持たずに攻めてきた彼女の行動に勇者は驚きの表情を浮かべる。


『【粉通し】』

(ドオオオオンッ)


 アズサさんの拳が勇者の腹部に突き刺さる。

 金属製の鎧が拳を中心に小さなクレーターができていた。

 衝撃も背中から突き抜けているように見えた。

 これは大ダメージだろう──そう思っていたが・・・・・・


『いてぇな』

『っ⁉』


「っ⁉」


 だが、勇者は倒れるどころか、後ずさることもなかった。

 あれほどの衝撃をその場で受けきってしまったのだ。

 それだけでどれほどの耐久力か想像できない。

 画面越しのアズサさんも僕と同じように驚いていた。

 だが、戦場では一瞬の隙が命取りとなる。

 彼女もそれは分かっていたのだろう。


『くっ、【浮舟】』


 地面に落ちていた刀を拾い、縦に振り上げようとする。

 多少慌てた様子だが、それでもスムーズに行動に移していたと思う。


(ガンッ)

『もういいよ』

『っ⁉』


 だが、その反撃も勇者はあっさりと防いだ。

 いや、反撃すらさせてもらったと言ってもいいだろう。

 振り上げられるはずだった刀身を右足で踏み抜き、地面にめり込ませていた。

 深く入り込んでいるみたいで、アズサさんも引き抜くことができない様子だった。


『多少は楽しめるかと思ったけど、一年じゃそこまで強くはならないか』


 少し不満げな様子で勇者は呟いた。

 追撃しようと、右拳を振りかぶる。

 アズサさんを守るべく、【領域調整】を発動させようとした。


(ガシッ)

『おい、何してんだ?』

『誰だ・・・・・・(バキッ)ぶはっ⁉』


 振りかぶった右腕を掴まれ、勇者が驚きの表情を浮かべる。

 そのまま相手に向こうとしたが、その前に顔面を殴られた。

 いきなりの衝撃で勇者は大広間の壁まで吹き飛ばされた。


『間に合ったみたいだな』


 アズサさんのピンチに現れたのはスティフだった。

 その姿はまるで姫を守る騎士のようだった。

 まあ、上半身の筋肉をむき出しにした格好ではあるが・・・・・・







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