【力】の四天王との戦い 2 (追加)
追加の話です。
ちょっと戦闘描写を増やしてみます。
「ひいっ⁉」
目の前で柱が爆ぜた光景に僕は恐怖の感情を刻まれた。
思わずその場から逃げ出そうとする。
(ガッ)
「逃がさねえよ」
「っ⁉」
後ろから襟首を掴まれ、僕は引き戻される。
凄まじい力から引きこもりが逃げ切られるわけがなかった。
向きを変えられ、スティフと真正面から向き合うことになった。
だが、襟首を掴まれて地面に足が着いていない状況なので、完全に主導権は向こうにある。
「この程度で魔王を名乗るなんざ、ふさけるのも大概にしろ」
(グイッ)
「うぐっ⁉」
怒りの声と共に首を掴む手に力が入る。
服の襟が締まり、呼吸ができなくなる。
だが、そんな僕の様子を気にすることなく、スティフはさらに怒鳴ってくる。
「てめぇの力はこの程度かよ? こんなんじゃ、その辺の一般魔族にすら糅てねえんじゃねえのか?」
「かはっ⁉」
挑発するような言葉と共に込められる力が強くなる。
身体が締め付けられ、肺から空気が漏れる。
徐々に意識が薄れていく。
(ドスッ、ドスッ)
どうにか逃げようと足をじたばた動かす。
その足はスティフの身体にぶつかるが、まったく効いている様子はない。
むしろこちらの足の方がダメージが大きい。
「うっとうしい」
(ドンッ)
「うぐっ⁉」
蹴られていることが嫌だったのか、放り投げられた。
勢いよく壁にぶつかり、苦しげな声を漏らしてしまう。
掴まれていた襟が解放されたことで再び呼吸をすることができた。
「(やっぱり引きこもりの僕には無理なのかな?)」
だが、僕の心は折れかけていた。
異世界に召喚されたことで勘違いしていたが、僕はもともと引きこもりだった。
いくら魔王になる素質があるといっても、一度はドロップアウトした人間である。
その程度の人間に上に立つことができるはずがない。
「もう終わりか? 情けねえな」
「・・・・・・」
近くに来たスティフが馬鹿にしてくる。
だが、今の僕は反論すらできない。
この状況では馬鹿にされても仕方がないだろう。
「やっぱり人間が魔王になるなんざ最初から無理だったんだな」
「・・・・・・」
反論することはできない。
現に今の僕はなろうとしてこんな状況になっているのだ。
もう諦めて、楽になろうかな?
「まあ、お前のおかげで魔王になるチャンスが回ってきたんだ。ある意味、感謝しても良いかもな?」
「・・・・・・」
役に立てたのなら良かったのかもしれない。
こんな僕でも人の役に立てることを死ぬ前に気づけて良かった。
あとはこのままゆっくり眠って・・・・・・
「魔王になったら、人間は支配してやるか」
「っ⁉」
とんでもない内容に意識が覚醒する。
だが、そんな僕の様子にスティフは気づかない。
「いや、人間だけじゃねえ。魔族でも弱い奴は価値がない。強い魔族を支えるために人間同様に奴隷として支配するしかないな」
「・・・・・・」
彼の演説に僕は答えない。
だが、先程の沈黙とは全然違う。
こいつを魔王にしてはいけない──そんな考えが僕の中に芽生える。
「まあ、お前はまったく役に立たねえだろうし、処理するか」
馬鹿にしたような言葉と共にスティフは右足を上げる。
勢いよく降ろして、僕を踏み抜こうとして──
「【創造】」
(ガクッ)
「なっ⁉」
軸となっていた左足の下に突如として穴ができ、スティフはバランスを崩して背中から転んだ。
立ち上がった僕は転んだ彼を見下ろした。
「たしかに僕は役に立たない人間かもしれない。でも、人の道を外れた奴を見逃すほど落ちてはいないよ」
「てめぇ・・・・・・」
僕の言葉を聞いたスティフは睨み付けてくる。
だが、先程のように恐怖を感じなかった。
やらなければならないことがあるのなら、こんな僕でもやる気が出てくるようだ。
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