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新章スタートです。
ブックマークが63になりました♪ありがとうございます。
楓花は、この間の採取で大量の素材を手に入れた。
持ち帰って自宅でよく洗い、袋に入れた物をウエストポーチに収納していた。袋入り露草1㎏32個もあった。袋入り癒し草は107個などなかなかの量だった。袋に入れることで1本ずつのカウントを避けられる。1本ずつだと9999個なんてあっという間に埋まってしまうだろう。
イルルジオーネのお金は、順調に貯まっているけれど、特に使い道もない。
そのうち家を購入してもいいのかもしれないけれど、今のところ必要ない。あの車があれば快適に過ごせるので、必要だと思えないのだ。
とりあえず、使い道ができたら使おう。簡単な手助け程度はいいが、基本的に無料奉仕は、やりだしたらキリがなくなるので、するつもりはなかった。
楓花は、大和で組んでいた定期を思い切って解約した。
イルルジオーネにいると時間が3倍という事は、肉類の食費が浮いてもそれ以外は3倍掛かっても当然なのだ。肉も野菜も浮くけれど、パンやその他は掛かる。
平日は、仕事を定時で終わらせると買い物をして家へ帰る。
のんびりと本を読み、食事を作って食べるだけの日々だ。それに不満なんてない。
正社員時代には、寝る時間も碌に取れなかったことを考えると夢のようでもある。
家でいろいろと調べて、オークの干し肉や燻製を少し作ってみた。当たり前だけれど、肉は漬け込んでから焼いて干した方が、おいしい干し肉になった。
そうすると俄然興味出てきた。
興味が沸いたので、大型のフードドライヤーとの道具とフリーズドライを作る機材を買ってみた。12段の棚があり、お値段もフードドライヤーで3万円ほどと思ったほど高くはなかった。
オーブンを使い低温で焼いてもできるのだけれど、2段までしか作れないため、12段というのは魅力的だった。
これらを車に積み込んだ。
大和にある時点では、狭いキャビンにしか積み込めない。
持って行きたい物はとにかく狭いキャビンに詰め込んで、イルルジオーネに行き、スペースが広がってから移動させるしかなかった。
家でいくつかの調味液を作り、天龍が狩ってくれたオーク肉とブラックベアー、ウサギ肉をそれぞれ漬け込んでおく。それを向こう側へ持って行き加工してみよう。燻し方も投入する木片の量や時間を変えたらどうなるだろう?
燻製用チップではなく、イルルジオーネに生えている木を使ってみてもいいだろう。
楓花は、週末が楽しみだったがその前に、会社参加の地域イベントを終わらせなくてはならない。田舎町では、地域の行事に会社を挙げて参加するのだ。ちょっと面倒だけれど、やらなくてはならない。
「打ち上げ行きませんか?」
「体力がないので、ごめんなさい。お誘いありがとうございます。」
いつものように誘ってもらったが、いつものように断った。
こういう付き合いは苦手なのと、家についたら泥のように眠るのが常だったので、お断りしていた。
楓花は家へ帰るとすぐに車へ乗った。
家でシャワーを浴びていては、疲れて眠ってしまう。向こうへ行ってから寝よう。
時間を有意義に使いたかった。
「ナビ、空間移動で虹湖に設定して。ガード50㎝にして。」
『かしこまりました。到着地点を虹湖に設定しました。ガード50㎝にしました。』
「ありがとう。」
『虹湖に着きました。』
楓花は、到着すると同時にまっすぐに運転し、衝撃を受けた。
あまりにも強い衝撃に驚いてブレーキを踏んだ。
目の前に人が倒れていた。
うそ…なんで?
私…人をはねたの?
体が震えてくる中で、車を降りようとして、万能ポーションを持っていかなきゃと気が付いた。
後ろのキャビンへ入り、ロッカーを開けてマントとショートソードが目に入った。
急いでマントを身に着けて車を降りた。
倒れているのは、少女だった。
「あなた、しっかりして、これを飲める?」
楓花が、声をかけても反応がない。
急いで万能ポーションをケガしている頭と手足へ振りかけた。
「ん?」
少女が反応したので、肩を叩いた。
「気が付いた?お願いだからこれを飲んで…」
「うん…」
少女が1瓶飲んでくれてホッとする。
「よかった…痛いところは?」
「ううん、痛くないけど…きゃああああああ!!!!」
「ピーーーーー!!」
少女が悲鳴を上げた。
同時に、いつか聞いた警告音が鳴った。
後ろから襲撃を受けたけれど、楓花のガードが発動して弾いたおかげで無事だった。
男が剣を振り回していた。
楓花は、そこでやっと車のガード範囲を広げていないことに気が付いた。
失敗した。
ここはガード範囲外だ。
急いで少女を抱き上げマントの中へと入れた。
そのままキャビンへと乗り込んだ。
少女を床の上へおろすと、運転席へのドアを開けてナビへ指示を出した。
「はぁはぁ…ナビ、ガード範囲を5mに広げてステルスにして。」
『かしこまりました。ガード範囲5m、ステルスにしました。』
『ピーーーーー!敵対行為を受けました。』
楓花は、ロッカーからショートソードを取り出した。
相手は人間だ。
だけど、自分を殺そうとしてきた。
殺されるくらいなら殺してやる。
疲れ過ぎている楓花の思考回路は、単純だった。
外へ出て、先ほどの男はガードの外へ飛ばされていることに気が付いた。
他に数人の男たちがいて、ガードを叩いているようだ。
そうだ。ガードの中にいれば大丈夫なのだから、落ち着こう。
殺さなくても大丈夫…。
「良かった。」
先ほどは頭に血が上ったけれど、人を手に掛けたくはない。
楓花は、自分の胸に手を当てて深呼吸をした。
あの人たちは、少女の家族や仲間の可能性がある。
楓花は、キャビンへ戻った。少女は、かなり驚いた様子で自分を見ているようだった。
「どうしたの?どこか痛い?」
「ううん…。足が折られていたはずなのに…治っていてどこも痛くないの…」
「折られて?折れたではなくて?」
「うん、男に攫われて足を折られたけど、なんとか逃げようとしてぶつかったの…ごめんなさい。」
「そうだったの…では、あの男は人攫いで間違いない?」
「うん…」
「では、片づけても問題ないわね?」
「あのっ…助けてくれてありがとう。あのね、わたし…自分だけで逃げたけど、あの荷馬車には…私みたいな子があと2人いたの…。」
「え…!?その荷馬車の位置はわかる?」
「えっと…たぶん…大きな水の近くにいる。今日はそこで野営だって言っていたの…。」
「そう…では、…あっ…ちょっと腕を出して。」
楓花は、シールを貼っていないことに気が付いた。
さっきは抱き上げてきたからいいけれど、離れていたらどうなるかわからない。楓花は、少女の手首にビニールのシールを貼った。
「これで大丈夫。待っていてね。外に出てはだめよ。」
「うん」
楓花は、荷馬車まで車を近づけた。ガードは5mのままだ。
車の前には、高さの低い木が生えていた。
車はステルスでも、私の姿は見えてしまう。
楓花は、車から降りてそこに潜んで様子を見る。
男たちは、テントを張って休んでいるけれど、子供の姿は見えない。荷馬車に入れられたままなのだろう。男の1人は外に座り警戒をしていた。
男たちが寝静まるのを待ち、見張りも居眠りをし始めたのを見て、楓花は荷馬車を開けた。
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慣れた頃に油断って生まれやすい。
始まって早々に物騒な楓花さんでした。




