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プロローグ 玉座の間で勇者と対峙する魔王

新作、書いてみました。

異世界召喚ものを書いてみます。


(バンッ)


 巨大な城の中でも一際大きな扉が勢いよく開かれる。

 扉は本来静かに開かれるべきものだが、侵入する者にそんなことは関係ないだろう。

 男性3人、女性1人の集団が部屋に入ってくる。


「お前が魔王か」


 一番先頭にいた男性が問いかけた。

 その視線は鋭く、まるで相手を憎んでいるかのようだった。

 他の者達も同様である。

 まるで親の仇であるかのような視線である。


「ああ、そうだ」


 視線の先──玉座に座っていた男が答える。

 全身を黒いローブに身を包み、禍々しい兜を被っていた。

 その姿はまさに魔王と呼ぶにふさわしかった。


「俺は勇者アルク。魔王であるお前を倒し、世界の平和を取り戻してみせる」


 リーダーの男性──アルクは高らかに宣言する。

 彼が武器を構えると、他の仲間達も同様に戦闘態勢に入っていた。

 話し合う余地はないのだろう。

 人間にとって魔族──いや、魔王は倒さなければいけない存在なのだ。

 そのために、彼らは厳しい旅路を乗り越え、魔王城に辿り着いたのだ。


「さあ、いくぞっ!」

「「「おう」」」


 アルクの掛け声と共に全員が一斉に駆け出──


(バンッ)

「「「「えっ⁉」」」」


──そうとしたが、彼らのいた場所の床がなくなった。

 突然の出来事に唖然とする一同。


「「「「うわああああああああああっ」」」」


 突如現れた穴に落ちていくアルクたち。

 悲鳴が続いていたが、少しして聞こえなくなった。

 おそらく穴の底に到着し、意識を失ったのだろう。

 それを確認し、床を元に戻す。


「ふぅ、緊張した」


 一息ついた声と共に兜をはずすと、一人の男が現れた。

 といっても、先程の魔王の雰囲気のような屈強な男ではなかった。

 十代半ばぐらいの年齢だろうか、どこか中性的な雰囲気の少し頼りなさそうな青年だった。


「お疲れ様です、タケル様」


 壁際から一人の女性が現れ、青年をねぎらう。

 スタイル抜群だが、どこか真面目そうな雰囲気の彼女は青年と違ってかなり大人っぽい。

 しかし、様付けしていることから立場的に青年より下なのだろう。


「また別の勇者が来たな。前の勇者は無傷で帰したはずなのに・・・・・・」


 青年は不満げな表情で文句を言う。

 とても他の者達を傷つける悪の親玉とは思えない姿である。


「それも当然でしょうね。魔王を倒すために居城に攻め入ったのに無傷で帰される──勇者としての立場もなくなるでしょう」

「ああ、なるほど。でも、傷つけたくはないんだよな」


 言い分に納得しつつも、自分の考えは譲らない青年。

 そんな彼の言葉に女性は優しく笑みを浮かべる。


「タケル様はそれで良いのですよ。そのおかげで魔族は平和なのですから」

「その分、魔王城が攻められてるけどね」

「仕方がないでしょう? そうなるようにしたのはタケル様自身です」

「まあ、そうなんだけど」


 女性の指摘に青年は不服そうな表情になる。

 彼女の言うとおり、このような事態になったのは彼の判断のせいだった。


「では、今までと同じようにあの者達を人間の村に送り届けますね」

「ああ、頼むよ。そのあとはもう上がって良いよ」

「わかりました。お疲れ様です」


 一礼して女性は退出する。

 広い玉座の間に青年が一人取り残された。

 黒く重く禍々しいローブを脱ぎ、青年は立ち上がった。


「よし、部屋に戻ろう」


 背筋を伸ばし、独り言を漏らす。

 玉座から右後ろに向かうと、そこには小さな扉があった。

 人間一人なら十分ではあるが、玉座の間の方が何倍も大きかった。


 その扉が開かれると、中は小さな部屋だった。

 少し乱れたベッドに脱ぎ散らかされた衣服。

 分厚い本が乱雑に積まれている。


「さて、本の続きでも読むか」


 青年は近くにあった本を手に取り、ベッドに飛び込む。

 行儀の悪い行動だが、部屋の主は彼である。

 咎める者は誰もいない。


「やっぱり自分の部屋が一番だなぁ」


 本を読みながら青年──天城あまぎ たけるは気持ちを緩める。

 そこには魔王としての威厳など全くなかった。

 魔王のはずなのに、まるで引きこもりのような生活を送っていた。








作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

★5でも★1でもつけていただけると幸いです。

1話だけだと評価できないと思うので、続きも読んでいただけたら幸いです。

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