12
翌朝、楓花達は外で朝食を食べる。
6月で大和はムシムシとしていて雨続きだけれど、イルルジオーネは秋のさわやかな空気で過ごしやすい。
7月が冬というのは、日本の暑さから遠ざかれるのでうれしいけれど、体がついていくか心配になる。
日本は真夏なのに…。
あ…その前に次の土曜はお祭りが入っているから、こちらに来るのは1日ずれる。こちらでは3日以上ずれるから、教えておいたほうがいいだろう。
「そうだ、お肉を売るところですけど、アートンで売るにしても多いと思うのでヒルストンでも売りませんか?
「ヒルストン?構わないが…時間は大丈夫なのか?」
「それなら問題はないですよ。すぐですから。」
「なら、俺たちは構わない。」
「アートンとヒルストンにどのくらいずつ売るのかはお任せするわ。」
「そうか、わかった。だがひとつ問題がある。」
「問題?ああ…俺たちはどのくらい狩ったのか全くわからん。」
「え?」
「そんなことあるの?」
「ルーシー残念だが、事実だ。」
「まぁ…では、行く前に一度袋詰めしましょうか。」
「そうだな。」
「そうしよう。」
「では、アーサーさんにも倉庫に入れるようにシールを貼りますね。」
「ありがとう。」
「では、私がお肉を取り出すので、ルーシーさんとハナさん、テンさんとダンさんは袋を開けて待っていてください。袋に肉の名前を書いてくださいね。ペンはこれをどうぞ。」
「あら、すごいにおい…」
「ペンの臭いは頭が痛くなるので、吸わないほうがいいですよ。それと書き終えたらキャップはしっかりと締めてください。」
「わかったわ。」
「では、オークから行きます。」
楓花が肉を取り出し、20㎏ほど入れたところで口を縛って倉庫へ運ぶ。倉庫ではケントとアーサーが棚に乗せる。そう仕事を分けた。
「楓花さん、一旦中止。」
「どうしました?」
「オークだけで左の棚が埋まった。」
「あら、ちょっと見せて。…ここをこうやってこうしたら、ほらもう一つ入るわ。」
「なぁ、もう少しで空になるか?アートンとヒルストンに分けるにも…」
「いえ、やっと半分くらいです。同じくらいもっとかも?まだあります。」
「まじで?」
「はい。ヒルストンへ卸す分だけ袋詰めしましょうか、アートンの分は別の場所でまた詰めましょう。」
「そうだな…。あ、俺たちは1塊ずつほしい。」
「私も欲しいので、少しもらいますね。」
「ああ、もちろんだ。その分はバケツに残してくれてかまわない。」
「ブラックベアーはどうしますか?半分ずつ?アートンは多め?」
「半分ずつだな。」
「わかりました。猪肉は?」
「そっちは、アートンへ全部。ウサギ肉は半々でも全部ヒルストンでも構わない。」
「わかりました。では仕分けをしましょう。」
結局、倉庫の棚を埋め尽くし、床にもビニールシートを敷いて、肉の袋が並んだ。半分ですらないけれど、限界のようなので、そこまでにした。
「もう置くところがないから、これで行きましょうか。」
「そうね。」
「そうだな。」
「なんだか疲れたわ。」
「私も…。」
「そうですね…癒しの水飲みますか?」
「いらない。そこまでじゃない。」
「そう?では、皆さん車へ乗ってください。」
「ダンさんも手首を…シールを貼ったから乗れますよ。」
「はい…」
「気を付けて上がってね。」
「ケントさんは助手席へお願いします。」
「わかった。」
楓花は、運転席に乗った。
助手席にはケントが乗ってきた。
「ナビ、ヒルストンに空間移動。」
『かしこまりました。目的地ヒルストンに空間移動します。』
次の瞬間には、ヒルストンへと到着した。
「ナビ、ガードを1mにしてステルス解除」
『かしこまりました。ガードを1mにしました。ステルスを解除します。』
ヒルストンの門を通り、冒険者ギルドの前へ車を停めた。
「へぇ…ここがヒルストン…」
「はい、アートンと違ってお肉類が入りにくい地域なの。」
「そうなのか…それで…。」
「ケントさん、ガードを1mにしてあるけれど、警戒をお願いします。」
「わかった。」
「私は、中へ声をかけてきます。」
「それなら俺がついていく。」
アーサーが、楓花の後ろをついて歩く。
楓花が、ギルドへ向かうと兵士がドアを開けてくれた。
楓花を見た人たちが、歓声を上げた。
「え?何?」
「フーカ様、いらっしゃい。」
「セイヤさん、これ何?何かあったの?」
「何かあったの?じゃないですよ。フーカさんの薬で持ち直したり、怪我が治ったりで働けるようになったのが多くてね。おかげで活気が戻ってきた。」
「それはよかったです。今日はお肉と初級ポーションとお薬3種がありますが、どうしますか?次に来るのは23日後以降30日以内だと思いますが、そこで来なければ2か月先かもしれません。」
「それなら…肉はあるだけほしい。初級ポーションは10本、薬は癒しの水が100本とかは無理だよな?」
「ありますよ。3種とも400個ずつあります。」
「お?それなら全て100本ずつ欲しい。」
「わかりました。先にお肉を渡しますね。ケントさんがいるので、倉庫へ荷車をお願いします。」
「わかった。すぐに…。ところで、肉って…どのくらいある?」
「倉庫いっぱいですね。」
「すぐに手配する!!」
それから、楓花は車へ戻って薬を100個ずつトレイに並べた。それを積み重ねて、置いた。
「うわぁ…いっぱいっすね…」
「こりゃあ、量があるな。」
「ギルマスがあちこちに伝令を出していたから、俺たちも急いで手伝おう。」
「ケントさん、この板を立てかけてここを滑らせて肉を卸してください。」
「おぅ、わかった。こりゃいいな。ウサギ肉から降ろすぞ。」
「わかった。」
ケントは荷車へと板を掛けて肉の入った袋を滑らせた。
肉の入った袋は、滑り降りて荷車へ乗った。
「まじか…ウサギで荷車いっぱいってどんなだよ。」
「こんなに狩れるものなのか…」
「兄さん一人で狩ったのか?」
「まさか、3人だ。」
「3人って…それでこんなに?」
「やべーな…」
「フーカ様だけでも大量なのに、この人たちがいると凄すぎる。」
「次、オークだ。」
「荷車交代する。」
荷車が入れ替わり、大量のオーク肉を積んでは、次の荷車へと交代した。
そうしているうちに、セイヤさんがやってきた。
読んでくださりありがとうございます。
リアクションと合わせて星印を★★★★★~★☆☆☆☆にしていただけると嬉しいです。




