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楓花は、干し肉を入れたジッパー袋を見た。
「どのくらい持つのかしらね?」
『干し肉:賞味期間は90日』
「あら…短い?」
「ん?」
「3か月しか保持できないみたい。残念だわ。」
「3か月!?」
「そんなに?」
「え?」
「俺たちが作るのは10日くらいだ。冬場で20日くらい。3か月なんてすごいよ。」
「本当に?」
「うん、3か月は長い。」
「なら、燻した効果はあるのね。」
「この香ばしい感じが燻した味なのか?」
「そうですね。一応防腐効果があるはず。」
「さすがだな。しかもうまい。」
「美味しい?本当?」
「うん、うまい。」
「それならよかった~」
「少し分けてもらえるか?」
「え?少しと言わずどうぞ。私は3袋くらいあれば十分よ。」
「は?」
「え?」
「6人で作って15袋しかないのに3袋は、ちょっずるいかもしれないけど、いいでしょ?」
「いやいや、俺たちに12袋もくれるの?」
「当り前じゃない。焼いたのはアーサーさんだし、肉を狩ったのはケントさんとアーサーさんよ。」
「いやぁ…なんつーか…」
「いらない?」
「いる!」
「そうよね。」
楓花は、クスクスと笑ってしまう。
それを見て、ケントとアーサーは笑うしかなかった。
随分と欲の無い人だ。あんなに調味料を使い、変わった製法を使ってくれたのに…。
それにこれでは、恩返しをするはずなのに、ちっとも恩返しになっていない。
ケントとアーサーは、そう思うが目の前のフーカさんが楽しそうだからいいかと甘えてしまう。
ハナとテンが走ってきた。
「フーカさん!ガードの外側に人が倒れているの!」
「人?どこ?ちょっと待っていて、応急箱を持ってくるわ。」
応急箱には、初級ポーション入りの薬3種類とペットボトルの水、無菌パックされたガーゼや包帯、手袋などが入っている。
ビニールシートも手に持ち外に行くと、ケントさんが手を出してくれたので、ビニールシートを預けた。
ガード内許可のシールは、ウエストポーチに入っている。
他にもポーション3種も入っているけれど、そちらは使わないようにしたい。
一度キャビンを出て、はっと気が付いて戻った。
マントを付けていない。腕輪だけではだめだと言われていたのを思い出した。
ガードの外側に子供が倒れていた。
「すいません、旅をしていて…子供が倒れてしまって…」
「少し診させてもらえますか?」
「診てくれるので?ありがとうございます。」
楓花は、子供を診てみる。どう見ても栄養失調だろう。ガードの中に入れて、温かい物を食べてもらって…。
怪我は…打ち身のような怪我が体中にあった。
これはどちらかというと…。
楓花は戸惑いつつ、この子を助けるために、ガードへ入れるためのシールを貼った。
「あの…私たちも獣が怖くて、この子と一緒にガード内へ入れてもらえませんか?」
「はぁ…ガード内へ…まぁいいですよ…」
楓花が、一緒にいる大人たち4人にもシールを貼った。
どう見ても親ではない。
でも、それを言うとハナやテンだってケントやアーサー、ルーシーの子ではないだろう。あまり突っ込んでもねぇ…。
「ケントさん、そこにブルーシートを敷いてもらえますか?それと、アーサーさんその子をここに移したら、これをこの子に飲ませて…」
「わかった。」
楓花は、ハンドタオルにペットボトルの水を含ませ、出ている手足を拭いていく。それで青タンや黄色くなってきた打ち身部分を癒していく。
「ハナさん、テンさんちょっといい?お湯とパンとお肉を焼いて持ってきてくれる?」
「え?食べさせるの?」
「耳を貸して」
楓花は、ハナの耳元へと小声で指示を出した。
「用意してくるね。」
「食べ物を用意してくれるので?」
「ええ、お腹が空いているでしょう?少し食べて落ち着くといいわ。」
「そりゃあ悪いねぇ…」
子供は、癒し水を飲んで少し顔色がよくなっていた。
楓花は丁寧に手足を拭いている。
一時的な手当などは、意味がないかもしれないけれど、助けられるものなら助けてあげたい。
ルーシーさんがやってきて、肉を乗せたパンと白湯を振る舞った。
食器は彼らの物だ。旅人はコップや深皿を持ち歩いているらしい。
「これは肉かい?」
「ウサギ肉です。パンは黒パンですけどね。」
「いやぁ、こんな贅沢な物…悪いねぇ…」
「どうぞ召し上がってください。このガード内にいれば安全です。明日の朝までは、どうぞゆっくりして大丈夫ですよ。」
「そうかい、悪いねぇ…」
「では、ごゆっくり。」
楓花は、挨拶をすると車のところへと戻った。
「外に出した物は一度片付ける。服を持って上へあがっていてくれ。」
「フーカさんは…俺、一階の席で過ごしていいか?出歩くなら声をかけてくれればいい。」
「えっと…どうして?」
「なんとなく、あの連中は心配だ。子供の怪我とあの連中の様子に違和感がある。」
「そう言われるとそうかもね。私も一度2階に上がります。少し話をしましょう。」
楓花が2階へ上がるなり、ハナが謝った。
「フーカさん、ごめんなさい。」
「いえ、倒れていたら心配になるのは当たり前よ。」
「でも…一緒にいる人たちがあまりよろしくない。」
「そうですね、でも…そんなに心配はいらないですよ。」
「どうして?ガード内に入れてしまったのに?」
「実は…このガードに入れるには条件が合って、許可はもちろんですけど…」
「他にも?」
「はい…私に害意がない事が条件です。害する意図があるなら、中には入れません。」
「でも、彼らは…中に入ってから害するつもりになったら?」
「それは…どうなるのかしら?でも、きっと大丈夫ですよ。」
「外に出るなら、一緒に行く。俺はベッドで眠れなくても構わない。助手席に座らせてくれ。」
「えっと…大丈夫ですよ?」
「大丈夫じゃない。1人にはさせられない。」
「そうよ。ケントを使ってちょうだい。アーサーがよければ、アーサーを私でももちろんいいわ。とにかく1人になるのはダメ。」
「それなら、ケントさんお願いします。下に降りてキャビンへ戻ります。」
「わかった。先に降りる。」
ケントが先に降りて、楓花が降りていくと男2人が立っていた。
「どうかしましたか?」
「いやぁ、小僧がかなり良くなってね。あの水を譲ってもらえないか?」
「癒し水を?金貨2枚ですが…」
「は?金貨2枚!?ポーションを買えるだろうが!」
「そうですね。」
「あのなぁ、おばさんは知らんのだろうが…ポー…」
男2人が、腰のナイフに手を伸ばしたところで、ケインは剣を抜いた。
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