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ゴールデンウィークで有給を使った楓花は、手ぶらで出社というのは抵抗があり、実家のある北海道土産を取り寄せて出勤した。
一応電話をかけて、親とは会話をしておいた。
「おはようございます。長いお休みありがとうございました。」
「橘さん、おはようございます。」
課長はデスクについていたが、顔を上げて挨拶をしてくれた。
「休みありがとうございました。お土産を休憩室に置いてもよろしいでしょうか?」
「もちろん。楽しみだな、ありがとう。久しぶりのご実家はどうでしたか?」
「はい、両親も元気でした。」
「そうか、よかった。橘さんもいい時間だったようだね。」
「そうですか?ありがとうございます。」
楓花は、自分のデスクに戻り仕事を始めた。
休みの間に溜まった書類が積み上げられているので、これを仕分けるところからだ。
課長は、自分の正面の島にいる橘を見た。
なんだろう?面接に来た時のような顔をしている。
旦那さんを亡くして以来、ずっと無表情だったし、身の回りにも構わなくなって化粧もしなくなっていたけれど、少し心境の変化でもあったのだろうか?
いや、化粧をしているわけでもないのか?それにしては肌の血色がいい。
いやいや、そんな観察をするのは不味い。セクハラで訴えられてしまう。
橘楓花は、仕事はできるものの無表情であまり話さない。
昔はおしゃべりに参加していたと思うが、事故以来ぼーっとしていることが多かった。突然涙を流すこともあるので、上司からもあまり触れないようにとお達しが出ていた。
握力に問題があるため、資料の整理など重い物は持てないようだが、腕力で解決できるようにと筋トレイをしているとは言っていた。
人差し指での作業は出来ないが、中指から小指に掛けての指をうまく使っているようだった。
仕事のメインは研究のため、観察力がありスポイトやビーカーなどを持てるなら、遠心分離機など固定の機械にかけられるので仕事に支障はない。
自分の与えられたことを黙々とやるタイプだ。そして定時に帰る。就業後の付き合いには参加しない。
書類を片付けた橘さんが、ロッカーに向かったので白衣に着替えて中へ入るようだ。
分析道具や機材が並んでいるため、出入りは厳しく制限されていた。
つい行動を目で追っていた課長は、誰に見られているわけでもないのに取り繕うように頭を掻いた。
ゴールデンウィーク明けの楓花の様子に、見守ってきた社員たちは安堵していた。
仕事を終えた帰り道、楓花はショッピングセンターに立ち寄った。
目的はなかったけれど、たまには普段行かない場所へ行きたくなった。
九州フェアがやっていたので、立ち寄ってみる。
五島列島のソーメンや小豆島のオリーブオイルやオリーブ漬けなども並んでいた。
新婚旅行で行った九州を思い出す。
夫の運転であちこち走って観光をして回った。
軍艦島に行きたかったけれど、そこまでは行けず長崎の出島などを見て来た。
レンコンのからし漬けが美味しかったと思い出し、つい手に取ってしまう。
それから、他のフロアーを回りウインドブレーカーが投げ売りをしていた。
これからでも売れると思ったけれど、今年の商品とは色合いやデザインが大きく異なっていた。
なるほど…売れそうもないのか。
それに、セール時期も過ぎてはいるのね。
品を見てみると、派手なオレンジやピンクといった物が多い。それもMとLは少なくてLLやSSやSといったサイズのものが多い。
なるほどね…これは特殊すぎる300円って安いけれど、それでも売れるかな…。
楓花は、店を出て家電量販店に入り、ふらふらと見て回る。
そういえば、後ろの棚にもコンセントはついていた。
延長コードがあれば少し自由度が広がる?
それに…扇風機は欲しいかも、ドライヤーはスイッチの切り忘れが心配で貸せないけれど、ルーシーさんやアーサーさんは髪が長いから風があれば乾きやすいのでは?
だめだめ、買う物は最低限で…こっちの収入が増えるわけではない。
向こうの稼ぎがこちらに結び付くといいのだけど…。
これから薬草採取だし、秋になれば寒くもなってくるだろう。
ヒールフラワーは冬から春と言っていた。
そうなれば採取もさらに大変に…そうよね。寒くなる。子供たちを連れていくなら、温かい服は必要になる。それに…さっきのウインドブレーカーあの値段ならケントさんたちの分も揃えられる。
楓花は、家電量販店を出て先ほどの店に戻ると派手な色合いの品の中から、サイズを選んでいった。SSから3Lまで合わせて15品だ。2Lや3Lもあるので、ケントさんやアーサーさんの肩幅があっても着られるはず。15点買っても5000円程度とは本当に安い。1度で破れても仕方ないと思えるお値段だ。
Sサイズはハナさんやテンさんに着てもらうために選んだ。
彼らは細いのでこれくらいのサイズだと思う。
楓花は、6月初旬の週末はイルルジオーネの虹湖にいた。
「とりあえず、初級ポーションと中級ポーションの材料を集めないと…。」
清水は十分にある。
癒し草は、野原で集めた。
他に必要なのは、中級の材料である、オークの爪、ライトフラワー、露草だ。
それと、初級の材料であるヒールベリーそれに角ウサギの角だ。
必要なのは…ヒールベリー、ライトフラワー、露草の3種類。
オークの爪と角ウサギの角は、魔の森の向こうからやってくる獲物だけでも収集できるだろう。
キャビンに積み込んだ道具を、それぞれの場所へ移動させてから楓花は、アートンにある天龍のチームハウスを訪ねた。
「こんにちは、天龍の皆さんいますか?」
「フーカさん!お久しぶりで。前回は留守でごめん。」
「いえ、残念でしたが大丈夫です。天龍の皆さんのご都合がよければ採取を教えてもらえますか?」
「もちろん、丁度依頼を終えたところだ。」
ケントさんと会話をしていると、他の4人もやってきた。
「フーカさんだ!」
「採取に行くの?」
「恩返しさせてくれるの?」
「一緒に行きたい!」
わちゃわちゃとし始めた。
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物産展でからしレンコンが出ているとつい手が伸びてしまいます。




