1-1 引きこもりが異世界召喚された先は
新作、同時投稿です。
「おお、成功したわ」
「え?」
突然聞こえた見知らぬ声に反応する。
自室なので他の人の声が聞こえるはずがない。
驚いて、その場から勢いよく立ち上がった。
「ひっ⁉」
だが、目の前の光景に思わず悲鳴を上げてしまった。
そこにいは多くの人たちがいた。
いや、それぐらいならまだ良かった。
普通の人間だけではなく、明らかに人間ではない者もいたのだ。
むしろこれだけの悲鳴で済んだのを褒めて欲しい。
「これが新しい魔王様か? 俺の方が強そうだ」
赤い肌をした2m超えで筋骨隆々の大男が睨んでくる。
とても友好そうには見えない。
片方の肩が丸出しの服──というには頼りない布を身に纏い、身長と同じぐらいの巨大な金棒を持っていた。
「そうねぇ。可愛らしいとは思うけど、男らしさを感じないわねぇ。あまり好みじゃないわ」
ピッタリした服(ボンテージという服だろうか?)でそのプロポーションが浮かび上がった蠱惑的な女性が批評している。
彼女を見て、ほとんどの男なら魅力的だと思うだろう。
そんな彼女に好みじゃないと言われ、ショックを受けてしまう。
「しっかり仕事をしてくれれば問題ないだろう。見た目など関係ない」
武人っぽい雰囲気の黒髪ポニーテールの女性が反論する。
人間に近い──いや、人間にしか見えない。
だが、彼女の腰には一本の刀が目に入り、及び腰になってしまった。
「わ、私は、研究の費用さえ、もらえれば・・・・・・」
おどおどとした様子で白衣を着た眼鏡の少女が口を開く。
唯一、彼女だけ僕より小柄だった。
だが、馴れ馴れしく話しかけようとは思えなかった。
こんな屈強な集団の中に混じっているのだ。
周囲から下に見られているようにも感じられないので、見た目通りの人物ではないのかもしれない。
「な、何が起こって・・・・・・部屋にいたはずなのに?」
突然の出来事に僕は状況を理解できなかった。
一人で部屋にいたはずなのに、どうしてこんな衆人環視の元にいるのだろうか?
しかも、明らかに人間ではない者がほとんどである。
これは夢か?
夢だとしたら、かなりの悪夢である。
「突然、申し訳ございません。あなた様は我々の新たな王──【魔王】として召喚させていただきました」
スーツっぽい服を着た女性が話しかけてきた。
健康的な褐色の肌と金色の髪が特徴の美人だった。
好みではないと言われた女性ほどではないが、大人っぽい魅力があった。
しかし、それよりも気になることがある。
「魔王って、どういうことですか?」
いきなりの説明に思わず聞き返してしまった。
もちろん、言葉の意味は理解している。
理解しているからこそ、聞き返してしまったのだ。
そんな僕の反応を見て、スーツ姿の女性が膝をついて頭を下げる。
「衰退して滅び行く運命の我々を魔王として導いてください」
その声音は本気であった。
とても冗談で言っているようではない。
この状況は信じられないことだらけだが、話している内容は真実なのだろう。
「え、無理です」
「「「「「っ⁉」」」」」
あまりにも重たすぎる頼みに思わず断ってしまった。
その瞬間、場の空気が凍ってしまった。
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