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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第4章 リストシア

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いつもより長めです。


 敬一郎の提案を受けて楓花は答える。


 「その金額で大丈夫です。ただ、容器は極力回収したいです。」

 「わかりました。そのようにしましょう。」

 「それと、ポーション以外の薬はどうですか?」

 「素晴らしいので、是非購入したい。」

 「そうですか?では、また作りますね…。」

 「どうしました?」

 「いえ、なんというか…お恥ずかしいのですけど、買い物をしすぎて大和のお金が足りなくて…。」

 「なるほど、消毒薬などの仕入れに使ったのですね。」

 「まぁ…そういう事です。容器とかも案外高くて…そのうち、こちらで手配できるといいのですが…。」

 「わかりました。そういう事でしたら、容器はこちらで相応しいものを用意しましょう。それから、必要な材料は私が用意しましょう。ポーションの材料は、物により相談ですが、あの薬に混ぜている物はなんですか?」

 「ワセリンとエタノールです。水はペットボトルの水なので高くはないのですけど…。」

 「ワセリンとエタノール、それと水ですね。」

 「はい…」

 「水は…2Lでもいいものでしょうか?」

 「どうでしょう?いろいろと実験してみないとわからないので、水については、しばらくは私の方で手配します。」

 「わかりました。では、お願いします。その材料分はもちろん代金から差し引いてくださいね。」

 

 それから、敬一郎に解体ナイフやバケツを実際に使って見せた。

 後部のドアを開けて、バーベキュー台を取り出しても見せる。

 

 そうやって過ごし、キャビンへと戻った。

 どうしよう。2階というのも違う気がして、キャビンに来てもらっていた。

 下のベッドで寝るのはまずいよね?


 「3階の部屋をお借りしてもよろしいですか?」

 「え?もちろんです。」

 「楓花さんも奥の部屋で眠りますよね?」

 「ええ…そうですね…。」

 

 つまり、寝室で眠りなさいというのだろう。

 1階で寝ればひどい寝姿をさらしかねないので、それは正しい誘導ではあった。

 見た目のかわいらしい青年に言われると、少しだけドキドキしてしまう。

 いやいや、私には夫がいるし…この人は加害者の代理人で、私を保護しなくてはと思ってくれているだけだ。

 

 「こちらで、何か困っていることはありますか?」

 

 楓花は、敬一郎の問いかけに目を合わせた。そうだ!


 「できたら護身術とか剣の使い方を教えていただけますか?」

 「もちろん、お教えします。こちらで生きていくには覚えた方がいい。」

 「よろしくお願いします。」



 翌朝は、簡単な護身術を教わる。

 それから、この世界のことを思いつくままに聞いた。

 周囲にメイドや執事がいる状態では、聞きにくかったことも聞くことができた。


 「魔導士って3人しかいないの?」

 「いえ、薬を作れる魔導士が3人というだけで、他が得意な魔導士もいます。私と楓花さんを含めて21人ほどでしょうか。」

 「21人…少ないのですね。」

 「そうですね。基礎知識が必要ですが、そこが難しいようですね。」

「へぇ…」

 「魔導士は、変わり者が多いです。出来るだけ接触しない方がいいでしょう。」

 「そうなの?」

 「そうですよ。気を付けてください。明日からは、簡単な魔法の練習もしましょう。」



 それから3日間、この世界の魔法を教わったが魔法は使えなかった。


 敬一郎は、基本的な剣の構え方と扱い方も教えた。

 さらに、車の機能もいろいろと確認していく。


 そして、サクラの笛を鳴らしてみた。


 それを吹くとあの大きな鳥がやってきた。

  ガードのない場所でその子と接触し、足にスタンプを押した。桜の模様のスタンプはすぐに消えてしまったが、効果は残っているらしい。

 ガードの中に入れるようになった。


 「これは戦闘もできるので、襲われそうになったらその笛を吹いて呼んでください。」

 「わかりました。サクラ、その時にはよろしくね。」

 

 楓花は、サクラを撫でながら敬一郎へ聞いた。


 「サクラは何を食べますか?この間は、内臓を与えてしまいましたが。」

 「ああ、それは肉食ですのであれは正解です。しかもブラックベアーなら美味しかったでしょう。今度仕留めて解体することがあれば、内臓などはこれに与えてください。」

 「わかりました。」

 「あとは、勝手に巣に帰りますし、勝手に狩りをして過ごしているので、それほど心配はしなくても問題ありません。」

 「そうなの?それならいいですが…」

 「ですが、主から受け取る食べ物は特別ですから。時々は与えてください。」

 「わかりました。」

 「楓花さん、おひとりでこちらに来るときには、時間の管理は気を付けてください。」

 「はい…」 

 「ポーションの提案はしましたが…こちらの世界には、無理に関わらなくてもいいですよ。普通の軽キャンピングカーとして使うなら、向こうの世界でも使えます。」

 「それはそうかもしれませんが…。」

 「こちらに来るときには、ご連絡いただければできる限り同行します。そうでなくても、何かあれば電話でもLIMOでもしてください。車の中からであれば、送受信可能です。スマホはどこにいても大和時間に変わりはありません。」

 「わかりました。日時がわからなくならないように気を付けます。」


 楓花は、夕方になると一郎がグリフォンで帰るのを見送った。

 スマホを見ると5月3日の14時だった。

 お休みは6日までだ。あと3日と少ししかない。

 こちらにいるなら9日あるけれど、どうしようかな?


 時差ぼけのような物もあるし、最後の2日は向こうで過ごそう。

 だから、こちらにいるのはあと3日だ。


 楓花は、虹湖でそのまま3日を過ごしながら、トラウトを釣り上げ、オークやブラックベアーを狩りながら過ごした。



 自宅へ帰った楓花は、肉3種類を冷凍庫へ入れた。

 これで食材はかなり助かる。

 しばらくは、節約生活をしないとカードの引き落としが危険だ。

 この間のカードの引き落としでわかったけれど、ボーナスが入ってやっと解消できる。ちょっと調子に乗りすぎてしまった。

 イルルジオーネでいくら稼ごうと大和での自分の現金が増えるわけではない。

 

 イルルジオーネから戻った楓花は、体調の良さに驚いた。

 あれほど、日常と乖離した生活をしていたのに、いろいろな物に現実感があった。どこかふわふわと現実感のない日常を過ごしていたからだろうか?

 それに、肌の艶はよく小さな皺が改善している気がした。

 何よりも手の力が入り、顔に手を当てている感じがはっきりと分る。

 そういえば…エリクサーを飲んだのだった。

 あれの効果で傷ついた神経が修復された?

 それがこちらに戻っても継続されているの?

 そのくらいしか、思い当たらない。

 筋トレをしてみると、腕立て伏せをしようにも今までは手の平をついても、体重をかけると手首から挫けてしまっていたが、上手く力が入る。

 え…すごい…。

 腕立て伏せができる。

 理想的なフォームとは言えないけれど、それでも手を付いて上下することが出来ていた。


 うれしい。

 単純にうれしい。

 そうか、治ったのか。

 これで、普通に物を持てるし、野菜の皮むきも持ち上げて出来そう。部分的な麻痺も消えている気がする。

 

 楓花は、畑に出て野菜の育ち具合を見ながら雑草抜きをした。

 草を指先で摘まむことができる。

 今までのように小指からの3本で抜かなくてもいいみたい。

 やっぱり治っている!

 楽しい。

 なんだ、薬草摘みの時に気がついていたらもっと簡単に効率よくできたのに。



 ベビーリーフを植えたコーナーはかなり育っていたので、間引いていく。

 これで数回は食べられそう。

 きゅうりもミニトマトの苗も順調に育っている。

 手も治ったし、これで普通に生活できると思った。


 数日後、敬一郎から宅配便が届いた。

 医療用のエタノールとワセリンが大きな瓶で1箱に12本ずつ入っていた。

 それが2箱ずつだ。

 仕事が早い。関わらなくていいと言いつつ、期待されているのだろう。


 来週末には、ポーションの材料の採取に行こうと思った。 



読んでくださりありがとうございます。

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