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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第6章 娘たち

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2


 誘拐犯の荷馬車にいる子供たちが、息をのんでこちらを見ている。

 車の前に少女を立たせているので、安心してこちらに来てくれるはずだ。

 楓花は口に指先を当てて、静かにするように合図した。子供は2人いて目をしっかり開いてこちらを見ていた。


 「ゆっくりでいいから降りて…助けにきたの…」

 「本当?」

 「あの子もいるわ。シールを張るから腕を出して。」


 楓花はドアを開けて、少女を見せた。

 すると子供の1人が飛び降りて、少女の元へと駆けていこうとしてガードに阻まれた。


 「つっ」

 「しっ」


 その子の額にシールを貼り中へ入れる。

 もう一人の子は、立ち上がれないらしい。

 今のやり取りで、見張りが気づくのではないかとハラハラしながら、もう1人の子にシールを貼り抱き上げた。

 すぐにガード内へ入る。


 「この!」


 男は気が付き立ち上がったが、楓花と子供たちはガード内へ逃げ込んだので、近づけない。


 楓花は腕に抱えている子を降ろし、手に結ばれているロープを切った。


 「腕を出してくれる?」

 「うん」


 少女に抱き着いている子の手のロープも切る。


 「さてと…お名前を聞いてもいいかしら?私は楓花よ。」

 「フーカ?わたしはララ」


 車で、楓花がはねてしまった少女が名乗った。それを見て他の子も名乗ってくれる。


 「あたしはリリー」

 「サナ…」


 「ララさんとリリーさんとサナさんね。」

 「サナさんじゃない…サナ」


 サナさんはかなり幼い。敬称を付けて呼ばれることに慣れていないのだろう。


 「あら、わかったわ。サナね。」

 「うん…」

 「では、中に入ってね。治療をしましょう。その前にシャワーを浴びて、体を洗おうね。」

 「体を洗う?」

 「自分でできる?できないなら一緒に浴びようか?」

 「うん」


 3人とも1人で、シャワーができないの?

 それなら、急いで体を洗ってあげないと…あまりにも汚れていて、このままでは手当をしても膿んでしまいそうだ。

 いや、待って…弱っているなら、先にポーションを飲ませよう。

 リリーさんに大きなケガは見当たらないけれど、見えないだけかもしれない。


 「リリーさんは、これを飲んでね。」


 リリーさんには、初級ポーションを渡した。

 先ほどまで抱き上げていたサナの足は、たぶん折れている。腕も折れているかもしれない。

 足と腕の骨は、ずれている感じはしないけど腫れあがっていた。

 位置の多少のずれは修正してくれると信じたい。


 「サナはこれを飲みましょう。飲めるかな?」

 「うん、飲む…」


 2人とも、ポーションを飲み干してくれた。

 その間に楓花は、ソファーにバスタオルを敷いた。


 「サナはここに座って少し休んでいてね。リリーさんサナの隣に座って見ていてくれる?」

 「うん…」

 「では、ララさんから洗いましょう。」

 「うん」


 楓花は脱衣室のドアを開けて、ララを中に入るように促した。



 「ここで服を脱いで体を洗うのよ。ここを回すとお湯が出て、こっちに回すと止まるの。体を頭も体も濡らしたら、このシャンプーで頭を洗って、このソープで体を洗うのよ。」

 「あの…そういうことやったことなくて…よくわからない…」

 「そう、私が一緒に入って洗ってもいいかしら?」

 「うん…」


 ララはシャワー室で服を脱いだ。

 楓花はブラとタンクトップ、ショーツという姿になる。

 楓花は、ホテルに泊まった時にもらったアメニティーセットを用意していた。

 その中には、体を洗うスポンジやブラシも入っている。

 

 「髪を梳かすからね。」

 「うん、いた…」

 「ごめんね。引っ張ったかな?」

 「大丈夫…」

 「もういいかな?」

 「では、ここを回してお湯を出すわね。かけるわよ…熱くない?」

 「うん、大丈夫。」

 

 ララさんにかけたお湯は、明らかに色がついて流れてきた。これはかなり汚れている。

 ボディーソープで頭から体までザっと洗って、シャワーで流した。泡が真っ黒で驚いてしまう。2回目に、リンスインシャンプーで頭を洗って流した。

 2回目は手足の指の間も、脇の下もしっかりと洗いお股は、自分で洗ってもらう。多少下手でもお湯で流せばそれなりに落ちるだろう。

 幸いなことにポーションが効いているようで、ケガもほとんど治っていたし、変なところもないようだった。頭の傷は治りきっていないので、ポーションをかけておく。


 「目を開けていいよ。」

 

 バスタオルで頭を拭いてから体を拭き、バスタオルで巻いた。

 楓花は、そのままの恰好でララを連れて、ソファーのところへ行く。

 サナたちの正面のソファーに、上の棚から出したバスタオルを敷いた。


 「ララさんはここに座って待っていてね。サナさんを見ていてね。」

 「うん」

 「リリーさん、行きましょう。」


 リリーさんも同じように汚れていて、同じように2回洗ってララさんの隣に座らせた。


 「サナさん、歩けるかな?」

 「ん~…」

 

 ペタペタと歩いて見せて、はじけるような笑顔を見せた。

 

 「痛くない!すごい、どこも痛くない!」

 

 顔の傷はまだ消えていないけれど、痛くないならよかった。

 シャワーに連れていき、同じように2回洗った。お湯に当たるのに疲れたらしく最後はしゃがんでしまったので、シャワー椅子を入れて座らせた。

 

 「お顔の傷が治るお薬を塗りますね。」

 「うん…これ治るの?」

 「どうかな?治ったらいいなと思っているけど、やってみないとわからないね。」

 

 そういいつつ、ガーゼにポーションを含ませて顔に当てていく。薄くなったような気はするけれど、治ったとはいいがたい。


 「湯冷めするから、一回出ようね。」

 

 ソファーに戻ると、不織布を外してバスタオルを敷いた。そこにサナを座らせた。

 少し傷が薄くなったような気はする。


 「サナさん、これを顔に当ててもらえる?」

 「うん…」

 「そうだ、みんなお腹は空いている?」

 「空いている!」

 「どのくらい食べていないの?」

 「2日くらい?」

 「そのくらい?」


 2日という割には、ガリガリに痩せていた。ちょっとその日数は信用できないかな?

 それとも、1回が恐ろしく少なかった?

 その可能性もあるよね…。どうしようかな…。

 

 楓花もシャワーを浴びて服に着替えた。

 子供用の服はないけれど、彼女たちの服は汚れすぎている。

 棚の中から、新品の女性用ショーツを取り出し、両サイドを縫って子供でも履けるようにした。


 「これ履いてみて?大きすぎるなら教えて。」

 「大丈夫かな?」

 「落ちてこないよ。」

 「つるつるで気持ちいい。」

 「それならよかった。それで上に着るものだけど、子供服はないから…これでいいかな?」

 

 サナには、レディースのSサイズの半そでTシャツを着せてウエストに紐を巻いた。この紐は、手芸のお店で売っていた紐だった。


 「これでいいかな?」 

 「わぁ!きれいな服!いいの?着ていていいの?」

 「いいよ。」

 「リリーさんとララさんには短いから…長めの方を着てもらおう。これならワンピース替わりになるでしょ。」

 「わぁ…わたしたちもいいの?」

 「もちろん。みんなの服はお洗濯してからね。」

 「うん…」

 

 楓花は、先ほどコンロにかけていた鍋の湯が沸いたのを確認して、コンソメキューブを1つ入れた。そこにパックごはんを1つ入れて煮込む。


読んでくださりありがとうございます。

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