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閑話1-1 隠れ家的な店での幹部女子会 1

第一章本編終了したので、閑話が始まります。


 魔族領のとある街。

 夜にもかかわらず人通りが多い。

 そんな街の喧騒を避けた裏通りの店に魔王軍幹部の女性陣が集まっていた。


「「「「乾杯」」」」


 4人はグラスが合わせると綺麗な音が鳴る。

 全員が飲み物を口にする。


「ぷはぁ。やっぱり仕事終わりにはエールよね」


 ラストは楽しげに口にする。

 大ジョッキのはずだが、あっさりと飲みきっていた。


「そうよね。この楽しみがあるから仕事も頑張れるのよね」


 スクレも笑いながら賛同する。

 彼女の目の前の大ジョッキもすでに空だった。


「まあ、なかなか集まれないんですけどね。やっぱり忙しいですから」

「集まれないからこそ、こういう場が大事なのだろう」


 少し不満げなイスティと落ち着いた様子もアズサ。

 やはり二人の前にも空の大ジョッキがあった。

 魔王軍幹部の女性陣はもれなく大酒飲みだった。


「マスター、大ジョッキ4つおねがい。あと、適当におつまみも見繕って」

「あいよ」


 ラストが注文をする。

 酒以外は曖昧な注文であるが、マスターの男性はまったく気にしていない様子だ。

 裏通りにあるため、そこまで客はいない。

 有名人である彼女達はあまり人が多い店は使えないため、こういう隠れ家的な店によくいくのだ。

 何度も使っているので、雑な注文でも問題はない。


「しかし、新たな魔王様には驚かされたわね。最初は魔王になるのすら断ったのに、まさかスティフに勝つなんて」

「タケル様はやるときはやる人ですよ。最初はいきなりの出来事に戸惑っていただけみたいですし」

「異世界からいきなり召喚されたら、戸惑うのも当然ですけどね」


 ラストの発言にスクレが反論する。

 イスティは情報を補足していた。

 だが、全員が新たな魔王──タケルのことを認めていた。


「たしかに、スティフを倒したのは素晴らしいな。いずれは私とも手合わせしてもらおうかな」


 アズサも楽しげに発言する。

 武人である彼女は強者との戦いを望んでいるのだ。


「あぁ・・・・・・アズサさんは辞めた方が良いですね」

「なんでだっ!」


 だが、そんな彼女の望みもイスティが拒否する。

 アズサは不満げな表情になる。


「スティフは高い身体能力に任せた直線的な戦い方だから、タケル様でもどうにか対処できたんですよ。技巧派のアズサさん相手なら付けいる隙がないですね」

「む?」


 認められているのはわかっているのだろう、アズサは何も言えなかった。


「純粋な身体能力はスティフが上だけど、総合的にはアズサの方が上よね。まあ、あの子もまだ子供だから仕方ない──といっても、アズサもまだ10代だったかしら?」

「つい先日、20歳になった。まあ、それが正確な年齢かはわからないがな」

「そうだったの。おめでとう」

「ありがとう」


 おめでたいことなのでとお祝いの言葉を告げるスクレ。

 表情はそこまで変わらないが、アズサは少し嬉しそうだった。


「アズサが四天王になってもう3年かしら? まさか17歳の少女が四天王に抜擢されるなんて思わなかったわ」

「魔族は実力主義ですから、強い者が立場を得るのは当然の話ですね」


 懐かしそうな表情でラストが語る。

 イスティは納得している様子だった。


「まあ、それでも17歳というのは異例だけどね。大賢者様と先代【力】の四天王の推薦があったからもあるわ」

「・・・・・・」


 スクレの言葉にアズサの表情は暗くなる。

 コネだと言われたと思ったのだろう。

 その様子にスクレは慌て始める。


「別に悪く言っているわけじゃないわよ。実力があるからこそ、二人も推薦したんだろうし」

「いや、コネも事実だろう。3年前の時点で私はブルート様の足下にも及ばなかった」

「そうなの? たしかブルート様に勝利したって聞いたんだけど・・・・・・」


 落ち込むアズサの言葉に驚くラスト。

 知っている話と異なっていたようだ。


「あのときは手加減してくれていたよ。終始、私が攻めているように周囲は見えていただろうが、彼の身体に傷一つ負わせられなかったわ」

「あぁ、あの人の筋肉はエグかったものね。正直、かなり魅力的だったわ」


 アズサはさらに落ち込んでしまうが、それとは裏腹に恍惚とした表情になるラスト。

 【色】の四天王である彼女は性の魅力に敏感だった。


「一度で良いから、あの屈強な身体で抱いてもらいたかったわ」

「それは無理でしょ? あの人、奥様一筋だったし」

「そうなのよね。まあ、それが魅力でもあったけど」


 ブルートの話で盛り上がるラストとスクレ。

 同僚として長く働いていたので、二人からの評価は高かった。


「たしかに頼れる人だったが、私はそういう感情にはならなかったな」


 二人の話を聞いて、アズサはそんな反応になる。

 彼女もお年頃なので興味はあるが、ブルートに対してそんな感情を持っていなかった。

 本人も疑問に思っているようだが、ラストが爆弾を落とす。


「そりゃ、アズサの好みが頼れる年上じゃなくて、頼ってくれる年下だからでしょ?」

「なっ⁉」


 突然、性癖を暴露されて驚くアズサ。

 そんな彼女の表情にラストはニヤリと笑みを浮かべた。







作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

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