1-15 玉座の間にて四天王を集める
訓練を始めて数日後、僕は【領域調整】をうまく使えるようになってきた。
魔力の集中もスムーズに行うことができ、発動スピードも格段に上がった。
だが、いまだに自室と玉座の間しか範囲しか入っていないのが謎である。
魔王城自体は僕の支配下にないのか。
「おい、いきなり呼び出して、なんのつもりだ?」
不満げな表情を隠そうとしない男が文句を口にする。
彼はスティフ──【力】の四天王である。
召喚された初日に反対してきた男である。
「文句があるなら来なければ良かったんじゃないの?」
妖艶な女性が煽るように発言する。
彼女はラスト──【色】の四天王である。
相変わらず、目に毒な格好をしている。
「なんだと、ババア。年甲斐もなくそんな格好をしやがって」
「アタシの魅力がわからないみたいね。これだから子供は・・・・・・」
「お前たち、いい加減にしろ。玉座の間だぞ」
言い争う二人を叱責する黒髪の女性。
彼女はアズサ──【技】の四天王である。
以前から気になっていたのだが、彼女は日本人なのだろうか?
だが、現代人っぽい雰囲気はないので、この世界にどこか日本に似た場所があるのだろうか?
あとで聞いてみようかな?
「よく集まってくれたわね」
スクレさんが呼びかける。
その声に三人の視線がこちらに向く。
「一体、何のようですか? また時間の無駄になるのなら、すぐに帰らせてもらうぜ」
「時間の無駄にはならないわ。安心して」
丁寧な風を装った挑発に気にする素振りもないスクレさん。
しかし、スティフという男は生意気が過ぎるな。
ラストさんに子供扱いされていたし、まだまだ若いのかもしれない。
「ほう。じゃあ、どういう用件で呼ばれたのか、教えてもらおうか」
「タケル様が魔王に就任したわ。それを伝えるために呼んだのよ」
「はぁ?」
突然の内容に呆れた表情を浮かべるスティフ。
だが、すぐに怒った表情になり、文句を言い始める
「そいつは魔王になるのを拒否したやつじゃねえか。そんな奴に魔王が務まるはずがねえ」
彼の言い分はもっともである。
たしかに僕は魔王になることを拒否した。
だが、それはあくまで異世界に来たばかりの何もわからない状況だったからだ。
そこから色々事情が変わったのだ。
「タケル様は魔王になる決意をしてくれた。そのための実力もイスティと確認済みよ」
「はい、その通りです」
隣にいたイスティさんも頷いてくれる。
来たばかりとは違って味方がいる状況、安心することができる。
魔王として頑張れる気がした。
「それだったら断る理由はないわね。アタシも賛成するわ」
「そうだな。二人が実力を認めているのであれば、私も異論はない」
ラストさんとアズサさんも納得してくれた。
これで味方は四人になった。
あとはスティフだけだが・・・・・・
「認めねえぞ」
「はい?」
「こんな大して戦いもできなさそうな奴の下に就くなんて、俺は絶対に嫌だね」
事はそう簡単にはいかなかった。
当初の予想通り、彼だけは僕の魔王就任に拒否を示した。
それも仕方がない。
彼は【力】の四天王──戦闘能力で四天王の座についた男である。
だからこそ、僕のことが認められないのだろう。
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