1-17 【力】の四天王との戦い 1
初の戦闘シーンです。
真正面からスティフと向かい合う。
玉座の間には僕たち二人しかいなかった。
これで邪魔は入らない。
「わざわざサシになってどういうつもりだ?」
「あれだけ大見得切ったのに敗北するなんて恥ずかしい姿を見せないようにするためだよ」
「なんだと?」
挑発に反応するスティフ。
やはり感情的なタイプなのだろう。
こういう煽りに弱い。
「まあ、実力差を見せれば、魔王として認められると思ってな」
「ははっ、何を馬鹿なことを言ってるんだ? ちょっと前に来たばっかりの人間が四天王の俺に勝てるとでも?」
「魔王の才能があるから召喚されたんだが? 勝てる可能性はあるだろうよ」
「その舐めた態度、改めさせてやる」
スティフは叫び、背負っていた金棒を構えて戦闘態勢になる。
3m近い長さだろうか、大きめの体格の彼よりもさらに長い。
しかも、そこそこの太さで棘もついており、直撃すれば大ダメージは避けられないだろう。
(ダッ)
「死ねやあっ!」
一気に駆け出し、一直線で僕に向かってくる。
その巨体に似合わず、かなりの俊敏性である。
相手を吹き飛ばすべく、金棒を思いっきり突き出す。
(ガアアアアアンッ)
「っ⁉」
甲高い音が玉座の間に響き渡る。
その音に驚きの表情を浮かべるスティフ。
なぜなら、金棒と僕の間に壁が現れ、攻撃を防いだからだ。
「どうやら、多少の訓練はしてきたようだな」
「そりゃそうでしょ。じゃないと、魔王になるとは言わないよ」
「じゃあ、手加減はいらねえな。【身体強化】」
ニヤリと笑みを浮かべ、スティフは【身体強化】を発動する。
全身に赤いオーラのようなものがゆらゆらと見える。
それだけで先程と違うことがわかる。
(ドンッ)
先程と同じように駆け出す。
だが、地面が踏み抜かれており、身体能力が格段に上がっているのだろう。
僕は即座に【領域調整】を発動させる。
「甘いんだよっ!」
「っ⁉」
一直線に来ると思っていたが、スティフは予想外の行動をとった。
目の前に現れた壁を掴んで飛び上がる。
そのまま壁を足場にして、僕の背後に着地した。
(ガキイイイインッ)
「あぶなっ⁉」
横薙ぎに振るわれた金棒をどうにかして防ぐ。
だが、即席で作ったせいで壁にひびが入っている。
不意を突かれると耐久性も低くなってしまう。
(ダダダッ)
スティフは部屋を縦横無尽に駆け回る。
てっきり攻め続けてくると思っていたのだが、まるで逃げるかのように玉座の間を動き回っていた。
(シュッ)
(シュッ)
(シュッ)
「ははっ、当たらねえよ」
【領域調整】で壁を作り出すが、スティフには当たらない。
ここで相手の目的に気づいた。
動き回ることで的を絞らせないつもりなのだろう。
僕に戦闘経験はまったくない。
だからこそ、こうやって動く相手に対する攻撃は不得手なのだ。
(ガガガッ)
「これならどうだ?」
スティフは動き回りながら、金棒で地面を削る。
一体、何をしているのかと思ったが、削り出された礫を金棒で弾き飛ばす。
「くっ⁉」
自分の目の前に壁を作り出し、飛んでくる礫を防いだ。
それなりの大きさだったので、壁の向こうから振動が伝わってくる。
だが、いつまでも近くに壁を置いておくわけにはいかない。
相手の動きを把握しないといけないのだ。
「あれ?」
だが、壁をなくした瞬間、呆けた声を漏らしてしまう。
スティフの姿がなかったのだ。
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