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「楓花さん、オークと猪を狩った。」
「あら、オークと猪ですか?いいおかずになりそうですね。」
「いや、運べるかと心配になっている。一度町へ戻るか?」
「それでもいいですよ?バケツに入れるのでいいと思いますけど…?」
ケントとアーサーは顔を見合わせた。
「そのバケツっていう容器は、どのくらい入る?」
「それがわからないの。でも、前に4頭分のオークは入ったからその程度は大丈夫だと思います。オークはこの5つが専用で、猪は毛皮と肉と肝・心臓…新しいバケツは薬草にも必要で、このままだと足りなくなるから、毛皮と肉はブラックベアーに使ったものでいいか…。」
楓花が、ぶつぶつと言いながらバケツを取り出し、名札を付けていく。
ケントとアーサーは考えるのをやめた。
運べるのなら問題はない。そう問題はない。
山分けでも相当に稼げる。そうだ問題はない。
そう言い聞かせた。
「これを使ってくださいね~」
「ああ、ありがとう。」
「フーカさん、露草も見つけた!ここならまだ採取できるよ!」
「本当に?どこ?」
楓花は、倉庫から新しいバケツを出してハナと一緒に向かった。
「フーカさん、この紫の花が咲いているのが露草だよ!」
「まぁ、かわいらしいお花なのね。」
「採取するのは、この蕾のついている葉だけなの。外側の葉を2枚残して、内側の2枚から3枚を採取するの。」
「なるほど、やってみるわね。」
蕾のついている葉の内側だけ…何枚か採取してみる。うまく抜くのは無理なので、根本から1㎝くらいの場所をはさみで切り取った。
少し摘んでからハタと気が付いた。
「ハナさん、ルーシーさんに言っていないよね?」
「あ…うん…」
「それなら、また後で来ましょう。先にヒールベリーを片付けてきましょう。」
楓花たちは、ヒールベリーを積んでいるルーシーたちに声をかけた。
ヒールベリー摘みを終わらせて、一緒に露草の採取を始めた。
露草は、丘の周囲にある林の近くに生えていたので、車を動かした。
再び露草の採取をしつつ、鑑定してみる。
どうやら、花が咲いた葉の成分はかなり少ないらしい。
蕾のある時期はいいけれど、蕾の時期は短いだろうから、無いときには倍以上使う必要がありそう。
出来るだけ多く採取しておいた方が、いいのかもしれない。
そのまま夕方まで採取を続けた。
「ん~腰が痛いかも…」
「ガードの効果で、採取に集中できるから余計に腰にくるのかもね。」
「そうかも…今日はもういいかな…。」
楓花が両手を上げて伸びをすると、ルーシーも真似をした。
それを見て、ハナとテンも真似をする。
楓花は、軽くストレイッチをして、周囲を見回した。
「ケントさんとアーサーさんは?」
「そろそろ戻ってくるのでは?」
「そうですね、それなら私は料理を作りますね。」
「すいません…。私は、2人を迎えに行ってきます。」
楓花は、露草の入ったバケツを倉庫の下の棚に入れた。そして、ウサギ肉のバケツを取り出した。バケツからウサギ肉を4枚取り出し、袋へと入れた。
楓花はテーブルを取り出して、まな板とナイフをキャビンから持ってくると肉を1㎝ほどの厚さにそぎ切りにした。袋に戻し、ワインを入れて塩コショウを少しだけ振りかけた。それをボールに入れて倉庫の棚に置いた。
ハナとテンに周辺の薪を集めてもらう。
「ごめん、解体に手間取った。」
「おかえりなさい。怪我とかしていませんか?」
「それは大丈夫。」
ケントさんとアーサーさんは、バケツを2つずつ運んできた。
「あと2つあるから、もう少し待ってくれ。」
「もちろん。気を付けて行ってきてください。」
ケントとアーサーは、楓花とルーシーに声をかけて、置いてきたバケツを取りに向かった。
「あの量を運んでいるとは思えないな…。」
「ああ、これアイテムバックのようなものだ。軽量化付きなのは、フーカさんが運ぶためだろうな。」
「まぁ…あの魔導車の中を見ているのだし、驚いても仕方がないが…」
「そうだな。今更だ。あれだけの空間拡張を見ているのだから、驚くようなことでも……あるよなぁ…」
「ああ、ある。驚いていいし、フーカさんが油断しすぎというか、俺たちを信用しすぎだ。」
「だよなぁ…俺たち助けてもらってばかりで、それを信用してくるってのもなぁ…」
「だが…疑い深くなってもそれはフーカさんらしくない気もする。」
「そうだな…」
「それにしても…オーク3頭に、猪2頭…角ウサギはもう何羽だったかわからん。」
「ああ、1日に狩るような数でも解体するような量でもない。」
「疲れたな…」
「ああ…だが、これ…半分だとしても相当な稼ぎだぞ?」
「わかっている。俺たちの普段の1か月分以上になるだろう。」
「だよなぁ…」
「あれだ、朝のすぐあとにお茶と言って、お菓子を食べさせてくれただろ?なぜか昼飯とか言うものも出てきた。しかも卵だった。きっと夜には、今日狩ったウサギ肉に塩コショウを効かせたものを焼いてくれる。」
「アーサー、それはないだろうと言えない。」
「だろう?あの人ならやりそうだ。」
「高級食材のブラックベアーだってお構いなしだ。卵だって食べさせてくれたからな。」
「だよな~」
二人がバケツを持って戻ると、楓花とルーシーたち4人で薪を集めていた。
「お待たせ、ここで泊まるか?」
「いえ、ここで火を使うのは危ないと思うので…開けた場所に行きたいと思います。」
「それなら、露草の群生地のある場所に行こう。」
「そんなところが?」
「ああ、もう少し上った川沿いだから拓けている。ただし、ブラックベアーが出るから通常なら勧めない。」
「そうなの?まぁ…ブラックベアーなら大丈夫ですね。」
「ああ、フーカさんの魔導車なら大丈夫だから案内できる。」
「では、皆さん乗ってください。10分後に出発します。」
倉庫にバケツを乗せ、集めた薪を入れるとケントさんを助手席に乗せて、車を走らせた。
「ここだ。」
「川の近くは大きな石がたくさんありますね、上流からの鉄砲水?」
「あれは、時々この川が氾濫するからだ。鉄砲水って何?」
「大雨の時に水が大量に流れてくることよ。上流に水が溜まるところがあって、決壊した時に水が大量に流れてくるの。天気に関係なく来るから怖いわ。」
「へぇ…さすが大魔導士様だ…そう晴れていても大量の水が来ることがあって川の近くは近付かない方がいい。」
「草のあるこの辺りなら平気かな?」
「ああ、ここならまず大丈夫だろう。林から離れているから薪も使える。」
「では、ここに停めましょう。ちょっと待ってね。」
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