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閑話1-2 隠れ家的な店での幹部女子会 2

恋バナって良いですよね。


「小さい頃から「お姉ちゃん」って慕ってくれてる弟分がいれば、過保護にもなっちゃうわよね。たとえ、自分より大きくなったとしてもね」

「私は別にスティフのことなんて・・・・・・」

「あら? アタシは別にスティフ坊やのことなんて言ってないけど?」

「っ⁉」


 口を滑らせたアズサは顔を真っ赤にする。

 クールな雰囲気の彼女らしからぬ反応である。


「あんまりいじめないの、ラスト」

「だって、可愛い反応じゃない。こういう新鮮な恋バナって、楽しいでしょ?」

「それは否定しないけどね」


 スクレが窘めるが、ラストの言葉は否定しなかった。

 なので、ラストは追求を止めない。


「いつ頃から好きだったの? もしかして、出会ったときから?」

「そんな早いわけがないだろ。出会ったのはあいつが赤ん坊の頃なんだから」

「ああ、だから「お姉ちゃん」ってしたってたのね。刷り込みというやつね」

「鳥の雛じゃないんだから、そんなことするわけないだろう」


 納得する様子のラストにツッコミを入れるアズサ。

 流石に弟分を鳥の雛扱いされるのはどうかと思っていたのだろう。


「でも、あそこまで好意を示されるのは悪い気はしないんじゃない?」

「それは昔の話だ。この前の件もあるから、今は恨まれてるだろうしな」


 悲しげな表情を浮かべるアズサ。

 つい先日、スティフに言われた暴言を思い出していた。

 謝罪は受け入れたが、言われた事実は変わりない。


「まあ、言い方はあれだったけど、たぶん本心じゃないわね」

「本心じゃない? どういうことだ?」


 疑問に首を傾げるアズサ。

 そんな彼女を見て、ニヤリと笑みを浮かべるラスト。


「人の気持ちをバラすのはあまり感心しないぞ」

「わかってるわよ」


 スクラが注意をする。

 流石に人間関係をこじらせるのはまずいと思っていたのか、ラストは素直に受け入れる。


「そこまで言って何も言わないのはやめてくれ。気になるじゃないか」


 アズサが懇願してくる。

 流石にあそこまで言われれば、気になるようだった。


「そうね。ヒントなら良いかしら?」

「それでも良い」


 少しでも情報を得られるのならとアズサは受け入れた。

 そんな彼女を見て、ラストは妖艶な笑みを浮かべる。


「アタシは【色】の四天王。他者を魅了し、骨抜きにする【魅了(チャーム)】の力で四天王の地位についたわ」

「もちろん、それは知っている。異性だけでなく、同性にも効果があるほど凄まじい力だな」


 同僚であるラストの力についてはある程度知っている。

 アズサも実際に見たことはないが、四天王であることからその実力が疑いようがないことは理解していた。


「でも、【魅了(チャーム)】が聞きにくい相手もいるの。私に魅力を感じない者──同性愛者や人型に欲情しない者、異常性欲者なんてものもいるわね。あとはそういう感情を持たない人にも効きづらいわ」

「ラスト殿の力も完璧ではないということか。でも、その話がどう繋がるんだ?」


 話を聞いて、アズサは首を傾げる。

 話の流れが読めないようだ。


「スティフ坊やは私の【魅了(チャーム)】に抵抗──いえ、まったく効いていない様子だったわ」

「そうなのか?」

「ええ、もちろん。冗談交じりでかけてみたんだけど、ぼけっとした顔をされたわ。あれはかなりショックだったわね」

「それは申し訳ない」


 申し訳なさそうにアズサは謝罪をする。

 だが、ラストは手を横に振って否定する。


「アズサちゃんが謝罪することじゃないわ。スティフ坊やには私の【魅了(チャーム)】が効かない理由があるだけよ」

「ラスト殿ほどの女性の【魅了(チャーム)】が効かない・・・・・・はっ⁉」


 アズサは少し考え込み、すぐに何か気づいた様子だった。

 残りの三人は期待した目でアズサを見る。


「どういう結論になったかしら?」

「ラスト殿の会話にヒントがあったのだな」

「そうね」

「つまり、あいつは同性愛者だったわけか」

「そうそう・・・・・・って、え?」


 ヒントから結論に辿り着いたと思ったが、予想外の答えに呆けた声を漏らすラスト。

 イスティとスクレも同様だった。

 だが、アズサは正解だと思っているようで、話を続ける。


「あいつは筋肉が好きだから、同じように筋肉を持つ同性に靡いても仕方がない。それなら、ラスト殿に魅力を感じなくても仕方がない」

「あの、ラストちゃん?」

「だが、私はそういう気持ちは否定しない。愛は人それぞれだからな」

「「「・・・・・・」」」


 自信満々な答えを宣言するアズサ。

 立派な気持ちではあるが、方向が間違っているのでいらぬお世話だった。

 訂正しようとしたが、勘違いした彼女を納得させるには結論を言わざるを得ない。

 それはスティフの気持ちを暴露することになる。


「(ごめんね)」


 ラストは心の中でスティフに謝罪した。

 これ以上、彼女にできることはなにもなかった。


 魔王群幹部女子会の夜はなんとも言えない雰囲気になったが、次の話題になると楽しい雰囲気にまた戻っていった。

 こうして長い夜が続いた。







作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

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