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45歳社長、転生先でハズレスキル「綻びの目」を武器に没落領地を再建する  作者: アカメノコバチ
第21章 リオン・ハル男爵

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第571話 集まる仲間

お手すきの際に是非!

《剣聖》になった弟に家を追い出された俺のスキルは《会員》でした

(https://ncode.syosetu.com/n6087ms/)からご覧いただけます。

「じゃあ、すぐ書くよ」


 俺は席を立った。


「僕も書こう」


 エドガーも続く。


「私もね」


 セレナも立ち上がった。


 王都へ使者を出すなら、少しでも早い方がいい。


 ◇


 執務室へ移動し、それぞれ手紙を書く。


 俺はヴァレスト公爵へ。


 エドガーは国王陛下と宰相へ。


 セレナも父親への手紙を書いている。


 隣を見ると、ミラまで紙を広げていた。


「ミラも?」


「うん。お父様に」


「そっか」


「いきなり二人で行くより、先に知らせておいた方がいいでしょ?」


「確かに」


 俺も手元の紙へ視線を戻す。


 ヴァレスト公爵への手紙は、それほど長くしなかった。


 ノア山脈で複数の資源を発見したこと。


 王家の許可をとった後、大規模な開発事業を考えていること。


 資金援助ではなく、事業への出資について相談したいこと。


 王都にいる間に時間をもらえないか。


 それだけを書いた。


「できた」


 顔を上げる。


「僕もだ」


「私も」


 エドガーとセレナもほぼ同時だった。


「早いね」


「リオンに言われたくないよ」


「そう?」


 少し遅れてミラも手紙を書き終えた。


「私もできた」


「何て書いたの?」


「リオンと一緒に帰るって」


「それだけ?」


「ちゃんと大事な相談があるとも書いたよ」


「そっか」


 ミラから手紙を受け取る。


「これはローレンに渡して、ハーウェイ領へ届けてもらおう」


「お願い」


「うん」


 その後、王都へ送る手紙をエドガーがまとめ、護衛の一人を呼んだ。


「王都まで頼む」


「はっ」


「王宮へこれを。それから、ヴァレスト公爵へ二通届けてほしい」


「承知しました」


「できるだけ早く頼む。ただ、無理はするな」


「はっ」


 使者が手紙を受け取り、部屋を出ていった。


「どれくらいで戻ってくる?」


「王都へ行って戻るだけなら、早馬で二日くらいだ」


「そんなに早いんだ」


「今回は返事を待つから、もっと掛かるよ」


 エドガーが答える。


「父上と宰相の予定を確認して、ヴァレスト公爵からも返書をもらう。すべて戻ってくるまで四日か五日は見ておいた方がいい」


「そっか」


 その間にできることはある。


「リオン」


「何?」


「それなら、山を見せてもらってもいいか?」


「ビダン山とアーシタ山?」


「ああ。父上へ報告するなら、僕自身も見ておきたい」


「もちろん」


 すぐ答えたものの、一つ気になった。


「でも、東側は大丈夫?」


「うん?」


「何日もこっちにいて」


「ああ」


 エドガーが笑った。


「今は調査結果を待ってるところなんだ」


「人口とか税とか?」


「それもだね。耕作地や道路、橋、水路も調べてもらってる。僕がずっとそこにいても、早く終わるわけじゃないから」


「そっか」


「それに、僕がいなくても判断できる文官を何人か残してあるよ。数日なら問題ない」


 すると、ヴィクトルが笑った。


「その点じゃ、エドガーの方がリオンより優秀な領主だな」


「え?」


「人に任せられるところだよ」


「俺だって任せてるよ」


「山も湿原も政務所も、自分で見に行ってるだろ?」


「必要だからだよ」


「ほら」


「何が?」


 ミラまで笑っている。


「最近は前より任せられるようになったけどね」


「前より?」


「うん」


 もう少し評価してほしい。


「山ですか……」


 ナディアが小さく呟いた。


 興味がありそうだ。


「ナディアも行く?」


「私もですか?」


「うん」


 ナディアはすぐには頷かなかった。


「ですが、よろしいのですか?」


「何が?」


「共鳴石に硬化石、それに銅まで見つかった場所ですよね」


「うん」


「今後、アルスレイン王国にとって重要な場所になるのではありませんか?」


「ああ」


「私はセルヴァン王国の人間です。簡単に見せてよい場所ではないと思います」


 そういうことか。


「今はまだ、ただの山だから大丈夫だよ」


「ただの山……ですか?」


「うん。鉱山として認められたわけでもないし、採掘方法も決まってない」


「ですが、共鳴石は」


「軍事利用に関わる仕組みまでは見せないよ」


「……」


「それにナディアには、レイ湿原の米作りで助けてもらってるからね」


 ナディアが少し考える。


「でしたら、ご一緒させてください」


「もちろん」


「私も行くよ」


 ミラが言う。


「うん」


「私もよ」


 セレナまで続いた。


「ここまで聞いて、山だけ見ないで帰れっていう方が無理でしょ?」


「それもそうだね」


 ヴィクトルは言うまでもない。


 人数がかなり増えてきた。


「ちょっと待ってて」


「どこ行くの?」


「ルッツのところ」


 ◇


 政務所の一角にあるルッツの作業部屋へ入る。


「ルッツ」


「ん?」


 机の上には共鳴石や金属部品が並んでいた。


「今から南に行くんだけど、通信機を二つ借りていい?」


「ええ、どうぞ」


「新しいのある?」


「ありますよ、ちょっと待ってくださいね」


 ルッツが奥から二つの木箱を持ってきた。


 前の試作品より少し小さい。


「もう変えたの?」


「使いにくいところがありましたから」


「早いね」


「試作品なので、どんどん改善してるんですよ」


「そっか」


 最新の試作機を二つ受け取る。


 読み取り用の表も一枚もらった。


「片方は政務所に置いていく」


「ええ。また山から使ってみて下さい」


「そのつもり」


「不具合があったら教えてください」


「分かった」


「ピー!」


 足元から声がした。


「ピコ?」


「ピー!」


 いつの間にかついてきている。


「ピコも行く?」


「ピー!」


「じゃあ行こうか」


「ピー!」


 ◇


 そのままローレンのところへ向かった。


「ローレン」


「はい」


 机の上に通信機を置く。


「ルッツが作った最新の試作機」


「ああ、もう新しいものができたのですね」


「うん」


「前より小さくなりましたね」


「使いやすくしたみたい」


 読み取り表も渡す。


「これも置いておくね」


「ありがとうございます」


「俺たちはこれから南へ行く。急ぎのことがあったら、これで連絡して」


「承知しました」


「こっちも一台持っていくから」


「では、こちらでもいつでも確認できるようにしておきます」


「お願い」


 これなら領都を離れていても、緊急の連絡を受けられる。


 まだ試作品だけど、実際に使わないと分からないこともある。


 ◇


 屋敷の前へ戻った。


 思っていた以上の人数になっている。


 エドガーとセレナ、それぞれの護衛と侍女。


 ナディアにも同じように護衛と侍女がいる。


 ミラ。


 ヴィクトル。


 アストン。


 テオ。


「ピー!」


 ピコもいる。


 本当なら転移したい。


 でも、転移魔法を必要以上の人間に見せるつもりはない。


 それに、これほど大勢を一度に転移させた経験もなかった。


 できるからといって、いきなり試す必要もない。


 今回は普通に向かおう。


「じゃあ――」


 出発しようとした時だった。


「男爵様!」


 門の方から使用人が走ってきた。


「どうしたの?」


「ベイルン家の方々がお越しです!」


「え?」


 門の向こうを見る。


 馬車。


 騎士。


 かなりの人数だ。


 そして、その先頭にいる大きな男。


「リオーーーン!」


「ガイル!」


 思わず声が出た。


「来たぞ!」


 ガイルが大きく手を振る。


 後ろには騎士たちが続いていた。


「早かったね!」


「おう!」


 ガイルが馬から降りる。


「ナディアから手紙来た?」


「来たぞ!」


「何て?」


「お前が困ってるって!」


「ははは……そこ強調されてた?」


「されてた!」


 ナディアを見る。


「ナディア」


「人手が足りないのは事実でしたので」


「まあ、そうだけど」


「それでリオン!」


「何?」


「何をすればいい!」


「もう?」


「そのために来たんだろ!」


 相変わらずだ。


 でも、ありがたい。


「ありがとう」


「気にするな!」


 その時だった。


「キュ?」


「……ん?」


 ガイルの肩から、小さな顔が覗いた。


 緑色。


 見たことのない生き物。


「ガイル」


「何だ?」


「それ、何?」


「ナッシュだ!」


「名前じゃなくて」


「キュ!」


 ナッシュと呼ばれた生き物が鳴く。


「ちょっと待って」


 セレナが目を細めた。


「それ……ドラゴンじゃない?」


「ああ!」


「……」


 セレナが固まる。


 エドガーとヴィクトルもガイルの肩を凝視していた。


「ドラゴンなの?」


 エドガーが聞く。


「そうだ!」


「キュウ!」


「どうしてガイルがドラゴンを連れてるんだ?」


 ヴィクトルが聞く。


「グリーンドラゴンに頼まれた!」


「……」


「……」


「……」


 三人が黙った。


 俺もよく分からない。


「ガイル」


「何だ?」


「どういうこと?」


「色々あった!」


「説明になってないよ」


「そのうち話す!」


「そっか」


 まあ、ガイルだし。


「ガイルさん」


 ナディアが前へ出た。


「お久しぶりです」


「おお! ナディア!」


「その子はガイルさんの従魔ですか?」


「そうだ! ナッシュだ!」


「キュ?」


 ナディアが顔を覗き込む。


「可愛いですね」


 そっと手を差し出す。


 ナッシュがその指へ鼻先を近づけた。


「キュ……」


 ナディアが優しく頭を撫でる。


「キュウ」


「嫌がりませんね」


「ナッシュもナディアが好きみたいだな!」


「そうでしょうか?」


 ナディアが微笑む。


 もう一度撫でると、ナッシュも大人しくしていた。


 気に入ったみたいだ。


「それでリオン!」


「うん?」


「俺たちは何をやればいい?」


「まず、家を作るのを手伝ってほしい」


「家?」


「南にレイ湿原があるのは知ってる?」


「ああ!」


「その湿原とノア山脈の間に広い平地があるんだ」


 南に見える山を指す。


「あの辺り」


「あそこか!」


「うん。将来、人が住める町にしたい」


「分かった!」


「まだ終わってないよ」


「続けろ!」


「まず土地を整えてほしい。木を切って、根を抜いて、建物を建てられる状態にする」


「おう!」


「それと資材運び。長屋を建てる時の力仕事もお願いしたい」


「任せろ!」


 ガイルが後ろを振り返る。


「コディ! ハガー! できるよな!」


「整地、伐採、資材運搬であれば問題ありません」


 コディが答える。


「建物も問題ありません」


 ハガーも頷く。


「俺たちは力仕事をやればいいんだろ?」


「うん。本当に助かるよ」


「道路はどうする?」


 ガイルが聞いた。


「それは後」


「後?」


「作るつもりだけど、今は人が住める場所を先に作りたい」


「分かった!」


 本当に話が早い。


 ふと周囲を見る。


 ……多い。


 ミラ。


 ナディア。


 ヴィクトル。


 エドガー。


 セレナ。


 ガイル。


 それぞれの護衛や侍女。


 ベイルン騎士団。


 アストン。


 テオ。


 ピコ。


 そしてナッシュ。


「すごい人数になったね」


 思わず言う。


「リオンのところに集まったんでしょ?」


 ミラが言った。


 セレナが周囲を見る。


「なんだか懐かしい顔ぶれね」


「確かにな」


 ヴィクトルも笑った。


「まだ卒業して何カ月も経ってないけどね」


「ああ、そうだな」


 エドガーが頷く。


「それぞれ別のところに行ったはずなのにね」


「何の話だ?」


 ガイルが聞く。


「ガイルは気にしなくていいよ」


「なんでだ!」


「なんとなく」


「気になるぞ!」


 皆、相変わらずだな。


「じゃあ行こうか」


「おう!」


「ピー!」


「キュウ!」


 ガイルにピコとナッシュまで続く。


 それぞれ馬や馬車へ乗り込む。


 ずいぶん賑やかな一行になった。


 俺たちはノア山脈とレイ湿原の間にある平地を目指し、南へ向かった。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

ついにガイルも来ました。このメンバーが揃うのは約30話ぶりくらいですかね。

ナッシュについて気になる方は「《剣聖》になった弟に家を追い出された俺のスキルは《会員》でした」をご覧ください。

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― 新着の感想 ―
ガイル相変わらず暑苦しいほど元気な男よのぉ…。ガイルの従魔とナディアの従魔が出会ったらと考えたらこれはフラグなのでは?とニヤニヤしてしまいました♪
最近、転移魔法とか収納魔法とか表に出しちゃダメな魔法バンバン使いすぎていてあんなに必死に隠してたのになんで一気に緩くなっちゃったか疑問です、、、 便利に使うな的な話重く受けたみたいな過去話はなんだった…
ガイルくんはヒマなのか(´;ーωー`) この国の貴族というか領主も国王もフットワーク軽すぎ とゆーかリオン君 湿地帯の調査は慎重にやった方がいいよー 虫害とか魔物関係もあれば地質構造もある 山のふも…
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