39. 耐える心と朝子先生
(耐える心と朝子先生)
家に帰ると居間で寝ていたととさんが驚いて叫んだ。
「おいおい、何処の子を連れて来たんだ!」
私たちは、それを無視して、お姉ちゃんの部屋に飛び込んだ。
「え、え、え、……、何処の子……? さらってきたの?」
お姉ちゃんは起きていて、学校に行く支度をしていた。
「……、さらってくるわけないでしょう!」
「じゃー、どうしたのよ?」
「お姉ちゃんの学校の子よ。六年一組、足立和子……、知らないの……?」
「和子ちゃんね、確か保健室で勉強している子ね……、その子を何で連れてきたのよ!」
「親にいじめられているみたいだぞ……、ご飯を食べさせないみたいだ……」
かかさんが、和子ちゃんを夕顔かかさんが寝ているベッドに寝かしながら言った。
「……、虐待なの……、ネグレクト……、分からなかったわ……」
お姉ちゃんは戸惑い気味で、寝ている彼女を覗いた。
「……、……、ここは何処……?」
彼女はベッドに寝かされると、すぐに目を覚ました。
私は、ドアのところで、こちらを見ているととさんに言った。
「……、ととさん、和子ちゃんの朝ご飯、作って……」
「もう、できているよ。食べにおいで……」
それだけ言うと、ととさんは下に降りて行った。
「和子ちゃん、一緒に朝ご飯食べよう……」
「……、貴女は、だれ……、ここは何処……?」
彼女は不思議そうに私たちを見ていた。
「先生の家よ。それと私の部屋……、元気が出てきた……、お腹空いていない……?」
「……、朝子先生……、……、少し……」
「じゃー、皆んなで朝ご飯を食べましょう……」
朝ご飯を食べ終わってから、私は和子ちゃんを連れて学校に行った。職員室はいつもの慌ただしさがあった。
「有馬先生、足立和子ちゃん、虐待です。ネグレクトです!」
有馬先生の席は私の机の一つおいた隣の席……
「……、そうですか?そんなふうには見えませんが……」
「いつ見たんですか? 教室にいないのに……」
「ちゃんと見ていますよ。毎日会っています」
「……、話をしているんですか?」
「あの子は、話はしません……」
「とりあえず、児童相談所に連絡してください」
「……、その前に、親御さんと話してみます」
「そんな事をしていては手遅れになりますよ」
「でも、それが順序ですから……」
「もういいです……、私が連絡します。先生は親御さんに連絡してください」
「親には連絡しますけど、まず校長に相談てからにしてくださいよ」
「分かっています……」
午後……、児童相談所の職員の報告によると、和子ちゃんは、母子家庭で、一人娘……、母親は三十歳、早朝のスーパーの品出しのパートをしている。そして、夜は風俗店で働いている。経済的に困窮しているわけではないが、和子ちゃんと接する時間帯がない。
本人に子供を育てる自覚がないようだと言っていた。
そんな、家庭の中で和子ちゃんは、母親が毎月渡すわずかなお金で買い物に行き、ご飯を炊き、おかずを作って、一人で食べて暮らしていた。食費以外でも必要なものは、そのわずかなお金の中から出していたと言う。
当然、児童相談所の養育義務違反で保護対象になる。
放課後……、和子ちゃんが、職員室の私のところに来た。
「……、先生……、私、相談所に行きたくない。先生の家に行きたい……」
「賑やかな家になっちゃったからね……、楽しかった……? でも、いつもあんなに人はいないのよ……、でも、和子ちゃんが来たいのなら家に行きましょう……」
私は、放課後、迎えに来ると言っていた児童相談所の人に事情を話し、明日迎えに来るように頼んだ。
一日預かるだけで、どうにかなる問題でもないが、昼顔さんが我が家に連れて来たのだ。何とかしてくれそうな気がした。
家に帰ると、お風呂場からなっちゃんと昼顔さんが裸で出てきた。
「……、またそんな格好で出てきては駄目でしょう!」
「いいさ……、今から蒼の部屋で寝ようと思っていたから、裸でいいんだよ……」
昼顔さんが夏子の後ろで言った。
「……、和子ちゃん、帰ってきたの……?」
なっちゃんは、和子ちゃんのランドセルを下ろすのを手伝いながら言った。
「今日、泊まっていってもらうのよ」
「……、ほんと、じゃー、一緒にお風呂入ろう……」
夏子は、その場で和子ちゃんの服を脱がし始めた。
「こんな所では駄目でしょう。お風呂場に行きなさい」
「いいから、いいから……」
和子ちゃんが何も言わないうちに、裸にしてしまった。
「……、さー、行きましょう。三人で洗いっこしましょう。身体中石鹸だらけにして、体と体を擦り合わせて洗うのよ。とっても気持ちいいから……」
「じゃー、あたしも、もう一度入ろうかね……」
昼顔さんも、二人の後を追ってお風呂場に入っていった。
「もうー、ここはソープランドか……」
私は、和子ちゃんのランドセルを持って二階へ上がった。
私の部屋では、夕顔さんが裸で寝ていた。
もうー、家中裸の女の人ばかりだ……
私まで……、その気になってしまう……
「……、……、今日は遅かったのね……」
「……、そうなの……、和子ちゃんの事で色々あって……、今日は疲れたわ……」
私は、着ていた服を全て脱いで、夕顔さんの寝ているベッドに入って、夕顔さんの足を絡ませて、お乳を吸った。
毎日こんな事をしていると……、何か、私の常識が壊れていきそうだ……
いや、夕顔さんのお乳を吸うなんて、すでに壊れている。
でも、学校での疲れが、重い体が、お乳と共に消えていく。
「お姉ちゃん、かかさん……」
私は、なっちゃんに揺すり起こされた……
無造作に見た時計は、午後八時を少し回っていた。
「今日は、和子ちゃんがいるから皆んなで晩ご飯食べようって……」
「……、そうね……、服を着ていくから、先に行ってて……」
「早くね……」




