ネゴシエーター
「生方さんはハーレムの女王だけど、あの人は男同士の対立を深めるから。偏愛したり飽きたら乗り変えるし、トラブル増えるのよ〜
女2人で何とかなだめすかして調整してるんだけど、生方さんがやりたい放題だから、大変なのよ〜」と木下さんが苦笑いする。
波瑠も生方さんは知っている。
とにかく頭の切れる女性でバイタリティーがスゴくて彼女がやると言った事は絶対形になる。
ただし男相手でも手加減しない。
自分を貫き通す。
その為か旦那さんはアメリカ支店から全く帰ってこない。おかげで彼女は仕事に専念して気付けば役員になってしまったのだ。
木下さんと清貴さんで集めたイケメンスペシャリストを食いまくっているようだ…その調整役に呼ばれたのだ…大変そうだ。
人間、色と欲が絡むと血を見ることもある。
気をつけないと。
「大奥の逆バージョンですね。…頑張ります!」波瑠が責任の重大さに頭がすでに痛い。
「すみません。私がそういう男女の機敏に疎くて。」とまだ25歳くらいの若い秘書の大河内さんが頭を下げてくれる。
「いえいえ、高校時代に公認会計士なって財務省入りした大河内さんが、そんな男の醜い権力争いに巻き込まれなくて良いですよ〜」となぐさめる。
その後、木下さんがファンドに興味ないかと引き抜いてきたのだ。モルガンなど外資に抜かれるのは時間の問題だったし。
しかし、そんな彼女でも若い女と言うだけで、当たりがキツくなるのだ。
男の権力争いで矢面に立つのは危険だ。
波瑠はけっして敵を作らない体質なのだ。
日和見主義だが、人間好きなのでどんな人間も受け入れてしまうのだ。それこそクズカスも好きなのだ。
口ばっかりで実行力を伴わず、女をディスる事でしか男を誇示できない会社のゴミカスでも!
その人間臭さが好きなのだ。
人の好き嫌いを聞かされて、はじめて人は人の事を好いたり嫌ったりするんだと自覚したくらいだ。
さっそく生方さんが、不動産の星さんから金の取引の菱井さんに乗り換えたせいでトラブってるらしい。
不動産の星さんは、とにかく顔も良いし口もうまい。
すぐに生方さんに気に入られたが、不動産は投資が加熱し過ぎたのを国が規制強化と短期売買への追加課税などで抑制が掛かった。
そのくらいから生方さんの寵愛が若い金取引の菱井さんに移ってきたのだ。
金投資は戦争が増すほど価値が上がる。株価に左右される現金より政情不安なご時世には確かなのだ。
だがそれを星さんが許す訳はなく。
金の菱井さんと不動産の星さんで投資ならぬ寵愛の取り合いに進んでいる。
張本人の生方さんは、ニコニコとゲルニカのピカソのごとく満足げだ。ピカソはゲルニカを描いてる当時妊娠させた愛人の他に同士と呼ぶ芸術仲間の女性とも付き合っていた。
性愛と仲間愛は、また別らしい。
おかげで女同士がゲルニカの後ろで髪掴んで争っていたらしい。
ピカソが、「僕は2人とも好き。3人で付き合えないなら2人が決めて」と言い放ったせいだ。
ピカソにしろ生方さんにしろ、性◯オバケは、
…裏方が大変なのだ。




