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子供たちは、興味津々で楓花を見ていた。
楓花は、次の圧力鍋を出してまた火にかけた。
最初はオーク肉で、今度はウサギ肉だ。ウサギは柔らかいから3分ほどで火から下ろした。
換気が弱いので、キッチン前の小窓を開けていた。
さわやかな空気が入ってきていた。
秋らしい空気だった。
オーク肉を火から下ろして40分ほど経過している。そろそろいいだろうか?
圧を抜きのボタンを押して放置しておく、この圧力鍋は18Lなので10㎏くらいの肉を入れることが出来た。
半分を熱風乾燥、もう半分は凍結乾燥させる。
全く逆の乾燥方法だ。
どちらも12枚の網があるので、オークとウサギに6枚ずつ使用できる。
5㎏程度なので並ぶはずだ。
だけど、その前に味見をする。
柔らかく程よい味で煮込めていた。
子供たちが、じーっと見ていた。
「食べたい?」
「うん!」
「ちょっと待ってね」
楓花は、1枚ずつをお皿に乗せて出した。
「どうぞ。熱いから気を付けてね。」
フォークも渡すと、3人のコップに水を注いだ。
「おいしーお肉なのに柔らかいよぉ」
もぐもぐとしつつ、幸せそうだ。
口に合ったならよかった。
楓花は網に並べて、機械に掛けた。
乾燥に6時間かかるらしいので、その間に出来ることをする。
シャワールームに行き、袋の中の服を袋のままで揉み洗いをした。
石鹼液が黒くなってしまっていた。
水を交換しては揉んで濯いだ。
脱水機にかけて水を切り、もう一度濯いで脱水機にかける。
外に干したいけれど、そうは行かず入り口に棒を渡してハンガーにかけた服を干した。
子供服を干そうと持ってきたハンガーは大きかったけれど、仕方がない。変な癖がつかないといいと思いつつ干した。せめて3階に干したいけれど、子供たちから目を離せないので仕方がない。
「ララさん、頭の怪我は治ったか見せてもらえる?」
「うん、もう治っていると思う。」
ララが頭を見せてくれるけれど、大丈夫そうだ。
良かった。怪我をさせてしまったことに変わりはないけれど、治ってくれた。
もしかしたら、私たちの事故もこういう失敗だったのかもしれない。
ステルスって大事ね。忘れてはいけないと自分に言い聞かせた。
「フーカさんは魔術師?」
「いいえ、私は魔導士というらしいわ。」
「まどうし?」
「うん、そうよ。」
「どんなことをするの?」
「どうって言っても、例えばあの人たちが、あれ以上近づけないようにしたり、お薬を作ったりしているわ。」
「お薬?」
「ええ、そうよ。」
「ふ~ん…」
「あっでも、お洋服を小さくしてくれた!」
「それは、応急処置よ。」
「おうきゅうしょち?」
「急いで合わせること。きちんとしていないの。」
「そうなの?とっても動きやすいよ。」
「そう?ならよかったわ。」
「それにね、髪がサラサラでいい香りがするの。」
「そうね、みんなで同じいい香りね。」
「うん、おなじ~」
サナが膝に乗ってくる。子供らしく甘えてくるのはかわいいけれど、生存本能で保護した人に甘えているだけかもしれないし、少し心が痛い。
それでも、子供は好きなので、好きにさせておく。
「髪を縛ってもいいかしら?」
「うん、いいよ~」
サナの髪は短いけれど、目に髪がかかっていた。
邪魔そうなので、上部だけを集めて髪ゴムで縛った。
「わぁすごい。」
「ララさんもしましょうか?」
「うん!」
ララの髪は肩にかかるくらいの長さがあったので、2つに分けて耳の後ろで縛った。
「リリーさんもしましょうね。」
「あたしもいいの?」
「もちろんよ。」
リリーの髪は長いので、耳の後ろ辺りから2つの三つ編みにした。
「うわぁ~かわいい…」
「どうなっているの?」
「シャワールームに鏡があるから見ておいで。」
3人が駆け出してきゃあきゃあと声が聞こえてきた。
それを聞きながら、どうやって過ごそうかと考える。
男たちは、何かがあるのはわかっていても見えないので対処できないようだ。
「そうだ!」
楓花は、棚からオセロを取り出した。
白と黒のあれだ。
子供たちに遊び方を教えると、すぐに理解したようで遊び始めた。
それを見つつ、楓花は次の肉の調理を始めた。
圧力鍋を下ろし、昼食の用意をする。
食事に問題はなさそうなので、オーク肉をハヤシルウで煮込んだ。もちろんたっぷりの玉葱と人参も入れた。
サラダはじゃがいもとレタス、生の玉葱を入れてマヨネーズで和えた。隠し味にほんの少し砂糖を入れた。
ごはんは、炊飯器で炊いた。
簡易炊飯器もあるけれど、1升炊きを積んでいてよかったと思う。
なぜ1升炊きなのかと言えば、結婚してすぐに夫の友人たちが来た時に、普段使っている3合炊きではごはんが足りなかったからだ。それで購入したのだが、3回ほどしか使う機会はなかった。
家では、3合炊きがあれば十分なので、積んでおいたのだ。
子供たちは大丈夫そうだけど、念のために柔らかめに炊いた。
ごはん多めでルーを少な目にかけた。
私の味付けはこの世界だと濃いらしいから、ハヤシソースも濃すぎるかもしれないのだ。
「これなぁに?」
「ハヤシライスよ。こうやって白いごはんとルーを一緒に食べるの。」
「わぁ…初めて食べる!」
「ん~!」
会話があったのはそこまでで、子供たちは食べることに集中していた。
それを楓花は苦笑しつつ、食べていた。
この子たちの靴はないのよね…。
親を探すにも靴は、必要だろう。
取り急ぎ履かせられるものはない。
ないものはないのだから考えるのはやめた。
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