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ガードの外に狼が集まっていた。
ケントさんとアーサーさんが睨んでいる。臨戦態勢だ。
「ガードを広げてもらったほうが、楓花さんは安全だし、俺たちは周囲の警戒がしやすい。」
「なるほど、すっかり忘れていました。ではそうしましょう。10mくらいでいいかしら?」
「10m?」
「今の3倍と少しの広さ…足りないわね。20mにします。」
「は?」
楓花は、言い終えるとすぐに運転席に乗り込んでガードを広げたので、「は?」と言われたことには気が付かなかった。
「あっ…20mの円にしたから63mくらい歩かないとならないかも…」
「63m?」
「うん、20mの円だから外周はそのくらいよね?」
「はぁ!?距離がわかるのか?」
「概算よ?正確ではないわ。正確にいうなら62.…」
「いや、いい…わかった。問題ない。俺とアーサーで警戒する。ルーシーも一緒に採取してくれ。」
それから、ルーシーさんも加わり4人で癒し草を採取した。
その間に、ケントとアーサーに狩られた獲物が、木の枝に吊るされていく。
「ケントさん、アーサーさん、お肉を入れるのに入れ物が必要よね?ちょっと待っていてね。」
楓花はバケツを取り出した。
いつものつもりで、バケツに狼肉、肝・心臓、毛皮。ウサギ肉、肝・心臓、毛皮。魔石と書いて渡した。
そのバケツを受け取ったケントたちは、2人で解体を始めた。
「なぁ…変じゃないか?」
「ん?何が?」
「フーカ様たちずっとあの入れ物に入れているよな?」
「途中で交換していないのか?」
「ずっと見ているわけじゃないが…」
「まぁ、気にするな。肉を入るだけ入れて運ぼう。」
「そうだな…」
2人は、解体を進めていく。
結構な数の獲物がガードに寄ってきたので、ガードの内側から剣を振るというかなり杜撰な戦い方ができてしまった。
後方を気にしなくてよいので、前だけ見ていればよい。狩りというにはお粗末な行動ができた。
この木の枝には、狼が5体とウサギが10数羽吊り下がっており、周辺は流れ出た血で地面が染まっていた。
最初は、ガード外だったこの木だが、採取が進むにつれて木に近づき今はガード内になっている。
普段なら解体中は特に襲われやすいから、警戒しているのだがガードのおかげで周囲を気にしなくてよい。
いつになく、解体が進むが容器から溢れる様子がない。ウサギ10数羽の肉って案外量は少ないのか?
口が広く深い容器だから量が入るのだろう。
「案外入るものだな。」
「口は広いし、深さもあるからだろう。」
「そうだな…」
「ほら、狼もやるぞ。」
「ああ…」
「なぁ…」
「ああ、ちょっとおかしいな…」
「だよなぁ…狼5体分の肉はいくらなんでも無理がある。」
2人は、きれいに収まっている肉の入った容器を見ていた。
「まぁ、気にしても仕方がない。入ったのだからいいとして…運ぶぞ。」
「ああ、重そうだな…」
「…」
「重くないな…」
「ああ、空の時よりは重いが…重くはない。」
「……。」
「いい、考えるな。運ぶぞ。」
ケントとアーサーがバケツを車まで運ぶと、楓花たちも摘み取りをやめて戻ってきた。
「そろそろ、ヒールベリーのところに行きますか?」
「ああ、そうだな…」
「では、皆さん車に乗ってくださいね。」
楓花が倉庫に入りバケツを受け取り、引き戸の中へと入れた。
「そこの林の間に道がある。車で通れるといいが…」
湖は見えていた。
もう少しだけれど、木が邪魔をしていてそこまでは行けそうもない。
「これ以上は行けそうもないので、ガードを最大にしますね。」
「わかった。ルーシーたちに声をかけてくる。」
ケントが下りたので、楓花はキャビンへと移動した。
テーブルとイスを運ぶのは距離がありそうなので、ブルーシートとピクニックバックを手にした。
ピクニックバックには、サンドイッチが詰め込まれている。事前に作ったものだ。
斜め掛けバックには、お茶の入ったポットと使い捨てのコップが入っていた。
「持ち物を…」
「では、こちらのピクニックバックとこのシートと…ベリーを摘むのにバケツと籠があればいいですか?」
「ああ…そのバケツどのくらい入る?」
「どうでしょう?入れてみないと…」
「そりゃあそうだな。」
荷物を手分けしてもち、湖のほとりに出た。
「湖沿いにある低木になっている実がヒールベリーだ。」
「まぁ!たくさんありますね!」
楓花は、初めて見るかわいい実に目を輝かせる。
まん丸で透明感のある実は何かに似ていた。どこかでこれと似たような物を摘んだ記憶があった。
ひとつ手に取り、食べてみる。
あまりの酸っぱさに身震いしてしまった。
熟した様な色合いなのに、すっぱすぎる。
「そんなに酸っぱい?」
「甘いよ…」
「うん、美味しい…」
ハナとテンが甘いことを確認して、楓花を不思議そうに見た。
楓花は自分がハズレを引いたと思い、もう一度食べてみるけれど酸っぱい。
これは、こういうものなのだろう。
甘さに慣れている楓花には酸っぱすぎるだけだ。
「先にお昼を食べましょう。」
「お昼?」
「ごはん?」
「あ!美味しいパンだ!」
広げたビニールシートに座り、サンドイッチの入ったピクニックバックの蓋を外した。
カップにお茶を入れて渡す。
「熱いので気を付けてください。」
「ありがとう。」
「パンふわふわ~」
「おいし~」
「あっ…これ、寝ていた時の味ですね。」
「うん、生き返ったときの味…」
それぞれの感想がどうにも怖い。
ルーシーは生き返ったって…生きているのに、変なことを言っている。
「ガードもこれだけ広ければ、危険はないでしょうねぇ…」
「俺たちいらないような…」
「そんなことありません。案内をしてくれないと私来られないです!」
「それはそうか…」
「そうです。」
到着した時に、マップにマーキングも登録もしてある。だからもう一度来ることはできるけれど、教えてもらわなければ、来られなかった場所だ。
湖の近くに群生しているヒールベリーの実の中から熟したものだけを収穫した。
籠いっぱいに摘んではバケツに移す。それを何度も繰り返した。
ケントさんとアーサーさんは、ガードの範囲を警戒してくれている。敵対行為を行ってくる獣なので、獣は何がいるのかと興味はあった。
楓花が籠に実を摘んで5回になった頃、ケントさんとアーサーさんがやってきた。
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