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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第5章 ポーション作り

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7

 

 楓花は、まだ火の通っていないポットベラを端に寄せて、ウサギ肉を焼き始めた。

 こうしてみると鶏肉によく似ている。

 皮のない鶏肉にしか見えない。


 「さぁ、焼けましたよ。」


 楓花が肉を取り分けていると、アーサーがやってきた。


 「肉を焼くだけでいいなら、俺がやるよ。」

 「あら、いいの?生の肉には赤いトングを使ってね。」

 「焼けたら青だね。」

 「そう!食べながらお願いしますね。」

 「ああ、任せて。しっかり食べる。」


 楓花は、椅子に座って少し冷めたカボチャを食べた。甘くて美味しい。


 「このオレンジ色のとても甘くて美味しい。」

 「かぼちゃと言います。私も甘くて好きなの。」

 「こっちの白いのも美味しいよ。」

 「それは玉葱ですね。火が通ると甘くなるけど、生だと辛いの。サラダにも入っているのよ。」

 「サラダに?これかなぁ…あっこれ?」

 「そうそれ。」

 「あっ…うん、シャキシャキしていておいしいけど、ちょっと辛いかも…。」

 「そうでしょう?ふふっ」

 「玉葱は、血液をサラサラにするし、カボチャには目にいい栄養がいっぱい入っているから食べてね。」

 「…?うんっ、食べる!」

 

 「フーカさん、こっちのこれはそろそろかな?」

 

 アーサーに声を掛けられて、ポットベラを見た。丁度良さそうだ。


 「いい焼け具合ですね。もう食べられます。お肉はもう少しかも。そっちのオークとブラックベアーはよく焼いてください。こっちのウサギ肉はもう少しですね。」


 アーサーさんが、焼けたポットベラをお皿へ乗せてくれる。

 厚切りのそれを噛めば、じゅわーっと汁が出てきて美味しい。


 「ん~美味しい。」

 「それはよかった。ところでこれはなんですか?」

 「これは大きなマッシュルームですね。」

 「マッシュ!?」

 「マッシュルームはきのこですよ。」

 「きのこ!?」

 「焼いて食べるの?」

 「マッシュルームは生でも食べられますが、他のキノコ類は焼いて食べないと…」

 「はぁ…そう…」

 

 アーサーやルーシーが「キノコって薬じゃないの?薬の材料…」とブツブツ言っているけれど、楓花は気が付いていない。


 ケントは苦笑いをしつつ、焼けたポットベラを食べて「うまっ」と言っていた。

 車に1階に乗っていない2人はわからない。

 楓花の全てが普通ではない。それは車の中での行動も同じだ。

 ケントは、いろいろと諦めることにしていた。

 俺たち以外のいる場所で気を付けてくれればいい。車の外なら、まだそうおかしいところは少ない。そう思うことにしていた。


 普段飲む酒は大麦を発酵させて作ったビールで、失敗した物や古くなった物は酸っぱくなる。

 成功していてもほんのりと酸味がある飲み物だが、体にいいと言われているので飲んでいた。酒ではあるけれど、酒精は高くない。

 ワインは、ブドウを発酵して作るらしくアートンにもワイン農家はいる。

 彼らのワインは1本大銀貨5枚から金貨1枚と高価なので収穫祭を終えてブドウの仕込みを終えた頃、前年に詰めたワインが売り出される。それを年に1度の贅沢として買っていた。

 このワインのように滑らかではなく、もっと酸味が強い。

 このワインは、かなりの年数を寝かせた物だろう。

 極稀に貴族の邸宅で振る舞われるような味だった。


 味を付けるためにと塩も胡椒もふんだんに入った容器、よくわからないけれど美味しい味のタレ、生の野菜なんて食べ慣れないけれど、フーカさんが出すのなら美味しいのだろう。

 ふわふわとした野菜に白いドレッシングをかけて食べると、シャキシャキの歯ざわりで濃厚なおいしさが口に広がる。それをワインで流すのはもうたまらない美味しさだった。


 「お肉食べる前に美味しすぎて満足しているわ。」


 ルーシーの呟きにケントもうなずいた。

 

 「野菜ってうまいものだったってフーカさんといると思う。家だとすっかり忘れるけど…。」

 「家でだって、このソースをかけたら美味しく食べられると思うよ。」

 「それはそうかもしれんが…これチーズが入っている…。」

 「うん…そうよね…チーズなんて手が出ないわ。」

 

 「お肉焼けましたね!」

 

 楓花が、弾んだ声を出した。

 皆で焼き台に集まって肉を食べ始める。


 「お肉薄くて食べやすい。」

 「うん、このきりかたすき。」

 「私にはできないから、あんたたちでできるようになって。」

 「え…ごめんなさい。」

 「アーサーなら切れる?」

 「俺?無理無理、こんなに綺麗に切れないよ。」

 「そろそろこっちのオークも焼きませんか?」

 「いいね、焼いていこう。」


 「おっ…このタレうまい。」

 「うん、少しつけるだけで違う味になるね!」


 ワイワイと騒ぎながら肉を食べていった。


 「も~食えん。」

 「私も…美味しすぎていっぱい食べてしまったわ。」

 「美味しかったですね~」


 楓花もワインを飲んでお腹いっぱい食べてしまった。

 お腹のお肉を気にするお年頃だというのに、つい気が緩んでしまう。

 

 「皆さん、お肉は普段どうやって保管しているの?」

 「肉は保管庫だね。」

 「ああ、保管庫だ。」

 「保管庫?」

 「保管庫って言うのは…魔石を使った道具だ。肉を入れておくと5日くらいは食べられるように保存できる。」

 「へぇ…どのくらい入るものですか?」

 「そうだな…この焼き台くらいかな?」

 「そうなのですね。」

 

 「そうだ。前に干し肉にすると言っていましたけど、それってここでも作れますか?」

 「ああ、それはもちろん。一度茹でて味を付けたものを天日に当てて乾かす。低温で焼いて乾かすと日持ちするらしいが…」

 「なるほど…それでしたら、ちょっと変わった干し肉を作ってみませんか?煙で燻すと日持ちするはずです。」

 「煙で燻す?」

 「はい。」


 酔っぱらった楓花は、キャビンから肉用のナイフとまな板も持ってくる。



読んでくださりありがとうございます。

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