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45歳社長、転生先でハズレスキル「綻びの目」を武器に没落領地を再建する  作者: アカメノコバチ
第21章 リオン・ハル男爵

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第635話 もっと遠くへ

新連載もよろしくお願いします!

『王女殿下、まずは拳をお下げください ~平民出身の転生執事、最強王女を育成する~』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

 上水道の測量が終わり、いよいよ工事の準備が本格的に始まった。


 今回の上水道事業は、ビダン山の北、アナハイムの南にある川から水を取り、領都まで運ぶというものだ。


 取水予定地点から領都の端までは、およそ四十三キロメートル。


 この長い距離を、自然の高低差を利用して水を流す予定だ。


 基本的には地面を掘って水路を造り、崩れやすい場所は硬化石などで補強する。


 そして、領都の近くに水を蓄える配水池を設け、そこから木製の水道管を使って町の中へ水を届ける。


 さらに、ヴァイスさんが研究しているアノー山の苔を利用して、水質を改善する施設も検討している。


 もちろん、まだ研究中だから、最初から全部を造るわけじゃない。


 まずは、取水地点から領都まで安全に水を運べるようにすることが目標だ。


 ただ、一つだけ大きな問題があった。


「……ここか」


 俺は政務所の机に広げた地図を見つめた。


 アナハイムから北へ約五キロメートル。


 そこに、小さな川が流れている。


 今回の予定ルートで、川を横切らなければならないのは、この一か所だけだ。


 ほかにも地盤の弱い場所や、補強が必要な区間はある。


 でも、この川だけは少し事情が違った。


 川の流れる場所が、周囲の土地より低くなっている。


 そのため、予定している高さで水路を延ばすと、川の上を通さなければならない。


 ……うーん。


 どうしたものかな。


 ◇


 前世には、水道橋というものがあった。


 橋の上に水路を通し、川や谷を越えて水を運ぶための構造物だ。


 普通の橋なら、この世界にもたくさんある。


 木で造られた橋もあれば、石やレンガを使った橋もある。


 でも、その上に大量の水を流すとなると、話は別だ。


 まず、水はかなり重い。


 水路そのものの重さに加えて、中を流れる水の重さにも耐えられないといけない。


 しかも、何年も使い続ける予定だ。


「木の橋なら、比較的造りやすそうだけど……」


 俺は紙に簡単な絵を描いた。


 川の両岸に橋を架け、その上に木製の水路を載せる。


 ……うん。


 形としては、これでもよさそうだ。


 でも、木は長い間水に触れていると傷むことがある。


 継ぎ目から水が漏れる可能性もあるし、腐った部分を放置すれば橋が壊れてしまうかもしれない。


 それなら、レンガはどうだろう?


 アーチ型の橋にすれば、かなり丈夫なものを造れそうだ。


 この領にも、レンガを扱う職人もいる。


 ただ、橋脚を支える地面が弱かったら意味がない。


 それに、レンガを積んだだけでは、水が漏れてしまうだろう。


 ……鉄を使う方法もあるよね。


 橋を補強したり、水を流す部分を丈夫にしたりできるかもしれない。


 でも、鉄は錆びる。


 大きな部品を造るには加工技術も必要だし、お金もかかるだろう。


 銅も使えるかもしれないけど、金属を大量に使うのは、さすがにもったいない。


 あとは硬化石かな。


 ビダン山で採れる硬化石を使えば、丈夫な橋脚を造れるかもしれない。


 でも、重い石をどう組み合わせるかも考えないといけない。


「うーん……」


 俺は腕を組んだ。


 木、レンガ、石、鉄、硬化石。


 それぞれ長所と短所がある。


 ……あっ。


 そもそも、橋を支える部分と、水を流す部分を同じ材料で造る必要はないのか。


 レンガや硬化石で橋を支え、その上に木製の水路を載せる。


 必要な場所だけ鉄で補強する方法も考えられる。


 なるほど。


 そういう組み合わせもありそうだな。


 もっとも、それが本当に安全なのかは、俺には判断できない。


 川幅も、川底の地盤も、増水したときの水位も、詳しく調べる必要がある。


 水路の高さだって、勝手に変えるわけにはいかない。


 水が流れなくなったら困る。


「ピー?」


 机の上にいたピコが、首を傾げた。


「いろいろ考えることがあるんだよ」


「ピー!」


「あはは。そうだね。職人さんたちに相談しよう!」


 俺の《綻びの目》なら、造ったものの弱いところを見つける手助けはできるかもしれない。


 でも、橋の設計までできるわけじゃない。


 やっぱり、専門の職人や測量士たちの力が必要だ。


 ◇


 翌朝。


 政務所の前には、大勢の人が集まっていた。


 ガイルたちベイルン騎士団。


 アストンが率いるこの領の騎士団。


 そして、測量士や土木工事に詳しい職人たち。


 荷馬車には、測量器具や工具、食料などが積まれている。


「リオン!」


 俺の姿を見つけたガイルが、大きく手を振った。


「おお、ガイル!準備はできた?」


「ああ!いつでも出発できるぞ!」


 ガイルが豪快に笑った。


「まさか、今度は四十キロメートル以上もある水路を造ることになるとはな!」


「あはは。まだ準備段階だけどね!」


「それでも大したものだ!」


 今回は、アナハイム方面で本格的な工事の準備を進めてもらう。


 条件のよい区間では、職人の指導のもと、短い水路を試しに造る予定だ。


 騎士たちには、土砂や石材の運搬などを手伝ってもらうことになっている。


「アストン。よろしくね!」


「はい。職人たちと相談しながら、作業を進めてまいります」


「うん。くれぐれも無理はしないでね」


「承知しました」


 アストンが力強く頷いた。


 もちろん、全員がアナハイムへ向かうわけじゃない。


 領都には、ノルとテオ、それにハル領騎士団の一部が残る。


 領都の警備を疎かにはできない。


「リオン様。こちらの訓練のことはお任せください」


 ノルが頭を下げた。


「うん!よろしく!」


「私たちがしっかりやっておきます!」


 テオも元気よく答えた。


 ……頼もしいなぁ。


 これなら安心して任せられそうだ。


 ◇


「リオンさん!」


 今度は、ナディアが声をかけてきた。


「ナディア!準備は大丈夫?」


「はい。ポロリも張り切っていますよ」


 ナディアの後ろでは、大きなポロリが翼を広げていた。


 ……おお。


 相変わらず大きいなぁ。


「今回もポロリには助けてもらうことになりそうです」


「そうだね!重い石とかを運んでもらえると、本当に助かるよ!」


 以前、レイ湿原で水路を造ったときも、ポロリは硬化石の運搬を手伝ってくれた。


 今回も、大きな石を運ぶ作業などで力を貸してくれるだろう。


「でも、無理はさせないでね」


「もちろんです。ポロリの様子を見ながら手伝ってもらいます」


 ナディアが微笑んだ。


「ポロリ。今回もよろしくね」


 ポロリが大きく翼を動かした。


「ピー!」


 ピコも応援しているのかな?


「それから、ガイル」


「何だ?」


「アナハイムに着いたら、ガルセゾン団の人たちとも協力してもらえる?」


「おう!イレーナたちだな!」


「うん。事前に工事への協力をお願いしたら、引き受けてくれたんだ」


 ガルセゾン団には、鉱山の警備という大事な仕事がある。


 だから、全員に工事を手伝ってもらうわけにはいかない。


 でも、手の空いている団員に、工事現場の警戒や資材運搬などを手伝ってもらえたら助かる。


 もちろん、仕事の内容に応じて、きちんと報酬も支払うつもりだ。


「はっはっは!イレーナとは、また手合わせしたいところだがな!」


「ガイル、今回は工事を頼むよ!」


「ああ!安心してくれ!」


「それじゃあ、みんな。気をつけて!」


「おう!」


 ガイルが元気よく答えた。


 アストンたちも頭を下げる。


 こうして、騎士団と職人たちを乗せた一行は、アナハイムへ向かって出発した。


 ナディアも馬車に乗り込む。


 ポロリは大きな翼を広げ、空へ舞い上がった。


 ……よし。


 いよいよ、上水道の工事が動き始めるんだ。


 俺も領都で、できることを進めていこう。


 ◇


 その日の夜。


 夕食を終えた俺は、ミラと一緒に屋敷の居間でくつろいでいた。


 ガイルとナディアがアナハイムへ向かったので、屋敷はいつもより静かだ。


 ピコも、絨毯の上でゆっくりしている。


「ねえ、リオン」


「何?」


「最近、本当にいろんなことが進んでるね」


 ミラが嬉しそうに笑った。


「そうかな?」


「そうだよ!蒸気機関車も造ってるし、今度は上水道でしょ?」


「うん!」


「学校もできたし、アナハイムも大きな町になってきたよね」


「そうだね」


 ミラは少し考えるように窓の外を見た。


「……何だか、不思議だなぁ」


「何が?」


「私が最初にこの領に来たときとは、全然違うんだもの」


 ……ああ。


 そういえば、あの頃は本当に大変だったな。


「覚えてる?私が馬車で来た日のこと」


「もちろん!」


「リオン、すごく驚いてたよね」


「あはは。だって、突然来るんだもん!」


「手紙に、大変だって書いてあったからだよ」


「それはそうだけど……」


 あの頃、俺は男爵として独立したばかりだった。


 領地の財政は厳しい。


 政務所の仕事も多い。


 騎士団も立て直している途中だった。


 屋敷にいた使用人は、ケーラ一人。


 掃除も十分に行き届かず、使っていない部屋は閉めたままだった。


「最初に屋敷へ入ったとき、びっくりした?」


「うん。少しだけね」


 ミラが笑った。


「でも、リオンの手伝いに来たんだから、別に気にしなかったよ」


「そうだったね」


「ケーラさんも、すごく忙しそうだったし」


「うん。あの頃は本当に無理をさせてたなぁ」


 今でも、あの日のことを覚えている。


 ミラが来てくれた日の夕食は、パンと野菜のスープ、それに少しの肉だけだった。


 侯爵令嬢を迎える食事とは、とても言えなかったと思う。


「そういえば、夕食も質素だったよね」


 俺が言うと、ミラは首を傾げた。


「そう?」


「うん。申し訳ないなって思ってたんだ」


「でも、おいしかったよ?」


「……本当?」


「もちろん!リオンと一緒に食べられたし」


 ……ああ。


 あのときも、ミラは同じようなことを言ってくれたな。


「ふふっ。今だって、こうして一緒に食事できるのが一番嬉しいよ」


「……ありがとう」


 ミラが優しく微笑んだ。


「でもね、リオン」


「うん?」


「あの頃のリオン、今よりずっと忙しそうだったよ」


「……そうだったかな?」


「そうだよ!毎日朝から夜まで働いて、全然休んでなかったでしょ?」


「うん……」


「それに、何でも自分でやろうとしてた」


 ……あっ。


 そうだった。


「ミラに怒られたこともあったね」


「怒ってないよ!」


「そう?」


「うん。ただ、一人で全部やろうとしなくていいって言っただけ」


「……そうだったね」


 俺は、あの頃のことを思い出した。


 領主になったばかりで、何もかも自分が決めなければならないと思っていた。


 領地を立て直すのも、騎士団を再建するのも、住民たちの生活をよくするのも。


 全部、俺の責任だと思っていた。


 もちろん、今だって領主としての責任は変わらない。


 でも、一人で何もかもできるわけじゃない。


「ミラ」


「何?」


「今さらだけど、あのとき来てくれて、本当にありがとう」


「……え?」


「ミラが来てくれなかったら、もっと大変だったと思うんだ」


「そんなことないよ」


「ううん。あるよ」


 俺は首を横に振った。


「ミラはケーラの負担を減らしてくれたし、政務所でも文官さんたちの話を聞いてくれたでしょ?」


「うん」


「俺が気づかなかったことも、いろいろ教えてくれたよね」


 それまでは、どうすれば仕事を早く終わらせられるかばかり考えていた。


 でも、そこで働く人たちが何に困っているのか、ちゃんと聞くことも大切だった。


「だから、今の領地があるのは、ミラのおかげでもあると思ってるよ」


「……リオン」


 ミラが少し頬を赤くした。


「そんなふうに言われると、照れちゃうよ」


「あはは。でも、本当だから!」


 ミラはしばらく黙っていた。


 それから、俺の手にそっと触れた。


「……ありがとう」


「うん」


「私も、リオンの力になれていたなら嬉しいな」


「もちろんだよ!」


 俺はミラの手を握り返した。


 ……本当に、ミラがいてくれてよかった。


「ねえ、リオン」


「何?」


「この領って、これからどうなっていくのかな?」


「これから?」


「うん」


 ミラが窓の外を見た。


「最初に来たときは、こんなに変わるなんて思ってなかったんだ」


「そうだね」


「でも、今は新しいものがどんどん増えてるでしょ?」


「うん!」


「この先、どんな町になるんだろうって考えちゃう」


 ……なるほど。


 これからの領都か。


「俺はね、まず、みんなが安心して暮らせる場所にしたいんだ」


「安心して暮らせる場所?」


「うん。きれいな水が使えて、病気や怪我をしたときも助けてもらえる。子どもたちは学校で勉強できるし、年を取っても自分に合った仕事が見つかる」


「……うん」


「そういう領地になったら、いいと思わない?」


「すごくいいと思う!」


 ミラが嬉しそうに頷いた。


「今回の上水道も、そのためなんだね」


「そう!」


 もちろん、水道だけですべてが解決するわけじゃない。


 医療や衛生、教育も、もっと充実させていきたい。


「それに、鉄道が完成したら、町と町をつなげられるようになると思うんだ」


「蒸気機関車だね!」


「うん!鉱山とアナハイム、それから領都をつなぐんだ」


 大量の鉱石や木材、食料を運べるようになれば、商売もしやすくなる。


 移動が便利になれば、ほかの町で仕事をする人も増えるだろう。


「それができたら、もっと遠くまで線路を延ばしたいな」


「ほかの領地まで?」


「うん。いつかは、アルスレインのいろいろな町を鉄道でつなぎたい」


「……王国中を?」


「そう!」


 ミラが驚いたように目を丸くした。


「あはは。まだ夢みたいな話だけどね」


「でも、リオンなら本当にやっちゃいそう」


 ……いやいや。


 さすがに、俺一人じゃ無理だ。


 でも……。


「いつかはセルヴァンや、ほかの国にも鉄道が延びたら、もっとたくさんの人が行き来できるようになると思うんだ」


 商人だけじゃない。


 職人や研究者、仕事を探している人たち。


 遠くに暮らす家族に会いに行く人もいるだろう。


「そうしたら、領都にもいろいろな国の人が来るようになるかもしれないね」


「……すごい!」


「うん。もっと大きな町になって、いろいろな店や工房ができると思うんだ」


 前世の大きな都市の姿が、頭に浮かんだ。


 人が集まり、商売が盛んになり、新しい建物が次々に造られる。


 市場だけじゃなく、劇場や音楽を楽しめる場所もあったらいいな。


 遠くから来た人たちも、安心して住める町にしたい。


「それに、いつかはもっと背の高い建物が並ぶようになるかもしれない」


「……えっ?」


 ミラが俺を見た。


「今より、もっと高い建物?」


「うん。何階もあるような建物だよ」


「そんなものまで造れるの?」


「いつかはね!」


 蒸気機関車だって、まだ小さなものしか動かせていない。


 でも、研究や技術が進めば、今は難しいことも実現できるかもしれない。


「……リオン」


「何?」


「私が想像してたより、ずっと大きな町になりそうだね」


「あはは。そうなったら嬉しいな!」


 ミラがしばらく考え込んでいた。


 そして、小さく笑った。


「私ね、その町を見てみたい」


「うん!」


「でも、見てるだけじゃなくて、私も何かしたいな」


「ミラも?」


「うん!」


 ミラが自分の手を見つめた。


「今、ナディアから回復魔法を教わってるでしょ?」


「そうだね」


「まだ全然うまくできないけど、もっと練習して、怪我や病気で困っている人を助けられるようになりたいんだ」


「……うん」


「この領には、まだお医者さんも少ないから」


 ……そうだった。


 ミラは以前から、領民のために自分にもできることがないかと考えていた。


 だからこそ、回復魔法の習得にも挑戦している。


「それなら、いつか治療を受けられる場所も増やしたいね」


「うん!それがいいと思う!」


「ミラが回復魔法を使えるようになったら、そこで教えることもできるかもしれない」


「……私が?」


「うん。今はナディアに教わっているけど、いつかミラが誰かに教える側になるかもしれないでしょ?」


 ミラが驚いたように俺を見た。


「……考えたことなかった」


「あはは。まだ先の話だけどね!」


「でも、そうなれたら嬉しいな」


 ミラが微笑んだ。


「私も、もっと頑張ってみる!」


「うん!応援してるよ!」


 ……いいなぁ。


 ミラにも、ミラ自身のやりたいことがあるんだ。


 俺たちが目指す未来は、きっと一人だけのものじゃないんだろう。


「でもさ、リオン」


「うん?」


「本当に、そんなにたくさんのことができるのかな?」


 ミラが少し心配そうに尋ねた。


「水道も、鉄道も、学校も、病院も。全部造るのって、すごく大変そうだよ」


「……うん。そうだね」


 俺は頷いた。


 お金も必要だ。


 人手も、材料も、時間もかかる。


 何より、技術が足りないものもたくさんある。


「正直、俺にも全部できるかどうかはわからないよ」


「そうなんだ」


「うん。でもね」


 俺はミラを見た。


「今は、たくさんの人が力を貸してくれてるでしょ?」


「……うん」


「ローレンさんやアストンたち。ルッツさんにヴァイスさん。それに、ガイルやナディアもいる」


 鉱山で働く人たち。


 農地を耕す人たち。


 工房で物を造る人たち。


 学校で学ぶ子どもたちもいる。


「みんながそれぞれ得意なことをしてくれるから、いろいろなことが進んでるんだ」


「そうだね」


「俺一人だったら、蒸気機関車だって造れなかったと思うよ」


 前世の知識を持っていたとしても、それを形にしてくれる職人がいなければ、何も完成しない。


 俺が知らないことを調べてくれる研究者も必要だ。


 そして、完成したものを使い、広めてくれる人たちも。


「……ミラ」


「何?」


「俺はね、一人で進めば、早くできることもあると思うんだ」


「うん」


「でも、みんなで道を造れば、俺一人じゃ見られない景色まで行けると思うんだ」


 ミラが、俺をじっと見つめた。


「……いい言葉だね」


「そうかな?」


「うん!」


 ミラが嬉しそうに笑った。


「私も、そう思う」


 俺は窓の外に目を向けた。


 夜の領都には、青輝石の街灯がぽつぽつと灯っている。


 あの明かりだって、鉱山で働く人や、街灯を造る職人たちがいるからこそ使えるものだ。


「ねえ、リオン」


「何?」


「その未来、私も一緒に見たいな」


 ……ああ。


 嬉しいな。


「もちろん!一緒に見よう!」


 ミラが俺の肩にそっと寄りかかった。


 俺も、その手を握る。


 最初は、何もかも一人でやろうとしていた。


 でも、今は違う。


 ミラがいて、たくさんの仲間たちがいる。


 これから先も、きっと思いどおりにいかないことはあるだろう。


 それでも、みんなと一緒なら、もっと遠くへ進めると思う。


 ……楽しみだな。


 俺はミラと並んで、窓の外に広がる領都の明かりを眺めていた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

前世は長い間、東京で生活していたリオン。

いつかは東京みたいな街を作ることを夢見ています。

まぁ、東京が理想の街とは限りませんが。

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― 新着の感想 ―
え?もう終わりなんですか? 結婚もしてないのに?
2026/10/29 10:07 アルテイシア
ほっこり…癒される回で嬉しいです。 え? 最終回じゃないですよね。結婚式がまだだし!
2026/10/28 07:42 ブーランジェリーねや
はよ、結婚しろ!
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