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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第5章 ポーション作り

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6

 川から離れた草原に楓花は車を停めた。


 「ナビ、ガード10mに設定して。」

 『かしこまりました。ガードを10mに設定しました。』


 「降りて大丈夫ですよ」

 「ありがとう。」


 ケントさんは、4人に声を掛けに行った。

 楓花は、倉庫を開けてテーブルとイスのセットを取り出した。

 今夜の夕食を作り、明日は採取をしつつ初級ポーションを作ろうと思った。

 

 「わぁ…もうここまで来たの!」

 「今日の夕食は焼肉にしますね。」

 「焼肉?」

 「はい、ウサギ肉とオーク肉を薄く切ったので、それを焼きながら食べます。熱々をフーフーしながら食べるのは美味しいですよ。」

 「へぇ…」

 「お野菜もありますからね。用意している間、少し休んでいてください。」


 楓花は、梯子のついている後部ドアを開けた。

 中に置かれている焼き台が目的だった。

 さすがに6人で食べるならいつものバーベキュー台では小さいので、屋台用に用意されている物を取り出そうとした。


 「これを出せばいいのか?」

 「あ…はい…」


 ケントさんとアーサーさんがやってきて、取り出してくれる。


 「ここをこうやって…取り出してここを押しつつ足を延ばして…」

 「おぉっ!便利だな。」

 「これなら6人で食べる分は焼けます。」

 「楽しみだ。」

 「薪を並べてもらってもいいですか?こうやって縦横で半分の高さくらいまで。間にこの紙を置いて入れてください。テーブルの1m横に台を置いてくださいね~」

 「わかった。」

 「私は、他の食材を揃えて来ますね。」

 

 楓花はキャビンに入り、冷蔵庫からカットした焼き野菜セットとサラダを取り出した。

 焼き野菜は盛り合わせたもので、キャベツとポットベラ、カボチャと玉葱を櫛切りにしたものが並んでいた。前に狩ったオーク肉とブラックベアー肉は1㎝の厚みで食べやすい大きさに切り分けていた。

 ワインの瓶を1本と紙パックのリンゴジュース、お湯の入ったポット、ティーバックなどの飲み物とカップを籠に入れた。焼肉のたれと塩コショウ、シーザードレッシングも籠に入れて戻った。


 楓花はテーブルに籠を置き、野菜を並べた。


 「では、これが取り皿です。フォークをどうぞ。私はお箸ね。この赤いトングは生肉用で焼けたらこっちの青いトングで取ってね。後は…飲み物は、ワインとリンゴジュースがあるけれど、どちらがいいかしら?お茶のセットも持ってきているの。」

 「ワイン!?」

 「日常用の安物なので、味の補償はないわよ?」


 楓花は笑って言うと、ロングライターを取り出して中に入れてある紙に火を付けた。

 

 「ワインに日常用…?」

 「ハナさんとテンさんにお酒は、早いと思うからリンゴジュースがいいと思う。」

 「わかった。リンゴジュースって何?」

 「リンゴの果汁よ。」

 「美味しそう!それで!」

 「フーカさん、私もリンゴジュースを飲んでみたい。」

 「では、ルーシーさんもリンゴジュースね。ワインがあるうちなら切り替えても大丈夫ですよ~。」


 楓花は、火が回ったところで網を乗せて脂を塗った。

 

 「あっ味を付けていなかった!」

 

 楓花は倉庫から先ほど仕込んだウサギ肉の入ったボールを取り出した。

 ボールには、ビニール袋に入った肉が入っている。お酒と少しの塩をしてあるだけだった。

 肉のビニールの口を開けていく。


 「ルーシーさんそこの白っぽい容器を持ってきてくれます?」

 「えっと…これ?はーい」

 「申し訳ないけど、〇がいっぱいついている方の口を開けて、ここに振ってくれる?」

 「え?どうやってあけるの?」


 ルーシーさんが蓋を回し始めてしまった。


 「ルーシーさん、ごめんね。私がやるので、ちょっと持っていてください。」


 楓花は、おしぼりで手を拭いてから塩コショウの容器を受け取った。

 蓋を回して元に戻した。本当は塩と胡椒は別にかけたいけれど、出先では面倒だと思い用意したのだ。


 パチンと蓋を押し上げて、口を大きく開けた袋の中の肉に塩コショウを振った。もう1

袋にはタレで、薄めに味をつける。


 「それは?」

 「これは塩コショウです。面倒なので挽いたコショウを混ぜた物ね。」

 「え…」

 「薄く味を付けるだけよ。食べるときにお好みで味の調整はしてもらうわ。」

 「はぁ…」

 

 楓花は、ビニールの口を捩じって汁が漏れないようにしてから、中の肉を揉みこんだ。たれの方にはチューブのニンニクとショウガも入れて全体にいきわたるようにする。


 「そろそろいいかな?先に野菜を焼きましょうね。」

 

 火の通りにくい玉葱やカボチャを並べ、端の方にポットベラを置いた。


 「はい、ジュースをどうぞ。」


 紙パックを開けて、3つのコップにジュースを注いだ。


 「金色…?」

 「きれいね~」

 「飲んでいいの?」

 「ちょっと待ってね。ワインも開けるからみんなで乾杯しましょう。」

 「乾杯?」

 「今日もいい1日でしたからね。お祝いです。みんなで乾杯と言って一緒に飲み物に口を付けるのよ。」

 

 ワインはコルク栓ではなくスクリュータイプだ。飲み切らなくても安心仕様で好んでいる商品だった。


 「はい、ワインをどうぞ~では、よき日に乾杯!」

 「乾杯!」

 

 戸惑いつつ、皆も乾杯と言ってから飲んだ。


 「うまっ!」

 「甘~い!!」

 「これリンゴそのものじゃない!?」

 「このワインうまいな~」

 

 ルーシーが目をぱちくりとさせていて、ハナとテンは少しずつ飲んでいた。

 

 「りんごを絞った汁だけを集めたものですね。」

 「汁だけを!?」

 「ええ、そういうものはないの?」

 「たまに飲む果実水は、水に果物の皮が入っているよ。」

 「皮?」

 「香りを付けてあるだけなのよ。子供たちは大好きな飲み物だわ。汁を絞ったままなんて…贅沢よ。」

 「そうなの?では今日だけね。もう開けてしまったから明日までに飲まないとならないわ。」

 「わ!」

 「お野菜焼けてきたのでどうぞ、サラダもあります。サラダにはこのチーズの入ったドレッシングが合いますよ。調味料はこれが塩コショウでこちらは焼肉のタレでお肉に合うと思います。味が濃いので、この3つに分かれたくぼみの小さいところへ入れるといいですよ。」

 

 楓花は、6つのお皿の大きな部分に焼けた野菜を乗せた。

 用意した皿は半分と1/4になった部分が2つあるタイプだった。先に野菜を食べさせようとしていた。

 楓花の甥っ子たちは、野菜は好きだが、それでも肉があれば肉ばかりを食べてしまう。そのために考えた策が、ここでも発揮されていた。


読んでくださりありがとうございます。

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