黒い恋
そんな沸々(ふつふつ)と憎しみと後悔を抱えてる時にネットで静馬に声を掛けられた。インスタなどはプロフィールに大学名やサークル書くと知り合いじゃないかと人を紹介してくる。
自分は知り合いにバレたくないから隠してたが、小坂のプロフィールは会社以外ガンガン晒してた。
夫は記録が残るネットは嫌いだ。
自分の話が場当たりで記録が残ると矛盾を指摘されるからだ。
静馬はどうも学生時代に小坂に人生を弄ばれたらしい。
ボランティアサークルで小坂がクラファンで子ども食堂を作ろう!とブチ上げたらしい。
素晴らしい話だしボランティアサークルとして記念になる活動だと静馬は賛同したらしい。
ネット得意なのでクラファン立ち上げると募金は集まってきた。小坂も喜んでいたらしいが、ある日勝手に打ち切られて金は消えていた。パスワードを小坂にも教えていたのだが、好きな娘にブランドバッグねだられて、その金を使ってしまったのだ。
怒ったが募金してくれた人は、サイトを実際に運営してた静馬を責めた。そして、拡散され静馬は信用を失いデジタルタトゥーを刻まれてしまった。
思いっきり本名でやっていたのだ。
おかげで就活でも少し調べが入ると断られる。
最終面接にどうしても進めない。
サークルでも必死で説明したが、4年生はあまり大学来ないので後輩達にはネットに書かれてる事が真実になってしまう。
今、静馬は派遣社員でシステムエンジニアとして豊洲フロンティアで働いていたのだ。
静馬ははるばる鳥取に波瑠の後輩に会いに来てくれた。
小坂は顔も良いし爽やかスポーツマン体型で快活、頭も良い。
そりゃ、花村ホールディングスをだまくらかして入社できるほどだ。
ところが言葉に何の重みもないのだ。その時の空気でこれ言ったらカッコイイだろな、目立つだろなと思いついた事を適当に話してるだけなのだ。
それにまんまとダマされた静馬と真美…
泣きながら気がつけばホテルで抱き合っていた。
それからも何度も静馬は来て逢瀬を重ねた。
この時間があれば惨めな夫婦生活も耐えていける…と真美は不倫にのめり込んだ。
そして、あんなに小坂としても妊娠しなかったのに地味で控えめな静馬の子供を宿した。
2人はほくそ笑む。
2人は最高の復讐を思い付く。
そう托卵だ。
「そしてアイツが死ぬ間際に打ち明けるの!それまでだまし続けようね!」2人は、この作戦に酔いしれていたが、甘かった。
波瑠が付き合う男は…最低のクソ男なのだ。
「オヤジとお袋にはもう話したんだ…
俺と別れてくれ!すまん!たのむ!
慰謝料と養育費は、波瑠と2人で払うから!」とパソコンで花村ホールディングスの新規プロジェクトに新メンバーとして波瑠が女性役員と握手してる写真が載ってる前で土下座してきた。
クソ男の頭の中では、波瑠は小坂の真の愛に目覚めたことを理解し許してくれて、きっと生まれてくる子の養育費や慰謝料を自分と一緒に、なんなら肩代わりして払ってくれると!
そして、自分をこのプロジェクトに呼び入れてくれると。
頭の中で勝手にシナリオが出来上がってしまったのだ。連絡取れないのに!完全ブロックされてるのに!
真美はパニクった。
まさか波瑠さんと内密に連絡取り合って、そんな話が進んでいたのかと。
すぐ静馬に連絡した。托卵できなくなると。
2人の人生の希望が復讐が出来なくなってしまうと。
焦った静馬は、波瑠を消して小坂に離婚を思いとどまらせようとしたのだ。
失敗したがバレはしなかったようだ。
小坂はさっそく家を出てホテル暮らしをしだした。
真美は、静馬にどうすれば良いのか分からないと泣きつく。
黒い恋は、静馬と真美で子供を育てる想定は無かったのだ。
静馬は派遣で今の派遣先は正社員登用のギリギリで切られることは分かってる。
子供を育てる事なんか出来ないのだ。
真美も、辞めた会社に戻る事は不可能だ。専門職種でもないので、再就職は厳しい。
小坂はとにかく一流企業で働くリーマンだ。
彼に子供を養って貰わないといけないのだ。
波瑠はジャマなのだ。
エレベーターで言い寄る三笠に過去の小坂の話をしてた。
三笠と付き合う気は無いようだ。
小坂が離婚すると知ったら!ヤバい!
話に夢中な2人の後ろで、一か八か偶然持ってたガムテープを髪の束に螺旋に巻きつけた。
今や娘は人事です。元彼達からの連絡は完全ブロック。
なんで人生迷子が、人の人生イジってるんだ!




