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45歳社長、転生先でハズレスキル「綻びの目」を武器に没落領地を再建する  作者: アカメノコバチ
第21章 リオン・ハル男爵

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第568話 商人の目

お手すきの際に是非!

《剣聖》になった弟に家を追い出された俺のスキルは《会員》でした

(https://ncode.syosetu.com/n6087ms/)からご覧いただけます。

 翌朝。


 政務所の執務室には、いつもより多くの人が集まっていた。


 俺。


 ミラ。


 ナディア。


 ミア。


 ローレン。


 ヴィクトル。


 そしてルッツ。


「ピー!」


 ピコもいる。


「なんでピコまでいるんだ?」


 ヴィクトルが聞く。


「なんでって、いつも一緒にいるから」


「ピー!」


「そうか」


 ヴィクトルは普通に納得した。


 机の上には、昨日までに集めたものを並べてある。


 共鳴石。


 硬化石。


 アーシタ山で見つけた、銅を含んでいる可能性が高い鉱石。


 それから、ルッツが作った試作品だ。


「それで?」


 ヴィクトルが机を見る。


「昨日言ってた大きな商売って、これか?」


「うん」


「石ばっかりじゃないか」


「まずは見てもらった方が早いよ」


「分かった」


 俺は共鳴石を一つ持ち上げる。


「これは共鳴石」


「共鳴?」


「同じ石から割ったもの同士が反応する」


「どういう意味だ?」


「ルッツ」


「ああ」


 ルッツが二つの小さな箱を机へ置いた。


 中には、それぞれ同じ共鳴石から割った欠片が入っている。


「まだ試作品だからな」


 一つを持つと、ルッツが部屋を出ていった。


「どこ行くんだ?」


「隣の部屋」


 ヴィクトルが俺を見る。


「それで?」


「ここを押してみて」


「これか?」


「うん」


 ヴィクトルが箱についた棒を押す。


 中の共鳴石に触れた。


 机の上に残した方の石が光る。


「……」


 ヴィクトルが手を離す。


 光も消えた。


 もう一度押す。


 また光る。


「なるほど」


「これだけじゃないよ」


 紙を一枚渡す。


「何だ?」


「短い光と長い光を組み合わせた符号表」


「短いのと長いので?」


「文字を表す」


「……文字?」


「やってみて」


 ヴィクトルが符号表を見る。


「好きな言葉でいいのか?」


「うん」


 少し考えてから、棒を押した。


 短く。


 長く。


 また短く。


 表を確認しながら何度か繰り返す。


 しばらく待つと、こちらの共鳴石が光り始めた。


「返ってきた」


 今度は俺が符号表を見る。


 一文字ずつ確認する。


「カ……」


 次。


「ネ」


 ヴィクトルを見る。


「金?」


「何か悪いか?」


「いや。ヴィクトルらしいなと思って」


「商人だからな」


 ミラが笑った。


 扉が開き、ルッツが戻ってくる。


「『カネ』って届きましたよ」


 ヴィクトルの表情がすぐに変わった。


「おい、リオン! これはどこまで離れて使える?」


「まだ限界は調べてない」


「壁があっても?」


「この程度なら問題ない」


「同じ元の石から、いくつまで作れる?」


「それも試験中」


「どこまで試したんだ?」


 俺が窓の外のビダン山を指さして答える。


「あのビダン山と屋敷でも繋がった」


 ヴィクトルの動きが止まった。


「……あそこから?」


「うん」


「馬なら何時間掛かる?」


「かなり」


「これなら?」


「ほぼすぐに届くね」


「……」


 ヴィクトルがもう一度、箱を見る。


「誰かに光を見られたら?」


「信号を読まれる可能性はある」


「なら、そのままじゃ重要な話には使えない」


「うん。暗号と、誰が送ったのか分かる仕組みも必要になる」


「石の組み合わせを間違えたら?」


「それも管理方法を考えないといけない」


「なるほど」


 質問が早い。


「ルッツさん」


 ヴィクトルが後ろにいるルッツの方を見る。


「はい?」


「この棒、人によって押す時間が変わりますよね?」


「たぶん」


「一定の長さで押せるようにできないんですか?」


「今それを考えてます」


「石を交換できるようにもした方がいいですね」


「それも実験中です」


 ヴィクトルが少し笑った。


「面白いな」


「でしょ?」


「軍が欲しがる」


「うん」


「王宮も欲しい」


「たぶんね」


「商会なら絶対欲しい」


「どう使う?」


「商品の値段。在庫。馬車の到着。事故。盗賊」


 次々に出てくる。


「遠くの町で何が売れてるかも、その日のうちに分かる」


「そうなるね」


「港のある領なら船の到着も分かる」


「うん」


「国境なら敵が動いた瞬間に知らせられる」


「そういう使い方もできるね」


 ヴィクトルが共鳴石を見る。


「……これ、石だけで売るなよ」


「そのつもり」


「やっぱりか」


「石だけ売ったら、他の人が似たものを作るかもしれないから」


「ああ」


 ヴィクトルが試作品を指す。


「石、機械、符号、使い方。それをまとめて売ろう」


「俺もそう考えてるよ」


「なら、これはこの石を売る商売じゃない」


「何を売るの?」


「通信だ」


 横を見る。


 ミアの筆が止まっていた。


 ローレンも俺とヴィクトルを交互に見ている。


「……」


「ピー?」


 ピコが首を傾げた。


「ピコも分かってないみたい」


 ミラが笑う。


「私も途中から怪しいです」


 ローレンが小さく言った。


 ◇


「次はこっち」


 硬化石を手に取る。


「硬化石」


「今度は何をする石だ?」


「砂や土なんかに混ぜると固まる」


「固まる?」


「見てもらおう」


 ルッツが何枚かの試料を持ってきた。


 どれも見た目が少しずつ違う。


「配合を変えてあるんだ」


 ヴィクトルが一枚持ち上げる。


「これは?」


「硬め」


 机の角へ軽くぶつける。


 鈍い音がした。


「かなり硬いな」


「こっちは?」


「少し柔らかさを残してる」


「なんで?」


「道に使えないかと思ってる」


 俺が答える。


「道?」


「うん。雨が降ってもぬかるみにくくて、石畳より早く作れる舗装材」


 前世でいうアスファルトみたいなものだ。


 もちろん、同じものではない。


「それから、こっち」


 ルッツが別の試料を置いた。


「これは水に浸けてたやつです」


 ヴィクトルが表面を触る。


「崩れてない?」


「ええ。配合によって変わります。まだ割れるやつもあるので完璧ではありません」


「建物にも使うのか?」


「土台とか、床とか、水路とか。使えるところはこれから調べます」


 ヴィクトルが試料をひっくり返す。


「道だけじゃないな」


「うん」


「倉庫の床」


「うん」


「建物の基礎」


「うん」


「水路」


「試したいね」


「橋の土台にも使えるかもしれないぞ?」


「そこは専門家に見てもらいたいね」


「量は?」


「あのビダン山にかなりある」


「……またビダン山か」


「そう」


「ピー」


 ピコが試料へ顔を近づける。


「食べちゃ駄目だよ」


「ピー?」


「食べ物じゃない」


「ピー……」


「なんで落ち込んでるの?」


 ミラが笑う。


 ヴィクトルはもう硬化石しか見ていなかった。


「これも原石の値段だけで売ったら駄目だ」


「だよね」


「舗装材や建築材に加工した方が、ずっと価値が上がる」


「うん」


 俺が頷くと、ヴィクトルがこっちを見る。


「お前、最初からそこまで考えて俺を呼んだな?」


「まあね」


 ◇


「もう一つ」


 アーシタ山から持ってきた鉱石を置く。


「これは?」


「銅を含んでる可能性が高い」


「可能性?」


「俺は鉱山の専門家じゃないからね」


 ルッツが言った。


「工房で扱った鉱石と似てるってだけです。ちゃんと調べないと断定はできません」


「なるほど」


 ヴィクトルが鉱石を手に取る。


 少し眺めた。


「……銅だな」


「分かるの?」


「ああ。間違いない」


 ルッツが少し驚いたようにヴィクトルを見る。


「品質は?」


「悪くない。採掘する価値は十分ある」


「本当に?」


「ただ、この石が銅鉱石だってことと、山にどれだけあるかは別の話だ」


「そっか」


「どこで採った?」


「離れた場所を三か所掘った」


「全部、同じような鉱石が出た?」


「うん」


 ヴィクトルの表情が変わった。


「……それを先に言えよ」


「え?」


「一か所じゃなく、離れた三か所から銅が出たんだろ?」


「うん」


「なら、かなり話が変わる」


 ヴィクトルが椅子へ深く座る。


「共鳴石」


「うん」


「硬化石」


「うん」


「銅」


「うん」


「全部、南の山か?」


「そう」


 ヴィクトルが額に手を当てた。


「卒業して領地をもらったばかりの奴が、なんで次から次へとこんなものを見つけるんだよ」


「俺だって驚いてるよ」


「その割には楽しそうだな」


「うん。大変だけど、楽しくはなってきた」


「リオンらしくて良いじゃないか」


「ピー!」


「ピコは最初から楽しそうだけどな」


 ◇


 ナディアが、共鳴石の箱を見ていた。


「リオンさん」


「何?」


「一つよろしいでしょうか」


「うん」


「この共鳴石は、軍事にも使えるのですよね?」


「使えると思う」


「でしたら……」


 少し間を置く。


「ここから先は、私は聞かない方がよいでしょうか?」


「あ」


 そういうことか。


 ナディアはセルヴァン王国の王女だ。


 ミラがすぐに口を開く。


「ナディアは、知ってしまったことで困らないか気にしてるんだよね?」


「はい」


「セルヴァンへ持ち帰るべき情報なのか、それとも聞かなかったことにするべきなのか」


「その通りです」


 俺は少し考える。


「今話してる範囲なら大丈夫」


「よろしいのですか?」


「うん。共鳴石を使った通信そのものは、いずれ商品にするつもりだから」


「商品に……」


「ただ、暗号とか王国の軍で使う仕組みを作るなら、そこは別にした方がいいと思う」


 ナディアが安心したように頷く。


「分かりました」


「それに、セルヴァンにも買ってもらえるかもしれないし」


「……購入しても良いのですか?」


「外交上の問題が解決したらね」


「リオン」


 ミラが俺を見る。


「何?」


「もう商売の話に戻ってるよ」


「あ」


 ヴィクトルが笑った。


「そっちの方がリオンらしいな」


 ◇


「じゃあ、本題」


 一枚の紙を机へ置く。


 上には、


『南部鉱山共同出資契約』


 と書いてある。


「何だ、これ?」


 ヴィクトルが手に取った。


「この山を使って資金を集める方法」


「山を売るのか?」


「売らない」


「土地は?」


「リオン領のまま」


「採掘する権利は?」


「それもリオン領が持つ」


 ヴィクトルの目が細くなる。


「じゃあ何に金を出させる?」


「一定期間の鉱山事業そのもの」


「……」


「王家とか他の領の出資枠を、最大四十九%にする」


「五十一はリオン領?」


「うん」


「出資した側の見返りは?」


「鉱山から出る売上の五%を、配当用に分ける」


「売上の五%?」


「うん。その五%を、出資した割合に応じて受け取ってもらう」


 ヴィクトルがすぐに考える。


「利益じゃなくて売上にするのか」


「その方が分かりやすいと思ってる」


「経費をいくら使ったとかで揉めにくい」


「そう」


 ヴィクトルの口元が少し上がった。


「それだけじゃないよ」


「まだあるのか」


「出資してくれたところには、採れた資源を優先的に納品する」


「共鳴石も?」


「うん」


「硬化石も?」


「うん」


「銅も?」


「もちろん」


「加工したものは?」


「それも優先する」


 ヴィクトルの顔が変わった。


「共鳴石の通信機器も?」


「うん」


「硬化石を使った舗装材や建築材も?」


「うん」


「なるほど……」


 紙を見る。


「つまり金を出した側は配当を受け取れる。それに、新しい資源や商品を他より先に買える」


「そう」


「それなら欲しがる領はかなりあるぞ」


「ただし」


「まだあるのか?」


「金だけじゃ足りない」


 ヴィクトルが笑った。


「何を要求する?」


「人」


「人?」


「街道を造れる人。町を造れる人。採掘の専門家。測量できる人。作業員も」


 ローレンが顔を上げた。


「出資する側に、人員まで求めるのですか?」


「うん」


「それでは条件が厳しすぎませんか?」


「いや」


 ヴィクトルがすぐ答えた。


 ローレンがヴィクトルを見る。


「むしろ出す理由があります」


「どうしてですか?」


「自分たちが金を出した鉱山です」


「はい」


「道がなければ鉱石を運べない。人がいなければ掘れない。町がなければ働く人も住めません」


「あ……」


「早く鉱山が動いた方が、出資した側も早く配当を受け取れます」


 俺が続ける。


「それに、自分の領の職人や作業員に仕事を出せる」


「なるほど……」


 ローレンが頷いた。


 ミアは必死に筆を走らせている。


 完全に追いついてはいなさそうだけど、止めずに書き続けていた。


「ピー?」


 ピコまで体を傾げる。


「ピコは書かなくていいからね」


「ピー!」


 ◇


「それで俺を呼んだのは、その話をするだけじゃないだろ?」


 ヴィクトルが聞いた。


「さすがヴィクトル。ローデン商会にもお願いしたいことがあるんだ」


「やっぱりな。で、ローデンに何をさせたい?」


「まず、採掘事業」


「どこまで?」


「人集め、現場の管理、輸送、売り先の開拓」


「かなり広いな」


「こっちには経験がないから」


「採掘権は?」


「渡さない」


「そこは一貫してるな」


「委託する形にしたい」


「対価は?」


「そこは相談」


「分かった。それから?」


「加工事業にも入ってほしい」


「共鳴石と硬化石?」


「うん」


「金を出せって?」


「金と人」


「また人か」


「専門家と作業員が欲しい」


「工房もいるな」


「そこもお願いしたい」


 地図を広げる。


「領都の南。この辺り」


 ヴィクトルが覗き込む。


「穀倉地帯との間か」


「うん」


「なぜここ?」


「領都に近い。それに南へ向かう街道を延ばせる」


「レイ湿原にも?」


「つながる」


「鉱山にも?」


「いずれ」


 ヴィクトルの指が地図の上を動く。


「なら工房だけじゃ駄目だ」


「何がいる?」


「倉庫」


「やっぱり?」


「原料を置く場所。完成した物を置く場所。馬車を入れる場所もいる」


「荷下ろし場」


「ああ」


「じゃあ、この辺?」


「いや」


「なんで?」


「街道から遠い」


 ヴィクトルが別の場所を指す。


「倉庫はこっち。馬車が直接入れるようにする」


「ああ」


「工房はその奥」


「共鳴石と硬化石は?」


「分けろ」


「なんで?」


「扱うものが違いすぎる。それに共鳴石は盗まれた時の影響が大きい」


「警備もいるね」


「他の工房とはわけが違うぞ?」


「だったら――」


「待って」


 ミラが手を上げた。


「何?」


「また早くなってる」


「そう?」


「そう」


 ミアを見る。


 さっきまで動いていた筆が完全に止まっていた。


 ローレンも地図を見たまま固まっている。


「……すみません」


 ミアが言った。


「今、倉庫がどこになったところでしょうか?」


「そこから?」


「はい」


 ヴィクトルが笑った。


「悪い」


「いえ……お二人とも、一つ決まるとすぐ次へ行ってしまうので」


「そうかな」


「学院の時もこうだったよ」


 ミラが言う。


「二人で商売の話を始めると、途中から周りが会話に入れなくなるの」


 ナディアが俺とヴィクトルを見る。


「お二人でお話しされると、物事が決まるのがとても早いのですね」


「そう?」


「はい」


「俺たち、そんなだったか?」


 ヴィクトルが聞く。


「覚えてない」


「俺もだ」


「そこが一番困るんだよ」


 ミラが呆れたように笑った。


 ◇


「それで、ローデン商会への見返りは?」


 ヴィクトルが聞く。


「販売の優先権」


「販売?」


「うん。出資者には、自分たちで使う資源や加工品を優先的に納品する」


「ああ」


「でも、それとは別に一般向けに売る分もあるでしょ?」


「あるな」


「その流通や販売は、ローデン商会を優先したい」


 ヴィクトルの目が少し細くなる。


「共鳴石の通信機器も?」


「うん」


「硬化石の舗装材や建築材も?」


「うん」


「独占?」


「独占にはしない」


 ヴィクトルが少し笑った。


「俺を前にしてよく言うな」


「一つの商会だけに全部握られたら、あとで困るから」


「領主としては正しい判断だな」


「いいの?」


「ああ」


「ローデン商会なのに?」


「だからだよ」


 ヴィクトルが共鳴石を手に取る。


「今のローデン商会が信用できても、十年後、二十年後まで同じとは限らない」


「そっか」


「それに、優先して扱えるだけでも十分大きい」


「そんなに?」


「この通信機器を他の商会より先に売れるんだぞ?」


「うん」


「十分すぎる」


「じゃあ、前向きに?」


「俺だけでは決められない」


「父さん?」


「ああ。父さんにも話す」


「もちろん」


「ただし、その前に確認することがある」


「山?」


「山だ」


 ヴィクトルが机に並ぶ三種類の石を見る。


「共鳴石が本当にどれだけあるのか」


「うん」


「硬化石はどれくらい採りやすいのか」


「うん」


「アーシタ山の銅が、どこまで続いているのか」


「そこはまだ調査が必要だね」


「魔物も見る」


「ビダン山よりアーシタ山の方が多い」


「輸送路も」


「それも見てほしい」


 ヴィクトルが頷いた。


「そこまで見て、ようやく数字を出せる」


「だから来てもらった」


「なるほどな」


 椅子へ座り直す。


 それから、さっきの契約案をもう一度見た。


「でも、山を見る前に一つだけ分かった」


「何?」


「この計画の一番面白いところ」


「どこ?」


「鉱山じゃない」


「え?」


「お前の金の集め方だ」


 ヴィクトルが紙を持ち上げる。


「普通なら、金がなければ金貸しから借りる」


「うん」


「お前の立場なら王家や親しい貴族に助けを求めるべきだ」


「そうだね」


「でもお前は、そのどっちもしない」


「必要になったらやるよ」


「価値のあるものを見つけたから、それを使って相手にも儲けさせる」


「うん」


「そうすれば、頭を下げて金をもらうんじゃない。ハル領でもそうだったな」


 ヴィクトルが笑う。


「向こうから金も人も持ってくる」


「その方が長く続くと思うからね」


「なぜそう思う?」


「助けてもらうだけなら、一回で終わるかもしれない」


「……」


「でも、儲かるなら次も来る」


 少しの間、誰も話さなかった。


 ミアも。


 ローレンも。


 ナディアも。


 ミラだけが、少し笑っている。


「リオンらしいね」


「そう?」


「うん。助けてもらうんじゃなくて、一緒に大きくするんでしょ?」


「そうしたい」


 ナディアも小さく頷いた。


「相手にも利益があるから、協力が続くのですね」


「うん」


「……ようやく分かってきました」


 ミアが小さく息を吐いた。


「私もです」


 ローレンが言う。


「ピー!」


 静かだった部屋にピコの声が響いた。


「ピコは?」


「ピー!」


「たぶん分かってないね」


 ミラが笑う。


 ヴィクトルも笑った。


「決まりだな」


「何が?」


「ビダン山とアーシタ山、両方見せろ」


「分かった」


「その二つの山が、どれくらいの事業になるのか」


 机の上の共鳴石を指で弾く。


「数字にしてやるよ」


「お願い」


「ピー!」


 ピコが跳ねている。


「ピコも行くの?」


「ピー!」


「聞くまでもなかったね」


 明日はビダン山とアーシタ山。


 見つけた資源に、ようやく商人の目が入る。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

会社を経営していると資金調達は避けて通れません。

調達方法は大きく分けると銀行からの借り入れか、投資家からの出資があります。

それぞれにメリット、デメリットがあるので、どれが良いとは一概に言えません。

読者の皆様が旧グレイヴ領を任されたら、どんな風に領を改善しますか?

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― 新着の感想 ―
なんか、 そのうち、ZとかZZとか発掘されませんかね?
ハル領と言わずリオン領って言ってますね…やはりややこしいので名前を変えた方がいいのでは?これからすごくこの領地が有名になりそうだしね。グレイブ領を自分だったら何をしたいかと考えたんだけど…私はリオン達…
つくづく、リオンの居たクラスはドリームチームだったんだなと。
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