キャラクター事典⑨ ガルド・ハル
今回の人物事典はリオン父です。
容姿、スキル、来歴などまとめていますのでご確認ください。
◆ガルド・ハル
ハル領を治める子爵。リオン・ハルの父。
年齢はリオンより三十歳上。身長171cm。
髪と瞳の色はリオンによく似ているが、生来の病弱さもあり、全体的に不健康そうな印象を与える。
性格はおおらかで、細かいことをあまり気にしない。
物語開始時には持病に加え、筆頭家臣バスクから長期間毒を盛られていたため、立ち上がるだけでも辛いほど衰弱していた。
◆来歴
ハル家の跡取りとして育つ。
幼い頃から身体は弱かったが、勉強することは好きで、父(リオンの祖父)に王立学院へ進みたいと願い出たことがある。
しかし認められず、本人が望むほど学問を続けることはできなかった。
その経験から、「自分の子どもには、やりたいことをできるだけ自由にやらせたい」と考えている。
リオンが王立学院へ進むことや、商売、研究、領地改革へ挑戦することを比較的自由に認めているのも、そのため。
(幼少期の詳細は本編未登場)
◆固有スキル・剣術
固有スキルは《剣鬼》。
剣術系スキルは、《剣神》→《剣聖》→《剣鬼》→《剣豪》→《剣士》の順で、《剣鬼》はかなり上位に位置する。
ガルド自身も剣技には優れ、構えや剣筋、間合いの取り方など技術面では高い水準にある。
しかし最大の問題は体力。
生来身体が弱く、剣を長時間振るうことができないため、優れたスキルを実戦で十分に生かせなかった。
世間からハズレスキルとされた《綻びの目》を活用したリオンとは対照的に、「優秀なスキルを持っていても、それを生かせるとは限らない」ことを示す人物でもある。
(《剣鬼》および剣術系スキル序列は作者設定)
◆性格
おおらかで、細かなことにはあまりこだわらない。
自分より詳しい人間がいれば素直に任せ、一度信頼した相手には細かく口を出さない。
これは現在のハル領では長所として機能している。
一方、かつてはこの性格と病弱さが悪い方向へ働いた。
筆頭家臣バスクを信用しすぎたことで実務を集中させ、帳簿改ざんや物資の横流しを長期間見抜くことができなかった。
人を任せられる人物だが、人を疑うことはあまり得意ではない。
◆領主として
物語開始時のガルドは、領主として失敗していた。
領地は衰退し、バスクによる不正も見抜けず、自身も毒によって衰弱していた。
しかしリオンによって不正が明らかになると、自らバスクたちを裁き、体調の回復とともに領政へ復帰。
現在は、一人の家臣へ仕事を集中させた過去を改めている。
領都・商業――エリアス
西の森・開拓――レナード
治安・騎士団――ノル
と役割を分担し、それぞれの報告を受けて最終判断を下す体制を作っている。
リオンが新しい事業を生み出す「攻め」の人物なら、ガルドはそれを領地の仕組みとして定着させる「守り」の領主。
◆父親として・リオンとの関係
神授の儀でリオンが《綻びの目》を授かった際、ガルドは思わず、
「これで……ハル家も、おしまいか」と口にしてしまった。
領地の衰退と自身の病気に追い詰められ、父親より先に領主として反応してしまったことを、後に強く後悔している。
その《綻びの目》によって自分の命と領地を救われたことで、スキルの価値を決めつけた自分の間違いも認めた。
現在はリオンの能力を非常に高く評価する一方、息子へ領地のすべてを背負わせようとはしていない。
五年生の夏には、領地の仕事へ深入りしようとするリオンへ、「お前が頼むことではない。我々の領地なのだからな」と言い聞かせた。
自分は進路を自由に選ばせてもらえなかった。
だからこそリオンには、「今しかできないことをやってほしい」と考えている。
◆人物関係
・エマ・ハル
妻。
病弱なガルドを長年支えてきた人物。
ガルドがリオンの《綻びの目》に落胆した時も、エマはスキル一つで息子の価値は決まらないという姿勢を崩さなかった。
細かいことを気にしないガルドに対し、エマの方が家庭内の細かな部分によく目が届く。
・エリアス・クラム
ハル領の領都を任されている文官。
商業、工房、住宅、商会との取引、他領との帳簿などを担当する。
服装や書類まできっちり整える几帳面な性格で、ガルドとは対照的。
物価や賃金などについても細かく調査した上で報告するため、ガルドが大きな判断をする際の重要な補佐役となっている。
(出典:第296話、第372話、第383話ほか)
・レナード
主に西の森の開拓を任されている文官。
ガルドは、「西の森については私よりお前の方が分かっている」と、その現場判断を信頼している。
フィーネの昼食提供案についてもレナードへ確認を任せるなど、現在のハル領を支える重要な実務担当者。
・ノル
ハル領騎士団長。
領内の治安、街道巡回、魔物への対応などを担当。
以前は行政面までノルへ頼ることが多かったが、領地の発展とともに役割を整理し、現在は騎士団と治安維持へ集中させている。
・フィーネ・ラウベル
リオンの学友。
本人との深い交流はないが、西の森の子ども向け昼食提供案によって名前を知った。
リオンの友人だからではなく、実際に作られた提案書を見たうえで、「この名前は覚えておこう」と将来の人材として認識している。
◆読者の反応
読者からの評価は比較的分かれる人物。
番外編で本人視点が描かれた際には、
「頑張れダディ!」
と、規格外の息子に振り回されながら父親として努力する姿を応援する声が寄せられた。
一方、領主としては辛辣な意見も多い。
特に序盤については、
「十二歳のリオンがすぐ見抜いた不正を、なぜ父親は長期間気づかなかったのか」
「領主として家臣を信用しすぎではないか」
という疑問が出やすい。
また領地再建の途中で、エマと夫婦そろってリオンの王立学院入学式へ出席したことについても、
「領主夫妻が同時に長期間領地を離れるのは危機管理としてどうなのか」
というかなり厳しい指摘があった。
病弱だったこと。
毒を盛られていたこと。
バスクを信頼していたこと。
事情はあるが、不正を見抜けず領地を危機に陥れた責任までなくなるわけではない。
ガルド自身も、その失敗から逃げてはいない。
現在では、一人の家臣へ権限を集中させず、エリアス、レナード、ノルへ役割を分担。
自分より詳しい人物の意見を聞き、最終責任を負う領主へと変わっている。
完璧な父親でも、天才的な領主でもない。
剣の才能はあるのに身体が弱い。
家臣を信じすぎて失敗した。
息子のスキルにも一度は絶望した。
それでも間違いを認めれば考えを変えられる。
そして、自分が得られなかった「人生を選ぶ自由」だけは、息子へ与えようとしている。
ガルド・ハルは、リオンに領地を救われた後、自分自身も領主と父親として立ち直っていく人物である。




