キャラクター事典⑧ フィーネ・ラウベル
今回の人物事典はフィーネです!
作中一の努力家ですが、物語の中でうまく引き出せてないのは作者の力不足です。
◆フィーネ・ラウベル
王立学院五年Sクラスに所属する平民出身の少女。
王都中心街の外れで、木工職人の父、飲食店で働く母、弟、妹と暮らしている。
幼少期から十分な教育環境に恵まれていたわけではなく、王立学院入学時にはSクラスですらなかった。
それどころか、入試時点では魔法を一つも使うことができなかった。
それでも勉強、魔法の訓練、アルバイト、家事を続け、二年生からSクラス入り。
五年二学期期末試験では377点を獲得し、セレナと並ぶ総合2位タイまで上り詰めた。
王族や大貴族の子女をはじめ、幼少期から家庭教師や専門の指導者による教育を受けてきた者が多いリオンの学友たちの中で、ほぼ自力で現在の位置まで登ってきた人物。
作中最強の努力家。
◆来歴
王都中心街の外れにある、ごく普通の平民家庭に生まれる。
父は王都で働く木工職人。
母は飲食店で働いている。
裕福な家庭ではなく、フィーネも幼い頃から家の手伝いをしてきた。
学校帰りには市場へ寄ってその日の食材を買い、帰宅後は夕食の準備をする。
年下の弟と妹の面倒を見ることも多く、勉強だけに集中できる環境ではなかった。
それでも幼い頃から王立学院への進学を目指していた。
将来の夢は王宮政務官。
当初から「国のために働きたい」という高尚な理由で志したわけではない。
王宮政務官は給料がよく、身分の低い平民でも実力があれば目指すことができ、何より安定した職業だった。
自分が政務官になれば家計を助けられる。
そして弟と妹が大きくなった時には、二人の学費も出してあげられる。
それがフィーネにとって最初の目標だった。
(家族構成および幼少期については本編未登場)
◆王立学院入学
上述の通り、王立学院入学時はSクラスではなかった。
一年生時には奨学金も受けていない。
幼少期は魔法を教えてもらえる環境になかったため、王立学院入試時点でも魔法を使用することができなかった。
一年一学期の期末試験では、実技成績は最低ランク。
貴族の子どもたちの多くが家庭教師や剣術指南役、魔法教師などから幼少期より教育を受けていたことを考えれば、スタート地点には非常に大きな差があった。
しかしフィーネは、それを理由に諦めなかった。
授業で学び、自習し、魔法の練習を繰り返す。
分からないことがあれば調べる。
参考書を買えなければ学院の図書室で借りる。
そうして少しずつ成績を伸ばし、二年生からSクラスへ昇格。
同時に奨学金を受けられるようになった。
以降もSクラスから脱落することなく成績を伸ばし続けている。
(王立学院一年~二年時の詳細は本編未登場)
◆スキル
不明。
正確には、フィーネ本人も自分がどの固有スキルを持っているのか知らない。
十二歳当時、すでに王立学院を目指して勉強を続けながら、家計を助けるために働いていた。
アルスレイン王国では、貴族に比べると平民から強力な希少スキルが確認される割合は低い。
そのため平民社会では、貴族ほど子どもの固有スキル確認を重要視しない家庭も存在する。
フィーネも神殿で自分のスキルを確認していない。
本人にとって重要だったのは、どんなスキルを持っているかではなく、王立学院へ入るために勉強することだった。
「スキルが何であっても、勉強しなくてよくなるわけではありませんから」
というのが本人の考え。
その結果、王立学院五年Sクラスとなった現在も固有スキルは不明。
そして本人も、それほど気にしていない。
(スキル未確認については本編未登場)
◆容姿
身長155cm。
Sクラスの女子生徒の中では小柄。
銀色の髪を持ち、普段は前髪を下ろしている。
大人しく控えめな性格もあり、学院内では落ち着いた印象を与える。
一方、体型は母親譲り。
小柄ながら女性らしい体つきをしている。
飲食店で働く際には、髪が料理や接客の邪魔にならないよう銀髪を上げてまとめ、普段下ろしている前髪も上げる。
学院では静かにしていることの多いフィーネだが、店では、
「いらっしゃいませ!」
「ありがとうございます!」
と声を張り、忙しく店内を動き回る。
そのため、働いている時は学院での姿とはかなり印象が異なる。
(出典:第421話「学校とは違う顔」。身長・髪色・体型の詳細は作者設定)
◆性格
真面目で控えめ。
自分から目立とうとはしない。
しかし、単に気が弱い少女ではない。
必要だと思えば自分の意見を言い、誰かの意見にただ従うこともしない。
特に優れているのが、数字の向こう側にいる人間の生活を想像する力。
貴族中心のSクラスでは見落とされやすい「普通の人がどう暮らしているか」を知っている。
これはフィーネが平民家庭で実際に生活してきたからこそ持てる視点でもある。
(出典:第359話「いつもの仲間ではない班」)
◆作中最強の努力家
フィーネ最大の特徴。
王立学院Sクラスには、幼少期から高度な教育を受けてきた者が多い。
多くの生徒は家庭教師を雇い、幼少期から学問、剣術、魔法などを学んできた。
リオンにはさらに前世で45年間生きた記憶と経験がある。
対してフィーネには、そのような環境がなかった。
魔法を習うことすらできず、入学時には魔法を使用できなかった。
一年生ではSクラスにも入れなかった。
参考書を自由に購入することもできない。
授業が終わればアルバイトや家事もある。
それでもフィーネは、
「できないから仕方がない」
とは考えなかった。
参考書を買えなければ図書室から借りて必要な部分を書き写す。
古い参考書しか使えなければ、最新版と読み比べて変更点をまとめる。
魔法が使えなければ、使えるようになるまで練習する。
そうして一年ずつ積み重ねた結果、五年二学期期末試験ではSクラス総合2位タイ。
才能だけで現在の地位にいる人物ではない。
恵まれた教育環境も、判明している強力な固有スキルもない。
ほぼ自力でSクラス最上位まで登ってきた、作中最強の努力家である。
(出典:第360話「借りた本を書き写す理由」、第361話「フィーネの仕事」、第476話「最後の二学期」。学院一年~二年時の詳細は作者設定)
◆学業・魔法
五年二学期期末試験では、
筆記 99点
応用 99点
実技 80点
専門 99点
合計377点。
セレナ・ヴァレストと並ぶ総合2位タイ。
一学期には361点で5位だったため、五年生になってからもなお成績を伸ばしている。
特筆すべきは筆記、応用、専門の三科目で99点を獲得していること。
特に応用については、王都東地区の調査や王宮政務官試験へ向けた勉強を通じて、「なぜその判断をするのか」「なぜその方法を選ぶのか」まで考える経験を重ねたことが成績につながっている。
一方、実技は80点。
決して低い成績ではないが、他の三科目との差は大きい。
王立学院入試時点では魔法を一つも使用できず、一年一学期の実技成績は最低ランクだった。
そこから努力を重ね、五年Sクラスで80点を取れる水準まで成長した。
現在でも魔法はフィーネ最大の武器ではない。
しかし、最も苦手だったものをここまで引き上げたこと自体が、彼女の努力を象徴している。
(出典:第476話「最後の二学期」。一年時の成績および魔法習得過程は作者設定)
◆勉強方法
フィーネは必要な参考書をすべて購入することができない。
そのため学院図書室で本を借り、必要な箇所を書き写して自分の勉強に使用している。
旧版の参考書しか借りられない場合には、最新版と比較。
変更された箇所を抜き出し、どこを注意して読めばよいのかを一覧にまとめた。
しかし、フィーネの凄さは自分だけが勉強できればよいと考えなかったことにある。
旧版しか使えない他の生徒にも役立つよう差分表を整え、学院図書室へ置いてもらえるよう働きかけた。
さらに、一人ですべてを抱え込まず、
魔法術式はレティシア。
警備や運搬についてはオスカー。
全体の形式はリオン。
と、それぞれ得意な人物へ確認を依頼した。
努力家であると同時に、人の能力を使って成果を完成させることのできる人物でもある。
(出典:第360話「借りた本を書き写す理由」、第361話「フィーネの仕事」)
◆家族
父、母、弟、妹の五人家族。
・父
王都で働く木工職人。
毎日働きながら家族を支えている。
フィーネの真面目な仕事観には父から受けた影響も大きい。
・母
王都の飲食店勤務。
フィーネは母から料理や家事を教わっている。
フィーネの女性らしい体型も母親譲り。
・弟
フィーネより年下。
フィーネが王宮政務官を目指した理由の一つ。
将来、自分が安定した収入を得ることで、弟の学費を助けたいと考えている。
・妹
家族の末っ子。
フィーネも小さい頃から世話をしてきた。
弟と同様、将来教育を受けるための費用を自分も支えたいと考えている。
リオンからハル領で働かないかと誘われた際にも、フィーネは自分一人では決めず、「父や母にも話したいです。それに、兄弟とも相談しないといけないので」と答えている。
自分の人生でありながら、家族の生活も含めて進路を考える人物である。
(出典:第454話「ソースとマヨネーズの試作」。家族の職業・構成の詳細は作者設定)
◆主な功績
王都東地区の調査では、生活者側の視点を班へ持ち込んだ。
特に栄養と教育の問題に注目。
十分な食事を取れない子どもたちに学校で昼食を提供することで、
栄養状態を改善する。
学校へ通いやすくする。
教育を受ける期間を延ばす。
将来選べる仕事を増やす。
という複数の問題を同時に改善する案を考えた。
さらに理想論だけで終わらせず、食材費、薪、調理器具、運搬費、人件費などを計算。
最初から大規模に実施するのではなく、小規模な試験から開始し、利用人数や費用、子どもの状態などを記録して効果を確認する方法へ落とし込んだ。
この案はフィーネ・ラウベル本人の名前でハル領へ送られた。
レナードからは、「かなり文官向き」と評価され、ガルドもフィーネの名前を覚えている。
王宮での東地区に関する発表でも、栄養と教育について説明。
王宮政務官が資料へ書き込みながら聞くほどの関心を集めた。
(出典:第433話「学校で食べるご飯」、第442話「フィーネ・ラウベルという名前」、第452話「これは誰が考えた?」)
◆恋愛
現在、特定の人物への明確な恋愛感情は描かれていない。
五年Sクラスになってからリオンとの交流は急激に増えた。
しかし、リオンがフィーネをハル領へ誘った理由は恋愛ではなく、文官としての能力を高く評価したため。
フィーネ自身にも、リオンへの明確な恋愛感情は描かれていない。
にもかかわらず、リオンがフィーネをハル領へ勧誘したことで、ミラだけでなく一部読者までざわつくことになった。
この件に関しては、フィーネにほぼ非はない。
だいたいリオンが悪い。
◆人物関係
・リオン・ハル
五年Sクラスで交流を深めた友人。
当初のリオンは、フィーネを平民出身の成績優秀な生徒程度にしか認識していなかった。
しかし共同課題を通じ、数字だけでは分からない生活者の事情を考えられる能力を知る。
参考書の差分表。
東地区調査。
昼食提供案。
王宮発表。
それらを見るたびに評価を上げ、最終的にはハル領へ欲しい人材と判断。
卒業後の進路として直接スカウトしている。
リオンが《綻びの目》によって問題そのものを見つける人物なら、フィーネはその問題の中で暮らしている人を見る人物。
行政分野では非常に相性のいい二人でもある。
(出典:第359~361話、第454話)
・セレナ・ヴァレスト
同じ五年Sクラスの友人であり、現在は成績上のライバルでもある。
平民家庭で育ったフィーネが苦手とする貴族儀礼について、セレナから教えてもらっている。
五年二学期期末試験では二人そろって377点。
総合2位タイとなった。
幼少期から公爵令嬢として最高水準の教育を受けてきたセレナと、ほぼ独学で這い上がってきたフィーネが同点に並んでいるという、ある意味ではフィーネの努力を最も象徴する結果でもある。
・レティシア・オルブライト
友人であり、学業面でのライバル。
共同課題では、理論を重視するレティシアと、生活者の現実を重視するフィーネで意見がぶつかった。
しかし互いの視点が必要だと理解し、その後は協力関係へ変化。
一学期期末試験ではフィーネ361点、レティシア360点というわずか1点差となり、レティシアから次は負けないと宣言されている。
・リディア、ルーカス
王都東地区を調査した班の仲間。
四人で衛生、栄養、教育、就労などの問題を調べ、最終的には王宮で成果を発表するところまで進んだ。
フィーネにとって、学院で学んだ知識が実際の行政へつながることを知る大きなきっかけとなった仲間。
・ガルド・ハル、レナード
本人との深い交流はまだない。
しかしフィーネが作成した昼食提供試験案を通じ、その能力を認識されている。
レナードからは文官として高く評価され、ガルドにも名前を覚えられた。
本人の知らないところで、すでにハル領上層部から将来の人材として注目されている。
◆読者の反応
五年生編で登場機会が増えたことで、一気に存在感を増したキャラクター。
平民出身でありながらSクラス上位に入り、裕福な生徒のように参考書を自由に購入できなくても図書室を利用して勉強を続ける姿から、努力家として好意的に見られている。
また、リオンとの交流が増えたことで、
「フィーネと一緒になる流れにも見える」
など、ヒロイン候補として意識する読者も現れた。
そしてリオンがフィーネをハル領へ誘った際には、
「何言っとるんじゃリオン」
「利己的すぎる」
「ミラが可哀想」
など、リオンへの厳しい意見も寄せられた。
ただし、この件でフィーネ本人が強く批判されているわけではない。
王宮政務官という自分自身の夢を持っているフィーネに対し、「まず本人の希望を尊重するべき」という意見が中心。
優秀な人物を見るとすぐにハル領へ欲しくなるリオンの経営者気質と、女性関係に対する壊滅的な配慮不足が問題視された形である。




