2-4 先代魔王時代の襲撃について聞いてみる
「そういえば、先代時代からの幹部ってアズサさんだけなの?」
ふと気になったことがあった。
以前、スティフがアズサさんに怒っていた。
先代が討たれたのに、彼女が未だ四天王の座にいた件である。
「いえ、先代魔王様が討たれて以降、新たに幹部になったのはスティフのみです」
「え? そうなの?」
予想外の答えに驚きを隠せなかった。
てっきりアズサさんだけが幹部を続けていると思った。
だとしたら、スティフの怒りは結構理不尽ではないだろうか?
「彼の言っていたことでしょう? 彼の言い分はあながち間違ってはいなかったんですよ」
「どういうこと?」
「勇者の襲撃により討たれたのは3人のみです。スティフの父親、私の前任の側近、先代魔王様です」
「被害はそれだけだったんだ。でも、国の中枢を担う役目ばかりだね」
人数だけで考えれば、大した被害ではないだろう。
だが、国の中枢を担う者達ばかりやられたと考えたら、被害の割にダメージがでかい。
しかし、気になることもある。
「どうしてその3人だけだったの?」
「勇者の襲撃の際、魔王城にいたのはその3人とアズサだけだったのです。あくまで戦闘できる者に限りますが」
「つまり、アズサさんだけ生き延びてしまったわけだ。だから、父親が亡くなったスティフが怒っていたんだね」
実の家族を失ったのだから、その怒りをぶつけてしまうのは仕方がない。
だからといって、生き残ったアズサさんに向けるのは筋違いな気もするけど・・・・・・
「彼もまだ若いですからね。気持ちの整理もついていなかったんでしょう」
「素直になれないお年頃だしね」
「タケル様も同じぐらいの年齢でしょう? もしかして、彼の気持ちにお気づきですか?」
「うん。スティフが暴言を吐いたときに傷ついた表情をしてたから、本心じゃないことはわかっていたよ。それと姉弟同然という話を聞いて、察した感じかな?」
「意外と人のことをよく見てるんですね」
スクレさんの反応が酷い。
そんなに人の気持ちに疎いように見えるだろうか?
たしかにそこまで得意ではないけど・・・・・・
「あの二人はわかりやすいからね」
「たしかにそうですね」
二人は結構感情が表に出ていた。
スティフは当然ではあるが、アズサさんは意外でもある。
クールな雰囲気だと思っていたが、感情的な面もあるようだ。
「けど、スクレさんも魔王城にいなかったのは珍しいよね? 先代の頃から側近はやっていたんでしょ?」
「私の上司におつかいを頼まれていまして、たまたま城から出ていたんですよ」
「それって、亡くなった三人の内の一人?」
「はい」
彼女が魔王城にいなかった理由がわかった。
たしかにお使いを頼まれたのなら、当然のことだろう。
「すみません」
「なぜ謝罪を?」
思わず謝罪をしてしまった。
いきなりの出来事にスクレさんが戸惑っていた。
「身近な人が亡くなったのはスクレさんも一緒なのに、悪いことを言ったのかなと思って」
「ああ、そういうことですか。気にしなくて大丈夫ですよ」
「そうなの?」
意外とあっさりした反応に呆けた声を漏らしてしまう。
身近な人が亡くなったのなら、もう少し悲しんで良いのでは?
「たしかに亡くなった当初は悲しみもありましたが、勇者の襲撃がなくても長くはなかったかな、と。結構な高齢でしたし」
「そうだとしても、その反応は酷くないかな?」
思わずツッコミを入れてしまう。
大事な部下にそんな反応をされたら、その上司も死にきれないのではないだろうか?
「冗談ですよ。先代魔王様がいなくなった状況をどうにか改善しようと奔走していたので、悲しみに暮れる暇もなかっただけです」
「なら、良かったよ。いや、良かったのかな?」
彼女が非道な人じゃなくてよかった。
襲撃後は大変だったのだろうが、そのおかげで悲しまずに済んだようだ。
「タケル様が来てから状況が改善しましたが、1年も前のことなので今更悲しむこともないかな、と」
「流石に悼んだ方が良いと思うよ?」
時間が経ったので仕方が亡いのかもしれないが、悼む気持ちは忘れない方が良いと思う。
お世話になった人なら尚更である。
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