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2-6 先代魔王の側近について


「スクレさんの上司って、どんな人だったの?」

「私の上司ですか?」

「うん。話には出てきたけど、具体的には聞いていなかったから」


 先代魔王やスティフの父親についてはいろいろ聞いたが、彼女の上司についてはまだ聞いていなかった。

 気になったので、質問してみた。


「そうですね。一言で言うと、厳しいながらも優しい方でしたね。私を育てるためなのでしょうが、色々と仕事を振られて大変でした」

「パワハラ?」

「どうなんでしょうね? 一応、当時の私にできる範囲の仕事しかなかったので、考えてはくれてたと思いますよ。彼の仕事をするようになってから、それを理解しました」

「先代魔王と共に討たれたから、彼の分の仕事をしないといけなくなったのか」


 彼女も大変だったようだ。

 急に上司の仕事もすることになるのはかなりしんどかっただろう。


「まあ、そうなる可能性も考慮していたんでしょうね。いつの間にか、対処できるように教育されていましたよ。気づいたのは亡くなったあとですけど」

「デキる人だったんだね」


 話を聞く限り、かなり優秀な人だったようだ。

 先代魔王が戦闘面で優秀だったとすると、側近は頭脳で優秀だったのだろうか?


「種族はゴブリンでしたが、【大魔導】と呼ばれるほどの魔法の達人でしたからね」

「そうなの? というか、ゴブリンってそこまで強い種族じゃないんじゃ・・・・・・」


 思わず驚いてしまった。

 魔王となったので、魔族の種族についていろいろと勉強してきた。

 ゴブリンは身長1m程度の人型の魔族である。

 単体ではそこまで強くはないが、集団行動することによってそれなりの脅威になる魔物である。

 集団の中で様々な役割を持ち、魔法を使える個体もいるらしい。


「まあ、彼は例外でしょうね。なんでも幼い頃に魔法に興味を持って独学で勉強し、長い年月を掛けて【大魔導】と呼ばれるまでに至ったらしいですから」

「もしかして、かなり強い?」

「そうですね。少なくとも、スティフの父親は勝てなかったみたいです。先代魔王様についてはわからないですが、少なくとも良い勝負はできると思います」

「そんなに強いんだ」


 想像以上に凄い人だったようだ。

 ゴブリンという能力が高くない種族だったのに、長い年月を掛けて魔族内でもトップクラスの実力になったのか。

 それだけで尊敬に値する。


「ちなみにアズサの父親でもあります」

「え? 彼女って人間だよね?」


 衝撃の事実を告げられ、驚きを隠せなかった。

 どうしてゴブリンから人間が生まれるのだろうか?


「正確に言うと、父親代わりですね。20年近く前、彼が旅先で赤ん坊だったアズサを拾ってきたんですよ。身寄りのなかった彼女を育てたので、アズサの中では父親というわけです」

「ああ、そういうことか」

「まあ、年齢的には祖父と言った方がしっくりきますけどね。育て始めたときには既に50歳を超えていたはずですから」

「たしかにそうだね」


 まさかアズサさんにそんな事情があったとは・・・・・・

 勇者の襲撃により、彼女は先代魔王様を討たれただけではなく、父親代わりもなくしてしまったのか。

 かなりショックだったのではないだろうか?


「ってことは、彼女も家族を失った、ってことでしょ? スティフのやったことって、かなり酷くない?」

「状況を考えれば、たしかに酷いですね。ですが、彼も色々考えて、あえて酷い言い方をしたんだと思いますよ」

「そうなの?」


 理解ができず、首を傾げる。

 一体、どういうことなのだろうか?


「もしかしたら、また勇者の襲撃があるかもしれない。たまたま生き残れたから良かったが、次は命を落とすかもしれない。だからこそ、スティフはアズサを四天王の座から降ろそうとしたのかもしれません」

「だからといって、傷つくようなことを言わなくても・・・・・・」

「頭はあまりよろしくないですからね。ああいうやり方しかできなかったのでしょう」

「う~ん」


 言わんとしていることはわかるが、もう少しやり方があったのではとも思ってしまう。

 やはり悲しませるのは良くない気がする。


「アズサもそれは理解していたので謝罪を受け入れたのですよ。子供の頃から姉弟のように過ごしてきたので、スティフのこともわかっていたみたいで」

「本人達がそれで良いなら、僕から何も言うことはないか」


 仕事に支障がないのなら、魔王として言うことはないだろう。

 何か問題があるのなら、対処する必要はあるが今のところは大丈夫そうだ。


「ちなみに、アズサに暴言を吐いた件を知られれば、確実にスティフは叱られるでしょうね」

「そりゃ、娘が暴言を吐かれたら当然か」

「それもそうですが、スティフの父親からもおそらく叱られます」

「なんで?」

「姉弟として過ごしていたので、彼とも家族同然の付き合いをしていたのです。怒って当然でしょう?」

「ああ、なるほど」


 アズサさんはかなり可愛がられていたようだ。

 先代の幹部たちの後ろ盾があるって、彼女の立場はかなり上だったのではないだろうか?








弱い種族でも長い年月を掛けて強くなるのって良いですよね。

あと、親馬鹿キャラは結構好きです。


作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

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