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45歳社長、転生先でハズレスキル「綻びの目」を武器に没落領地を再建する  作者: アカメノコバチ
第21章 リオン・ハル男爵

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642/670

第618話 綻びの尋問

新連載はじめました!

『王女殿下、まずは拳をお下げください ~転生執事と最強王女の成り上がり~』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

 数日後。


 ガウマンたちが、ビダン山で捕らえた男を領都へ連れてきた。


 幸い、道中で問題は起きなかったそうだ。


 男の体調も回復しているらしい。


 さて、どうしたものか。


 実は、領都にはまだ牢屋がない。


 これまでも犯罪者を捕まえることはあったが、長期間拘束するための施設までは整備できていなかった。


 そこで、政務所の一室を臨時の拘禁室にすることにした。


 窓には鉄格子を取りつけ、扉も補強する。


 そして、警備を担当するのは、騎士団長のアストンを中心としたノル、テオたちだ。


「リオン様。男の身柄は騎士団で預かります」


「うん。お願い」


 アストンが頭を下げる。


「ただ、一つ心配なことがあるんだ」


「何でしょうか?」


「この男、何者かに暗殺される可能性があると思うんだ」


「……暗殺、ですか」


「うん。捕まったとき、自害しようとしたんでしょ? そこまでして情報を守ろうとしたんだから、仲間が口封じに来てもおかしくないよね」


 アストンが頷いた。


「私も同じことを考えておりました」


「そうなんだ」


「はい。ですので、通常の警備では不十分かと」


「うん。できる限り厳重にお願いしたい」


「承知しました。ただ、警備の人数を増やすだけでは、かえって目立つ可能性があります」


「ああ、なるほど」


「外からは普段どおりに見えるようにしながら、内部の警備を強化するつもりです」


 確かに、その方がいいな。


「それと、王都への移送についても気をつけないとね」


「はい。出発日時や経路は、必要な者にしか知らせないようにいたします」


「お願い」


 すると、ノルが口を開いた。


「男が自害を図ったことも、忘れてはなりません」


「そうだね」


「食事や飲み水、身の回りの品についても、十分な確認が必要でしょう」


「うん。それもお願い」


「それから、面会する者が来たとしても制限すべきかと」


「ああ、そうだね」


「内通者が紛れ込んでいる可能性も否定できませんので」


 ……確かに、外から襲撃してくるとは限らない。


「ほかには?」


 テオが口を開いた。


「政務所の周辺を見張る役も必要かと」


「どうして?」


「何日も同じ場所にいる人間や、妙に政務所を気にしている者がいれば、気づけるかもしれません」


「なるほどね」


「それと、夜間の巡回経路も毎回同じにしない方がいいと思います」


「確かに」


 ……さすがだな。


 俺は三人を見る。


「じゃあ、警備全体はアストンにお願いするね」


「承知しました」


「ノルには拘禁室と男の管理を、テオには政務所周辺の警戒をお願いしたい」


「かしこまりました」


「任せてください」


「それから、ほかの騎士たちにも協力してもらって、交代で休めるようにしてね」


 いくら優秀でも、三人だけで昼夜を問わず警備するのは無理がある。


 疲れて判断力が落ちたら意味がないからな。


「承知しました。人員の配置はこちらで調整いたします」


 アストンが答える。


 ……頼もしい。


 騎士団長をお願いしてよかった。


「それじゃあ、俺は男と話してみようかな」


「尋問されるのですか?」


「うん。王都へ送る前に、少しでも情報を集めたいからね」


「承知しました。私も同席いたします」


「お願い」


 さて、どこまで聞き出せるかな。


 ◇


 拘禁室に入る。


 男は椅子に座っていた。


 両手には拘束具がつけられている。


 俺の隣にはアストン。


 ノルは少し離れた場所で男を見張っている。


 テオは扉の外だ。


「こんにちは」


「……」


 男が俺を見る。


 返事はない。


「体調はどう?」


「……」


「怪我は大丈夫?」


「……」


 無言か。


 まあ、予想どおりだな。


 俺は男の正面に椅子を置いて座った。


「俺はリオン・ハル。この領地の領主だよ」


「……知っている」


 おっ。


 返事をした。


「そうなんだ。じゃあ、君の名前を教えてもらえる?」


「マルクだ」


「マルクか」


 《綻びの目》。


 男を見つめる。


 すると、視界に文字が浮かんだ。


《虚飾》

《身元の偽装》

《本名の秘匿》


 ……なるほど。


 やっぱり偽名か。


「マルクって、本当の名前じゃないんだね」


「……」


「違う?」


「好きに考えればいい」


「そっか」


 男は平然としている。


 なかなか肝が据わっているな。


「そういえば、君が入ろうとした作業班には、本当にマルクという人が採用される予定だったんだよね」


「……」


「その人について、何か知らない?」


「知らん」


 文字が浮かぶ。


《虚飾》

《本人との接触歴あり》


 ……おや。


 どうやら、本物のマルクを知っているらしい。


「本当は会っているんじゃない?」


「……」


「その人から名前や仕事の内容を聞いたのかな?」


 男の表情は変わらない。


《身元情報の入手》

《接触経緯の秘匿》


 ……なるほど。


 ここは調べる必要があるな。


 ちなみに、本物のマルクについては、すでにガウマンたちに確認してもらっている。


 幸い、本人の無事は確認できた。


 ただし、なぜ別の男が彼の名前を知っていたのかまではわかっていない。


「まあ、いいや」


「……」


「次の質問ね」


 男がわずかに眉を動かした。


「君は、ビダン山で何をしていたの?」


「働こうとしていただけだ」


 文字が浮かぶ。


《虚飾》

《潜入目的の秘匿》


 ……そうか。


「仕事を探していた人が、どうして共鳴石通信機について書かれた紙を持っていたの?」


「拾っただけだ」


「そうなんだ」


 男が俺を見た。


「疑わないのか?」


「疑ってほしいの?」


「……」


 男が口を閉じる。


 さて。


 この人、なかなか面白いな。


 無理に話を作るのではなく、短い答えで済ませようとしている。


 余計なことを話せば、それだけ矛盾が生まれるからだろう。


「じゃあ、別のことを聞くね」


「……」


「君はアルスレイン王国の人なの?」


「ああ」


《虚飾》

《出身情報の偽装》


 ……違うのか。


「じゃあ、アルスレイン王国の生まれではないんだね」


「……誰がそんなことを言った?」


「君の答え方が、ちょっと気になっただけだよ」


「国境近くで生まれた。国の名前など、どうでもいいだろう」


 ……なるほど。


 うまい答え方だな。


 国境近くというだけでは、どちらの国の出身なのか判断できない。


「そうだね。生まれた場所だけで、その人がどこの国のために働いているかはわからないしね」


「……」


「じゃあ、君に仕事を頼んだのは誰?」


「誰にも頼まれていない」


《虚飾》

《命令者の秘匿》


 ……やっぱり。


「そうなんだ。でも、一人で共鳴石通信機を調べようと思ったの?」


「……」


「誰かがその情報を欲しがっていたんじゃないかな?」


 男は答えない。


 ただ、俺をじっと見ている。


 ……さて。


 ここまでは予想の範囲だ。


 問題は、どこの国が関係しているかだな。


「ところで、最近のドラン帝国についてどう思う?」


「……何?」


「サハル王国との戦争が一段落したでしょ?」


「……それがどうした」


「戦争が終わったわけじゃないけど、停戦すれば軍の動きも変わるよね」


「……」


「それに、戦争中に知らなかった周辺国の情報も集めたくなるんじゃないかな」


 男は黙っている。


 《綻びの目》に文字が浮かんだ。


《警戒の増大》

《任務情報の秘匿》


 ……反応したな。


 ただし、これだけではドラン帝国の人間だとは言えない。


「例えば、アルスレイン王国にいるスパイの数を増やしたりね」


「……随分と想像力が豊かだな」


「そうかな?」


「子供の考えることだ」


 男が初めて薄く笑った。


 ……なるほど。


 俺を挑発するつもりか。


「そうかもしれないね。でも、戦争をした国が、次に備えて情報を集めるのは普通のことじゃない?」


「……」


「それに、ドラン帝国はアルスレイン王国のことも気になると思うんだ」


「なぜだ?」


「サハル王国だけを見ていればいい状況じゃなくなったからね」


 男の目がわずかに細くなった。


「君は、ドラン帝国がこれからどう動くと思う?」


「俺に聞いてどうする」


「意見を聞きたいだけだよ」


「……知らん」


 文字が浮かぶ。


《虚飾》

《停戦後の指示変更》


 ……ん?


 停戦後の指示変更?


 なるほど。


「君は、停戦の前からアルスレイン王国にいたの?」


「……」


「それとも、停戦が決まってから仕事を頼まれたのかな?」


 男の指がわずかに動いた。


《任務変更の事実を秘匿》


 ……なるほど。


 新しく送り込まれたのか、以前からいたのかはまだわからない。


 でも、停戦をきっかけに何かが変わったことは確かそうだ。


「ドラン帝国は、停戦後にアルスレイン王国への情報収集を強化したんじゃない?」


「……」


「少なくとも、君への命令は変わったんだね」


 男の表情が初めて険しくなった。


「……何を根拠に」


「違うの?」


「質問に答えろ」


「俺が質問しているんだけど」


「……」


 男が口を閉じる。


 ……よし。


 少しずつ近づいているな。


「君は、ドラン帝国のために働いているんだね?」


「……違う」


 文字が浮かぶ。


《虚飾》

《所属の偽装》


「じゃあ、君に命令を出した人は、ドラン帝国と関係があるのかな?」


「……」


「いや、関係があるというより、帝国の命令で動いているんじゃない?」


《帝国への忠誠》

《任務内容の秘匿》


「君はドラン帝国の諜報員なんだね」


「……貴様」


 男が低い声を出した。


「なぜ、そう思う?」


「いくつか理由はあるよ」


「聞かせてもらおうか」


 おっ。


 今度は俺に説明させるつもりか。


「まず、君は身元を隠して鉱山へ入ろうとした」


「……」


「しかも、事前に責任者の名前や仕事の内容まで調べていた」


「それがどうした」


「普通の盗人なら、共鳴石通信機の製造施設まで調べる必要はないよね」


「……」


「さらに、捕まったら自害しようとした」


 男の口元がわずかに動いた。


「それで、帝国のスパイだと言うのか?」


「ううん。それだけじゃ国まではわからないよ」


「……」


「だから、君に聞いてるんだ」


 男はしばらく俺を見つめていた。


「……食えない子供だな」


「ありがとう」


 男が小さく息を吐いた。


 今のやり取りで、相手のことが少しわかってきた。


 この男は、ただ黙っているだけじゃない。


 こちらの推測に根拠があるのか確かめようとしている。


 逆に、俺の手の内を探っているんだ。


 さすがに訓練を受けた諜報員らしい。


 でも、こちらにも切り札がある。


「君たちは、アルスレイン王国のいくつかの領地に人を送り込んでいるんだよね?」


「……」


「ただし、全員が同じ場所で活動しているわけじゃない」


 視界に文字が浮かぶ。


《複数の潜入者を認識》

《他班との接触制限》


「それぞれ別の場所で活動しているんだ」


「……」


「しかも、君はほかの人たちの居場所を知らない」


 男の目が見開かれた。


「……なぜだ」


「違う?」


「……」


 文字が変わる。


《情報の分離》

《所在情報を保有せず》


 ……やっぱり。


 これは組織的だな。


 誰か一人が捕まっても、ほかの人間に影響が出ないようにしている。


「他の領地では、どんな情報を集めているの?」


「……知らん」


 文字が浮かぶ。


《任務の一部を認識》

《詳細情報なし》


 全部は知らないのか。


「軍の配置とか、貴族の動向とかかな?」


 男は答えない。


「新しい技術も対象なんじゃない?」


《技術情報への関心》

《報告成果の不足》


 ……報告成果の不足?


 これは気になるな。


「君たち、あまり情報を集められていないんじゃない?」


「……何を言っている」


「少なくとも、君が知っている範囲ではね」


 男がわずかに身を乗り出した。


「……誰から聞いた?」


「誰からも聞いてないよ」


「なら、なぜそんなことを言う」


「君がずいぶん困っているように見えるから」


 男が黙り込んだ。


《調査進捗の不足》

《重要情報への接近失敗》


 やっぱり。


 ただし、他の領地の状況まで全部わかったわけではない。


 この男が知らないところで、情報を集められている可能性もある。


 そこは注意しないとな。


 そろそろ本題に入ろう。


「共鳴石通信機のことなんだけど」


 男の視線が俺へ向いた。


「遠くにいる人と会話できる道具だということは、知っているんだよね?」


「……」


「でも、仕組みはわからない」


 文字が浮かぶ。


《製造方法の調査未達》

《動作原理の理解不足》


「だから、作っている場所を調べようとしたんだね」


「……」


「そして、この領地にたどり着いた」


《製造拠点への関心》

《情報収集の継続を希望》


 ……ふむ。


「君は、共鳴石通信機がこの領地で作られていることを知っていたんだ」


「……」


「それで、ビダン山に入ろうとした」


 男の表情がわずかに変わった。


「どうしてビダン山なの?」


「……」


「この山で採れるものが、通信機に関係していると思ったんじゃないかな?」


 視界に文字が浮かぶ。


《主要調査対象:共鳴石》

《通信機との関連を推測》


「共鳴石が関係しているところまでは調べたんだね」


 男の目が大きく開いた。


「……!」


「でも、どうやって使うのかまではわからなかった」


《使用方法:未解明》


「製造方法も調べられなかった」


《任務未達》


 男が歯を食いしばった。


「……貴様!」


 突然、声を荒らげる。


「何?」


「なぜ、そこまでわかる!」


 ……おっと。


 とうとう我慢できなくなったか。


「俺は質問しているだけだよ」


「嘘をつけ!」


 男が身を乗り出した。


「貴様、心を読むスキルでも持っているのか!」


 ……なるほど。


 そう考えるのも無理はない。


 相手からすれば、隠していることを次々と言い当てられているんだからね。


「どうしてそう思うの?」


「……!」


「俺は心を読めるなんて、一度も言ってないよ」


「……」


「それに、君が知らないことまでわかるわけじゃないからね」


 男が黙り込む。


 俺のスキルについて、これ以上話すつもりはない。


「もう一つだけ聞いてもいい?」


「……」


「君は、集めた情報を誰かに報告した?」


 男の視線が動いた。


「……答えると思うか?」


「思わないよ」


「なら、なぜ聞く」


「確認したいから」


 男が怪訝そうな顔をした。


 視界に文字が浮かぶ。


《報告履歴あり》

《直近の情報は未伝達》


「一度は報告しているんだね」


「……」


「でも、今回ビダン山で調べようとしていたことは、まだ報告できていない」


 男の表情が変わった。


「……貴様、本当に何者だ」


「さっき言ったでしょ?」


「……」


「リオン・ハル。この領地の領主だよ」


 男が何か言おうとした。


 だが、結局、口を閉じた。


 ……よし。


 これである程度わかった。


 ドラン帝国との関係。


 停戦後の諜報活動の強化。


 複数の領地への潜入。


 そして、共鳴石通信機について、どこまで調べられているのか。


 ただし、すべてを確定できたわけじゃない。


 それでも、次に調べるべきことはかなり絞り込めた。


「ありがとう。参考になったよ」


「……」


 男は何も答えなかった。


 俺は椅子から立ち上がる。


「今日はここまでにしようか」


 ◇


 アストンは、目の前で行われた尋問を思い返していた。


 信じられない光景だった。


 あの男は、ほとんど何も話していない。


 それなのに、リオン様は次々と隠された情報に迫っていった。


 しかも、声を荒らげることもなければ、脅すこともない。


 相手が答えなければ、質問を変える。


 矛盾が見つかれば、そこから別の可能性を考える。


 そして、相手が隠したがっていることを、一つずつ絞り込んでいく。


 それだけではない。


 男が逆に質問を仕掛けてきても、リオンは動じなかった。


 むしろ、それすら情報を得る機会にしていた。


 ……すごい。


 普段は、どこにでもいそうな十五、六歳の青年だ。


 誰に対しても気さくで、時には驚くほど無防備に見える。


 だが、王立学院に首席で入学し、二度の飛び級を経て首席卒業。


 その経歴が、決して伊達ではないことを思い知らされた。


 アストンに見えていたのは、相手の反応を冷静に観察し、次々と仮説を立てる若き領主の姿だけだった。


 ……なるほど。


 これほどの人物だからこそ、没落寸前だった領地を、これほど短期間で立て直せたのかもしれない。


 アストンは、静かに感嘆の息を漏らした。


 ◇


 尋問後、共鳴石通信で王宮へ連絡した。


 尋問で得られた情報を、順番に報告する。


 ドラン帝国との関係が強く疑われること。


 サハル王国との停戦後、アルスレイン王国への諜報活動が強化された可能性があること。


 既に複数の領地に調査員が送り込まれているらしいこと。


 そして、共鳴石通信機については、製造場所や材料の一部を把握しているものの、仕組みまでは解明できていないと考えられること。


『……それほどの情報を得たのか』


「はい。ただし、本人が認めたわけではありません。あくまで尋問での反応などから推測した内容も含まれています」


『うむ。それでも、複数の領地にスパイが入り込んでいる可能性があるとなれば、看過できんな』


「私もそう思います」


『王都でも調査を始めよう。各地の領主にも、必要な範囲で警戒を促す』


「お願いします」


『それと、例の男だが、速やかに王都へ移送したい』


「承知しました。護送はこちらで手配しましょうか?」


『いや、王宮から護送の者を向かわせる。お前の領地では、引き渡しまで男を厳重に監視しておいてくれ』


「わかりました。よろしくお願いします」


『うむ。こちらで専門の者に取り調べを行わせる。お前の推測も、改めて確認する必要があるからな』


「はい。よろしくお願いします」


 通信を終える。


 ……ふう。


 どうやら、思っていた以上に大きな問題になりそうだ。


 アストンを呼び、王宮からの指示を伝える。


「王宮から護送の人たちが来ることになったんだ」


「承知しました。それまで男の警備を続けます」


「うん。安全第一でお願いね」


「お任せください。引き渡しの際も、相手の身元を十分に確認いたします」


「ありがとう。お願い」


 アストンが一礼して部屋を出ていく。


 数日後には、王宮から護送の者たちが到着する予定だ。


 それまでは、こちらで男の身柄を守らないといけない。


 さて、これで一段落……とはいかないだろうな。


 まだ領内に別のスパイがいる可能性もある。


 共鳴石通信機以外の技術を狙われることだってあるだろう。


 今後は、さらに気をつけないといけない。


 領主の仕事って、本当に次から次へと増えるな。


 でも、久しぶりに《綻びの目》を使って、改めて思った。


 相手の嘘や隠し事が見えるというのは、決して気分のいいものじゃない。


 前世では、信じていた人間に裏切られたこともあった。


 あのときの気持ちは、今でも覚えている。


 だからこそ、今の自分がどれほど恵まれているのか、よくわかる。


 俺の周りには、信頼できる人たちがいる。


 もちろん、誰にだって欠点はある。


 失敗することだってあるだろう。


 でも、少なくとも、これまで彼らに人を裏切るような綻びを見たことはない。


 そんな仲間たちに囲まれていることが、本当にありがたい。


 ……俺も、みんなの信頼を裏切らないようにしないとね。


 心から、そう思った。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

スパイのマルク(本名不明)、リオンが相手だったので色々と探り当てられてしまいましたが、優秀な人です。

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― 新着の感想 ―
リオンたら尋問の才能もあったんだね~王都でスパイが捕えられたら王宮から呼ばれて尋問してくれって言われるんじゃない?スパイの輸送だけどそれこそ転移を使えばいいような?もちろんスパイは何も予想できないくら…
諜報員からすればほぼ反応してないのに核心に迫られていくのは恐怖だろうねぇ
暗殺や護送中の襲撃に警戒が大変だから、目隠し、猿ぐつわ、耳栓のす巻き状態にして司法院のヴァレスト公爵まで転移したら早いと思ったけどスパイマルクも侮れないから無理だったか
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