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治癒魔法の間違った使い方~戦場を駆ける回復要員~  作者: くろかた
第十三章 大規模会談、悪魔の暗躍
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第三百四話

昨日に引き続き二話目の更新となります。

第三百三話を見ていない方はまずはそちらをお願いしますm(__)m

 会談の最中に現れた悪魔。

 そいつは会談にいる十数人の兵士と代表を人質に取った。

 それぞれがペンや剣の先を首に向けており、少しでもなにかしようものなら彼らの命は即座に奪われてしまう。


『魔王の言う通りの事態になったな』

『出てきたのはいいけど、どうするのよ。これ』

『ウサト、私は予知に集中している』


 不確定な情報のまま悪魔が出てくるか備えていたわけだが、まさか人間の目に潜んでくるとは思いもしなかった。

 ヴェリナス王国の代表の片目を見れば、黒色だった瞳は既に元に戻っている。

 別に目をくりぬいたとかそういうものではなさそうだ。


「……」


 先ほど投げつけた治癒爆裂波により広がった治癒魔法の粒子を元に、目を閉じ会場内に怪しい存在が他にいないか調べる。

 ……! 悪魔のいる空間には誰もいない?


「……」


 なるほど、そういうことか。

 事態を把握し、僕はさりげなく口元に手を当て、フェルムとネアに作戦を伝える。

 

「操心の呪術か。随分と手間のかかることを」


 虚ろな目の彼らを見た魔王は、呆れたため息を零した。

 悪魔の意識が魔王へと向けられたところで、僕は先輩とカズキに目配せをする。


「魔王、貴様もそこに座れ」

「……ん? もう座っているぞ?」

「ッ! 相変わらず気に食わない化物だ……!」


 なんであんたはわざわざ挑発するようなマネをするんですか……!

 悪魔の顔が不快げに歪むのを目にしながら、その視線はファルガ様へと向けられる。


「貴様のような存在がまだみじめに生きながらえていたとはなぁ」

「それはそちらも同じだろう。歴史に忘れ去られし、恐怖の魔物よ。いいや、肥え太った自尊心をひけらかす憐れな生物とでもいうべきだろうか?」


 ファルガ様も挑発してる……!?


「忘れ去られたのならば、思い出させればいいだけだ。どちらにしろ、貴様らにこの私の本体に干渉することはできん」


 くるりと会場内を一瞥した悪魔は、自信に満ち溢れた顔を浮かべる。

 すると何を思ったのか、周囲に魔力弾のようなものをまき散らし、空中に停止させる。


「さらに駄目押しだ。動けば人質が死ぬ、そしてこの魔力弾がお前達へと降りかかる。これでなにもできないだろう?」

『……ッ』

「あぁ、良い恐怖だ。乾いた砂地に水がしみこむように力が溢れてくる……!」


 悦に浸る悪魔。

 数秒ほどその感覚に浸っていた奴は、ニヤリと口元を歪める。


「俺の名はラプド、かつての時代、人間共の悪意を支配していた恐怖の象徴であり、貴様らが忘れ去った恐怖そのものである」


 ラプドと名乗った悪魔は自らを誇示するように腕を広げる。


「この場においての我々の目的は至極簡単、宣戦布告だ!」


 宣戦布告?

 くすんだ髪色の銀髪の悪魔。


「悪魔が、お前達を恐怖に貶める存在が今、この世に戻ってきたぞ! 我々はどこにもで入りこめる! 不安を、恐怖を煽り、貴様らを動かし、争い合わせることもできる!!」


 代表者達の動揺、困惑を楽しみながらラプドの視線は手を床につけた僕へと向けられる。


「そこの悪魔の名を騙る、治癒魔法使い」

「……?」


 後ろを向くが誰もいない。

 前を向き首を傾げると、ラプドは怒りの形相で僕を指さしてくる。


「貴様だよ貴様! 貴様以外に誰がいる!」

「……自分から名乗ったことは一度もない。人間がお前達の名前を騙ってなんの意味になるんだ?」

「~~ッ!!」

『お前も煽ってんじゃん』

『いえ、これは素よ』


 そういう言いがかりから風評被害というものは広がるのだ。

 今は魔族だけだが、それ以外の種族にまで広まってしまったらどうしてくれるんだ。

 ……だけど、僕に視線が集まるのはまずいな。

 どうにかして気を逸らせないか、床に置いた手を見ずに焦っていると、不意に大人しく座っていた魔王が笑みを零す。


「くくく、つまらん」

「……なんだと?」


 魔王の呟きにラプドが振り返る。

 どうやら、魔王が気を引いてくれたようだ。


「フェルム、急いでくれ」

『分かってる……! もう少しだ!!』

『こっちはいつでも準備できてるわよ……!』


 テーブル、人の影に隠れながら床を這い伸びていく闇魔法のライン。

 悪魔に気付かれないようにし、人質とされている人達をラインと拘束の呪術で止める。

 まあ、相手が油断しまくりで助かっているけど……。


「なにをするかと思い、誘い出してみればその程度の浅知恵を働かせ自らの力を誇示しようとするとはな。よほど追い詰められているように見える」

「浅知恵、だと?」

「これからお前がすることを予想してやろう。……そうだな、出来もしない誇大的な声を喚き散らし、恐怖を抱かせることだろう? それか、見せしめに一人殺そうとするか?」


 さすが魔王だ。

 座っていても無駄に偉そうだし、無駄に煽っているようにも見える……!


「この空間のどこかに隠れ潜む魔術は、隠形の呪術だろう。おおかた、もう一体の悪魔に施され、お前は操心の呪術で我々に気付かれないよう、それはもうネズミのように這いまわりながら、操る対象を選んでいた。……違うか?」

「貴……様……!」

「おや、当たってしまったようだな。これはすまない」


 ……当分は大丈夫そうだな!

 魔王の煽りっぷりを目にしながら手元を見る。

 ネア、フェルム! 今のうちに急いで頼むぞ!


「人間を洗脳し悪意に任せて動かしていたせいで、まともに知略を巡らせることもできないのか? それとも、そこまで弱っているのか?」

「……」

「察するに十体以下、ほどか? よほどヒサゴ……先代勇者に滅ぼされたのだろうな?」


 ……待って、悪魔ってそんなに少ないの……?

 数は減っているとは聞かされていたが、十よりも少ないって相当だぞ。


「ッ人間に無様に敗れたお前に言われたくはないな」

「ほう、ではお前は敗北していないと?」


 ラプドがせせら笑う。

 その笑みがどこからくるのか理解できずにいると、奴は周囲を見回し口を開く。


「邪魔なやつらがいたとしても変わらないだろう? むしろ、数が減ってすっきりしたとすら思っている」

「ハッ、そういえばそうだったな。お前達悪魔には同族意識もなく、ただ蹴落とし合う邪魔者としか思ってもいなかったな。……相変わらず、憐れな存在だ」


 ……あと少しだ。

 尊大に足を組み、余裕の表情でラプドを見据える魔王。

 彼の言葉に、ラプドだけではなく、この場にいる人々の視線が集められる。


「貴様は、人間を嘗めすぎだ。自らの敗北の理由すら理解しないことは、愚かを通り越して憐れにすら思える」

「貴様が、それを言うのか……!?」

「さて、思い知らされるのは……どちらだろうな?」


 魔王がそう言葉にした直後に、同化しているフェルムとネアの声が響く。


『ウサト、いいぞ!』

『拘束の呪術かけ終えたわ!』


 全員、捕まえた……!

 アマコのお墨付きももらったので僕は大きく呼吸を吸い、声を張り上げる。


「先輩! 今です!!」

「待ってたよ! 雷獣モード3!」


 一瞬にして紫の電撃を纏った先輩が動き出す。

 即座に人質を始末するように動く悪魔だが、既に人質には床を這うように忍ばせた闇魔法を通して流し込んだ拘束の呪術が施されている。

 動きを一瞬止めるだけに過ぎないが、先輩にとってはその隙だけでも十分だ。


「全員、動きを止めたよ!」


 先輩が閃光と共に人質の持つ剣と刃物を手から叩き落とし、軽い電撃で痺れさせる。

 すぐに気づいた護衛の人々が、人質が暴れないように取り押さえる。

 これで人質の安全は確保した。


「クソ、魔力弾を――」

「生憎だけどさ」


 悪魔が空中に浮かばせた魔力弾に意識を向く前に、カズキが掌から放った複数の魔力弾が生き物のように縦横無尽に動き回り、会場内の魔力弾を全て消し去ってしまう。


「俺達がいる、この場所で好き勝手にできると思ったら大間違いだ」

「また俺の前に立ちふさがるか勇者……!」

「いいや? 立ち塞がるのは、俺じゃない」


 カズキと視線を合わせ僕は全力で走り出す。

 椅子を蹴り、テーブルを足場にして移動する僕とカームへリオ、ニルヴァルナ、サマリアールの代表者達と視線が合う。

 驚きに目を丸くしているナイア王女。

 なんの心配もせずどんと構えているルーカス様。

 これ以上にない面白いものを見つけたような笑顔を見せるハロルド様とオウカ様の笑みを見て、若干やらかした気分になるが、それよりも今は目の前のことを優先させていく。


「場所は既に分かっている!」

『ウサト、相手が動揺する。捉えられる。……フェルム、デビルウサトでビビらせて』

『え、いいの?』

『そうじゃなきゃ出てこないと思う』


 なんかアマコとフェルムの不穏な会話が聞こえたが、今は敵を炙り出す!!

 手の中にある魔力弾を握りつぶし、魔力を周囲にまき散らす。


「治癒感知!」

『いや、だっせぇ……』

『いつものことでしょ!』


 なんらかの魔術で姿そのものを隠蔽しているのは既に分かっている。

 恐らく、五感で捉えることをできなくさせるものだろうが―――いた!!

 魔力の粒子が見えないなにかに反応した!!


「僕には見えているぞ、この悪魔がァ!!」


 ———僕の魔力感知は、しっかりと何もない空間にいる生き物を見つけている!

 闇魔法の衣が団服を覆う感覚。


『ぶふっ……!』

『魔王様……?』

『いや、どの口が言うのだと、な……』


 なぜか魔王が笑い出す声を聞きながら、僕は何もない空間に拳を叩き込む。

 何もない空間に何かが当たる。

 すると僕の拳を中心に銀髪の悪魔が姿を現した。


「げばぁ……ふ、ふざけるな! レアリ! ま、魔術が機能してな――」

「どこに行く? 僕がお前を逃がすはずがないだろ……!」

「ひ、ひぃ!?」


 翼を広げて空に逃げようとするラプドの足を、闇魔法のロープを延ばして掴みとる。


「き、貴様なんぞに!」

「フンッ!!」


 苦し紛れに飛ばされる魔力弾を腕の一薙ぎで全て消し去り、足に繋げたロープを引き寄せ、その腹部に拳を叩きつける。


「オラァ! 治癒ッ連撃拳!!」

「ぐびっ!?」


 拳を床に向けるように振り下ろし、魔力の衝撃波を放ち床へと叩きつける。


「が、がぁッ、ああああ!? 痛い!? い、癒されているのか!? で、でも痛い!?」

「意識を失わないだとぉ!! なら、気絶するまで!!」

「ヒッ!?」


 恐怖に顔を歪ませる奴を見下ろし、拳を叩き込もうとする。

 奴に拳が迫る――その瞬間、側方から白い渦が出現し誰かが飛び出してくる。


「ッ!? 新手!?」


 拳を止め、治癒加速を用いて体勢を変え床に着地すると、白い渦から三人の人影が現れる。


「あーらら! 面白い様になってんじゃないっすかー!」

「……」

「……」


 フードを被った三人。

 その一人が場違いなほどに明るい声を漏らす。


「ベス! ナルカ! 攪乱よろしくゥ!」

「「……」」

『フェルム! ウサトの耳を塞いで!!』


 黒衣を纏った女性らしき二人が両手に作り出した魔力を、同時に解放させる。

 僕の耳を闇魔法の魔力が覆うと同時に、煙と音波のようななにかが周囲に溢れだした。


『煙と音の魔法だよ!』

「奇襲向けの能力ってことか!」


 ッ、目的は悪魔の救出か!

 カズキと先輩の援護……いや、この煙の中じゃ動けるのは僕かナギさんくらいだ!

 手の中に作り出した魔力弾を握りつぶし、周囲の魔力感知を行う。


「そこだッ!!」


 煙の中から治癒飛拳を放つ。

 拳大の衝撃波は白煙を吹き飛ばしながら敵へと真っすぐ突き進み、黒衣の一人の腹部に直撃する。


「うっはぁー! 治癒魔法を飛ばしてきたー!?」

「仲間を、盾に……!? ッ!!」

「おっと、君は……」


 近くの仲間を自身へと引き寄せ盾にして防ぐ女性と思わしき敵。

 悪魔ではない。

 だが、ラプド以上に厄介な雰囲気を感じ取った僕は拳を振り上げ、攻撃を仕掛ける。


「ハァァ!!」

「ちょぉっと、君の足元にいる奴に用があるんですよねぇ!」


 音を出していた人の動きは治癒飛拳で封じた。

 拳を振り上げる僕と、紫色の魔力を纏わせた剣の柄を掲げる黒衣の何者か。

 僕の一撃が光を纏う鞘へと当たったその時――、


「ぬぐぉ!?」


 なぜか僕の拳が弾かれ、身体ごと後ろへ吹き飛ばされてしまう。

 危うく会場の壁まで吹き飛ばされかけたところを、魔王の傍にいたコーガが伸ばした闇魔法により助けられる。


「ウサト、どうした!?」

「わ、分からない。でも、衝撃に飛ばされて……」

『私の予知でも何があったのか分からなかった……』


 怪我こそはしていないが、まるで攻撃の衝撃そのものを返されたようだ……!

 魔法で作り出された煙が晴れた場所を見れば、ラプドを黒衣の一人に担がせた


「うっはっ、すごい衝撃っすねぇ! 防御間に合ってなかったらやばかったかも!」


 彼女の魔力に秘密があるのか?

 コーガの手を借りて立ち上がった僕は、会場の中で驚きの顔で佇んでいる黒衣の一人を見る。

 衝撃で顔にかけていたフードが外れ、その顔が露わになる。


「おぬし、は……」

「……ッ」

「お久しぶりです、ロイド様ー! シグルスさーん! 老けましたねぇ!! あれ!? 五年も経っていないんだっけ? あ、私ですよ! 私のこと覚えてますかー!?」


 露わになった顔は、生気のない真っ白な顔。

 紫の髪をポニーテイルのようにさせた快活な印象を抱かせる女性は、ロイド様とシグルスさんの顔を見ると、場違いな笑顔を浮かべて手を振った。

 彼女のそんな異様とも思える笑顔に、先輩もカズキも困惑し動けないでいた。


「まさか、あの人が……?」


 それは他ならない僕も同じだった。

 特徴は一致してしまう。

 仲間と思われる呼び名にも。

 驚きに目を丸くする僕を見て、女性はにやりと笑う。


死人(・・)共、早く俺を逃がせ!!」

「……こいつ置いて行っても……あ、はい、駄目ですよねー。では、これにて私達は帰ります!」


 女性がローブから紙のようなものを取り出すと、それを用いて転移を開始してしまう。

 我に返った時には既に遅く、彼女たちの姿は光と共にその場から消えてしまう。


「……ッ、スクロールか! ファルガ様!」

「ああ、こちらで転移先は割り出した。奴らめ、既に逃走経路を用意しているようだ。……都市から湖を隔てた対岸に移動し、転移の準備を行っている」

「ふむ、こちらも同じ場所を確認した」


 ファルガ様と魔王がどちらも同じ位置を割り出したようだ。

 ……いや、あの人たちのことを考えるのは今はやめておこう。

 今は僕のやるべきことをしなければ――、


「なにをしている」

「はい?」


 魔王の言葉に首を傾げる。

 すると、彼は呆れた顔で僕を見る。


「追え、お前の能力ならば可能だろう?」

「い、いえ、でもここを離れるわけには……」

「心配するな。奴らは既にミアラークにはいない。今から悠長に追いかけても逃げられるぞ? ……それに、お前にとっても因縁のある者だろう?」


 転移の魔術を使える者がいるならすぐに逃げられてしまう。

 先輩ならすぐに駆け付けることもできるだろうが、さすがに湖を走っていくのは彼女にも難しいはずだ。

 先輩と、次にレオナさんの方を見てから大きなため息をつく。


「……あぁ、もう! 本当に勝手な人ですね! 貴方は!! アマコ、ネア、同化を解除だ!」

『うん』

『りょうかいっと』


 アマコとネアが僕の身体から飛び出す。

 まずはアマコを抱え、ハヤテさんとナギさんのいる場所で彼女を下ろす。


「ナギさん、アマコをお願いします!」

「任せといて!」

「気を付けてね、ウサト」

「ああ! ネア、君はこっちだ!」

「また顔みたいな鎧に閉じ込められるの私!?」


 ネアを胸部に作り出した鎧を模した部分に入ってもらった僕はそのまま先輩に手を伸ばす。

 速く移動するにはこの人の力が必要だ。


「先輩! 力を貸してください!!」

「お、オッケー! 任せておいて!」

『あぁ、もう仕方ない……』


 手を掴み返した先輩と同化する。

 彼女の刀が変化し、左腕の籠手に変わったことを確認した僕は、そのままもう一人———レオナさんの前に移動する。


「レオナさん、悪魔を追います! 力を貸してもらってもいいでしょうか!?」

「え!? だ、だが……」


 ちらりとレオナさんがノルン様を見る。

 やや疲れた顔色のノルン様は、腕を大きく翻すとやや怒りの籠った顔になる。


「レオナ、力を貸してあげなさい」

「ノルン様、判断が早くないですか!?」

「ただでさえ忙しい会談を滅茶苦茶にされたのよ。お返しをしてやりなさい。……なにより、私、寝不足だからいらいらしているのよね……!」


 ……後でノルン様に治癒魔法をかけに伺おう。

 心の中でそう決めながら、レオナさんを見る。


「……カロン、ここは頼む」

「ああ、任せとけ。ウサト、頼んだぞ?」

「了解です!」


 レオナさんが僕が差し出した手を掴む。

 それと同時に彼女と同化し、ミアラークの『杖』が氷で形作られたような脚甲へと変わる。


「よし!」

『ようこそ、レオナ。私の城へ』

『レオナ、このお調子者は気にするな』

『きゃうん……』

『あ、相変わらず不思議な空間だなぁ』


 なんだかすみません、レオナさん……!

 彼女の力を借りた僕は、コーガへと声をかける。


「よし、コーガ武器になれ!!」

「なるわけねぇだろ!!」

「冗談だ! ここを守れよ!」

「マジで性質悪い冗談やめてくれない……?」


 とりあえず、コーガは信頼できるので彼にここを任せる。

 まあ、他にもハイドさん達もいるから戦力的には十分すぎるんだろうけどね。

 次にロイド様とシグルス様を見る。

 ロイド様は僕に何か言いたげな顔をしていたがすぐに、首を横に振る。


「ウサト……話は、後にしよう」

「……はい。カズキ、ロイド様を」

「任せとけ。……ウサト、悪魔をぶん殴ってこい!」

「ああ……! やってくる!!」


 カズキの声に後押しされ扉を開き、そのまま先輩の電撃を纏いながらの移動を開始する。

 先輩の電撃の速さと、レオナさんの冷気によるあらゆる場所を足場とする力!

 この力で、すぐにあの人―――アウルさんに会いに行く!!

悪魔より悪魔しだす治癒魔法使いウサト。

勇者二人を吸収し、敵を追いかけ始めました。


ローズの元部下は直接的な攻撃力を持つ魔法よりも、連携向きな魔法を持っている人が多い感じですね。


今回の更新は以上となります。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ところで、この合体ってフェルムの気持ち一つで可否が決まるから、魔王と神竜の両方と仲良くなったらそれこそ最強の人っぽい悪魔を超越した名状しがたい人の形をしたナニカになりそう。
[一言] 雷で内側から焼き、氷で外側を凍傷にし、治癒する。 なにそれこわい
[良い点] さすが現代の悪魔、泣いたくらいじゃ殴るのを止めない [一言] 転移先感知できる魔王かファルガ様と合体する日が来たらロケットランチャーでも撃退できない追跡者が出来上がってしまう! まで考えて…
感想一覧
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