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エピローグ 四天王との戦いの末


「スティフを許したんですね」


 スクレさんが話しかけてくる。

 その視線の先にはアズサさんに必死に謝罪するスティフの姿があった。

 しかし、なかなか上手くいかないのか、アズサさんはそっぽを向いていた。


「彼も立派な戦力だからな。わざわざ自ら弱くなるわけにはいかないよ」

「それもそうですね」


 僕の言葉にスクレさんも納得してくれる。

 秘書だから状況をしっかり理解しているのだろう。


「しかし、まさかスティフに勝利するとは思わなかったですね。彼は四天王の中で最も若手ではありますが、戦闘能力は四天王随一だったんですよ」


 僕がスティフに勝利したことを驚いていたようだ。

 まあ、普通に考えればそうだろうな。

 そもそも僕は戦闘の素人である。

 本来ならば、勝てるはずはないのだ。


「スティフが油断していたのもあるけど、わざわざ玉座の間で戦ったからだろうな。領域の中なら自由自在に変化させられるから」

「そう考えると、かなりエグい能力ですよね」


 若干引いたような表情を浮かべるスクレさん。

 その反応は少しショックを受ける。

 僕からすれば、魔力で身体強化したり、魔法を使ったりするのとさして変わりないのに・・・・・・


「ん?」


 ここであることに気がつく。

 【領域調整】の画面を確認したのだが、変化が起きていた。


「領域が増えている? これは魔王城全体が領域になっているのか?」


 領域の項目が増えていたのだ。

 謁見の間や自室以外に武器庫・調理場・訓練所・廊下など様々な場所が増えていた。

 そして、それらをまとめて魔王城という大項目ができていた。


「本当ですか? しかし、どうしてそんなことが?」


 スクレさんが首を傾げる。

 彼女にも覚えがないのだろう。


「スティフと戦ったことで練度が上がったんだろう」

「どういうことですか?」


 イスティさんが話に入ってくる。

 気になったので、思わず聞き返してしまった。


「彼と戦ったときに【領域調整】を使いまくっただろう? そのおかげで練度が上がり、【領域調整】のレベルが上がったんだよ」

「今までも練習で何度も使っていましたよ? ですが、一度もこんなことにはならなかったですが・・・・・・」


 この異世界に召喚されて数日間、【領域調整】の使用回数は軽く3桁を超えているはずだ。

 先程の戦闘でもかなりの回数を使用したが、練習の回数を超えているとは思えない。

 そんな僕の疑問に彼女は答えてくれる。


「安全な場所で練習で使うのと危険な相手との実践では練度の上がり方が異なるんだろう。スティフは仮にも四天王だから、それだけ経験として段違いだったんだよ」

「なるほど」


 説明を聞いて、あっさり納得できた。

 たしかに練習より実践の方が経験値として高そうである。

 そういう意味でも戦って良かったのかもしれない。


「このまま強敵と戦えば、どんどん領域も増やすことができるだろうな。そのうち魔族領だけでなく、人間領も範囲になるだろうかな」

「それはいろいろと問題になりません?」


 研究者としての性か、イスティさんはワクワクした表情になった。

 だが、その内容はどうなのだろうか?

 魔王という立場なので、魔族領を領域の範囲にするのは問題ない。

 だが、人間領は明らかに敵対している場所だ。

 そんなことしたら、大変なことになるだろう。


「まあ、こんな戦いはしばらくごめんだよ。未だに怖いんだから」

「初めての戦いだから仕方がないですよね。しばらくは魔王城をいろいろ調整するだけにしましょう」


 僕の言葉にイスティさんも納得してくれる。

 彼女も非戦闘員なので、戦闘の恐怖を理解してくれているんだろう。


「お、スティフが土下座した。あそこまでやるのか」

「アズサも慌ててますね。あそこまでやられれば、許さざるを得ないでしょうね」


 謝罪の状況が進展していた。

 あの調子だったら、上手くいくだろう。

 先程のスティフも悪態をついていたが、決して本心ではなかったのだろう。

 アズサさんのことを心配していたのかもしれない。

 彼女の方も今は許せていないが、悪感情がある様子ではない。

 これで心配事も一つ減った。


「じゃあ、疲れたから部屋で休むよ」

「お疲れ様です。今日はゆっくりと疲れを癒してください」


 疲れたので部屋に戻ることにした。

 スクレさんも納得して送り出してくれた。

 なので、気にせずに自室に戻り、そのままベッドに身体を投げ出した。


「まさか異世界に召喚されて、魔王をやらされることになるなんてな。でも、意外となんとかなりそうだ」


 今日の成功に考え方がポジティブになった気がする。

 今まで必要とされてこなかったが、ここだったら居場所になるのではという期待を胸に僕は眠りについた。







ここで第一章本編終了です。

次回から少し閑話を挟みます。


作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

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