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2-5 新たな魔王がいなかった理由とは?


「そういえば、魔王がいなかったのに、新しい四天王が選ばれたんだね」


 少しおかしなことに気がついた。

 魔王と四天王の一人が同時にいなくなっていた。

 どちらも重要な役職ではあるが、どちらかというと魔王の方が先に選ぶべきではないだろうか?


「当時、魔王に選ばれるような人がいなかったので、先に四天王から決まりました」

「たしかに僕が召喚されたぐらいだからね。でも、スティフが魔王になろうとしてなかった?」


 召喚されたばかりの頃を思い出す。

 僕が魔王になることを拒否し、彼自身がその立場になろうとしていた。

 そういう風に考えていたと思っていたが・・・・・・


「別に彼も本気で魔王になろうとは思っていなかったと思いますよ」

「そうなの?」

「魔族の未来を憂いていたので、見ず知らずの頼りない人間に任せるよりはと考えていたのでしょう」

「まあ、それもそうだよね」


 自分の見た目が頼りないのは自覚していた。

 彼の立場だったら、自分の方がマシだと考えていてもおかしくはない。


「あと、魔王という立場になりたいと思う者がほとんどいなかったですね」

「え?」


 スクレさんの言葉に驚く。

 魔王とは魔族のトップである。

 誰しもなりたいと思うわけではないが、上昇志向があるのなら目指す者もいる立場だと思う。

 一定数はいると思ったが・・・・・・


「勇者のせいでしょうね」

「それって、魔王を殺した?」

「はい、その通りです。やはり殺されるのは怖いですからね。恐れられていたとはいえ実力を認められていた先代魔王様すら殺されましたから」

「ああ、なるほど」


 説明を聞いて、納得できた。

 強いはずの先代魔王を討った勇者が存在しているのだ。

 自分が魔王になったとして、その勇者がいる限り討伐される可能性が高い。

 そう考えると、魔王になるメリットよりデメリットの方が大きいわけだ。


「ちなみに、他の四天王たちも拒否をしましたよ。イスティとラストは自分にはふさわしくないと言っていました」

「ふさわしくない? 四天王に任じられているのに?」


 疑問に思い、首を傾げてしまう。

 四天王という立場を任せられているのなら、それなりに信頼されていると思うのだが・・・・・・


「ラストはサキュバスなので、種族として下に見られることがあるんです。なので、魔王になろうとしても反対する勢力が一定数います」

「そういうものなんだね」

「イスティは研究者なので、そういう立場はふさわしくないと考えているようです。人を従えるのは苦手みたいですね」

「それはなんとなくわかる」


 二人の事情は理解できた。

 たしかに言う通りかもしれない。


「アズサも断りましたね」

「実力もあるし、真面目だからふさわしいと思うけど?」

「魔王様を守れなかった件もありますからね。あと、彼女には支持する派閥がないんですよ」

「四天王なのに?」


 思わず驚いてしまった。

 四天王なのに、部下がいないのだろうか?


「彼女は人間ですからね。そんな彼女に付き従いたいという者も少ないんです」

「僕も人間だけど?」


 その理由だと僕は魔王にふさわしくないはずだ。

 どうしてそんなことになっているのだろう。


「タケル様の場合、魔王になるために召喚されましたから。ですが、アズサは元々この世界の住人です。根本から違うんですよ」

「・・・・・・そういうものか」


 釈然としなかったが、納得するしかないようだ。








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