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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第6章 娘たち

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4


 子供たちは、興味津々で楓花を見ていた。

 楓花は、次の圧力鍋を出してまた火にかけた。

 最初はオーク肉で、今度はウサギ肉だ。ウサギは柔らかいから3分ほどで火から下ろした。

 換気が弱いので、キッチン前の小窓を開けていた。

 さわやかな空気が入ってきていた。

 秋らしい空気だった。


 オーク肉を火から下ろして40分ほど経過している。そろそろいいだろうか?

 圧を抜きのボタンを押して放置しておく、この圧力鍋は18Lなので10㎏くらいの肉を入れることが出来た。

 半分を熱風乾燥、もう半分は凍結乾燥させる。

 全く逆の乾燥方法だ。

 どちらも12枚の網があるので、オークとウサギに6枚ずつ使用できる。

 5㎏程度なので並ぶはずだ。

 

 だけど、その前に味見をする。

 柔らかく程よい味で煮込めていた。

 子供たちが、じーっと見ていた。

 

 「食べたい?」

 「うん!」

 「ちょっと待ってね」

 

 楓花は、1枚ずつをお皿に乗せて出した。

 

 「どうぞ。熱いから気を付けてね。」


 フォークも渡すと、3人のコップに水を注いだ。


 「おいしーお肉なのに柔らかいよぉ」

 

 もぐもぐとしつつ、幸せそうだ。

 口に合ったならよかった。


 楓花は網に並べて、機械に掛けた。

 乾燥に6時間かかるらしいので、その間に出来ることをする。

 

 シャワールームに行き、袋の中の服を袋のままで揉み洗いをした。

 石鹼液が黒くなってしまっていた。

 水を交換しては揉んで濯いだ。

 脱水機にかけて水を切り、もう一度濯いで脱水機にかける。

 外に干したいけれど、そうは行かず入り口に棒を渡してハンガーにかけた服を干した。

 子供服を干そうと持ってきたハンガーは大きかったけれど、仕方がない。変な癖がつかないといいと思いつつ干した。せめて3階に干したいけれど、子供たちから目を離せないので仕方がない。

 

 「ララさん、頭の怪我は治ったか見せてもらえる?」

 「うん、もう治っていると思う。」

 

 ララが頭を見せてくれるけれど、大丈夫そうだ。

 良かった。怪我をさせてしまったことに変わりはないけれど、治ってくれた。

 もしかしたら、私たちの事故もこういう失敗だったのかもしれない。

 ステルスって大事ね。忘れてはいけないと自分に言い聞かせた。


 「フーカさんは魔術師?」

 「いいえ、私は魔導士というらしいわ。」

 「まどうし?」

 「うん、そうよ。」

 「どんなことをするの?」

 「どうって言っても、例えばあの人たちが、あれ以上近づけないようにしたり、お薬を作ったりしているわ。」

 「お薬?」

 「ええ、そうよ。」

 「ふ~ん…」

 「あっでも、お洋服を小さくしてくれた!」

 「それは、応急処置よ。」

 「おうきゅうしょち?」

 「急いで合わせること。きちんとしていないの。」

 「そうなの?とっても動きやすいよ。」

 「そう?ならよかったわ。」

 「それにね、髪がサラサラでいい香りがするの。」

 「そうね、みんなで同じいい香りね。」

 「うん、おなじ~」


 サナが膝に乗ってくる。子供らしく甘えてくるのはかわいいけれど、生存本能で保護した人に甘えているだけかもしれないし、少し心が痛い。

 それでも、子供は好きなので、好きにさせておく。

 

 「髪を縛ってもいいかしら?」

 「うん、いいよ~」

 

 サナの髪は短いけれど、目に髪がかかっていた。

 邪魔そうなので、上部だけを集めて髪ゴムで縛った。

 

 「わぁすごい。」

 「ララさんもしましょうか?」

 「うん!」

 

 ララの髪は肩にかかるくらいの長さがあったので、2つに分けて耳の後ろで縛った。


 「リリーさんもしましょうね。」

 「あたしもいいの?」

 「もちろんよ。」

 

 リリーの髪は長いので、耳の後ろ辺りから2つの三つ編みにした。

 

 「うわぁ~かわいい…」

 「どうなっているの?」

 「シャワールームに鏡があるから見ておいで。」

 

 3人が駆け出してきゃあきゃあと声が聞こえてきた。

 それを聞きながら、どうやって過ごそうかと考える。

 男たちは、何かがあるのはわかっていても見えないので対処できないようだ。


 「そうだ!」

 

 楓花は、棚からオセロを取り出した。

 白と黒のあれだ。

 子供たちに遊び方を教えると、すぐに理解したようで遊び始めた。


 それを見つつ、楓花は次の肉の調理を始めた。

 圧力鍋を下ろし、昼食の用意をする。

 食事に問題はなさそうなので、オーク肉をハヤシルウで煮込んだ。もちろんたっぷりの玉葱と人参も入れた。

 サラダはじゃがいもとレタス、生の玉葱を入れてマヨネーズで和えた。隠し味にほんの少し砂糖を入れた。


 ごはんは、炊飯器で炊いた。

 簡易炊飯器もあるけれど、1升炊きを積んでいてよかったと思う。

 なぜ1升炊きなのかと言えば、結婚してすぐに夫の友人たちが来た時に、普段使っている3合炊きではごはんが足りなかったからだ。それで購入したのだが、3回ほどしか使う機会はなかった。

 家では、3合炊きがあれば十分なので、積んでおいたのだ。

 子供たちは大丈夫そうだけど、念のために柔らかめに炊いた。


 ごはん多めでルーを少な目にかけた。

 私の味付けはこの世界だと濃いらしいから、ハヤシソースも濃すぎるかもしれないのだ。


 「これなぁに?」

 「ハヤシライスよ。こうやって白いごはんとルーを一緒に食べるの。」

 「わぁ…初めて食べる!」

 「ん~!」

 

 会話があったのはそこまでで、子供たちは食べることに集中していた。

 それを楓花は苦笑しつつ、食べていた。


 この子たちの靴はないのよね…。

 親を探すにも靴は、必要だろう。

 取り急ぎ履かせられるものはない。

 ないものはないのだから考えるのはやめた。


読んでくださりありがとうございます。

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